吸血鬼領主様

吸血鬼領主様

◇声物語劇団より最新情報


シナリオ詳細
掲載元 声物語劇団 公式サイト
声物語劇団 オリジナルボイドラ劇場
作者 月宮東雲
登場キャラ数 :2:3
総セリフ数 197
製作日 2015/4/2〜2015/5/9
概要説明  親友を殺され、犯人であろう吸血鬼を見つけ吊し上げるため、復讐に燃えるアリル。
吸血鬼という吸血鬼を襲い、各地を回っていた中、領主をしている吸血鬼がいるという情報を手に入れ、乗り込む。
しかしそこで待ち受けていたのは……
利用にあたって 利用規約
目安時間
登場キャラ セリフ数 性別 備考
ラフォーム=レオート=クロア 63 小さな村を治める領主の屋敷に住む少女の容姿をした吸血鬼領主。見た目の数倍生きているらしい。大人ぶる練習中
エクリア 23 クロアに仕える人間の執事。家事から何までも巧みにこなす。ある時フラリとクロアのもとにやってきた
アリル 80 親友が殺され、犯人探しの為、各地の吸血鬼を辻斬り同然で問答無用状態の討伐して回っていた。
25 酒場で酒を飲む男。まぁ多分ろくに働かないで酒場に入り浸っていた。女が好きで好きで声をよくかけるらしい
少女 6 リンドゥで人とあまり関わりを持たずに暮らしていた吸血鬼。内気な性格で怖がり



【領主の館】(雷雨の夜・ワイングラスを傾けながら窓の外を眺め笑うクロア)

001 クロア 「フフフ、今宵は調子がいいわ。この闇に降り注ぐ雫を血生臭い滴る血に変えたくなる…」
002 エクリア 「…様。食事の支度ができました」
003 クロア 「この国のみならずいずれはこの世界をも…」
004 エクリア 「失礼します……様」(ドアを開けて部屋へ入室)
005 クロア 「愚かな者よ、我が手中にて踊れ!」(バッと振り向き、鋭い牙を剥き爪先を立てる)



【田舎村・酒場】(収穫祭で賑わう村の酒場に空いている席を見つけて座る)

006 「…こんな田舎にお祭りでも見に来たかい姐ちゃん」
007 アリル 「そうか、祭りだからこんな村でもバカみたいに騒がしかったのか」
008 「だはは、酒場は相場騒がしいもんだろ」
009 アリル 「まぁそうだな」
010 「酒場に来たのに酒を飲まないのは酒場に入る資格ねェぞ、姐ちゃん」
011 アリル 「…麦酒」
012 「わかってんな、姐ちゃん。この村は麦が特産だからいい麦酒があるんだよ。だがな、ここは蒸留酒だろ」
013 アリル 「…おぅ。んく。話を聞きたい」
014 「話だぁ?」
015 アリル 「風の噂で領主が吸血鬼と聞いた。本当か?」
016 「吸血鬼…?ブハッ…ああ本当だ本当だとも。領主様さぁ」
017 アリル 「その領主サマはどこにいる?」
018 「こんな酒場にはいねェよ」
019 アリル 「そんなのは分かる」
020 「…俺様が案内してやろうか」
021 アリル 「知っているのか?」
022 「あぁ知ってる。知ってるとも。ここの村のもんだからな」
023 アリル 「では案内してもらおうか」
024 「場所を教えるがここで領主様の館を旅人の姐ちゃんに話したってバレたらまずいんだわ」
025 アリル 「案内する気はないと?」
026 「いや、誰が聞いているかわからねぇ。ここじゃなんだ、上の部屋で話そう」(ジョッキを空にして席を立つ)
027 アリル 「…そうか」
028 「領主様にバレたら血を吸われてミイラにされちまう」(階段を登りながらおどける)
029 アリル 「今までにもそういったことが?」
030 「いや、領主様について聞きに来たのは姐ちゃんくらいだかんな。ほら」(部屋の中へ招き入れ、ドアのカギをしめる)
031 アリル 「…灯りは」
032 「吸血鬼ってのは暗がりにいるんだろう?姐ちゃんが何で探してるかは知らんが…」(ニヤリと笑い抱きつく)
033 アリル 「ッ!?」
034 「俺が吸血鬼になって…」
035 アリル 「オレは下衆と寝る趣味はねーよ」(肘鉄から蹴り飛ばす)
036 「うぉっぶぐっ」
037 アリル 「それと。吸血鬼はこの世から消え去ってもらう」(銃口を額に押し当てる)
038 「ちょっ、ちょっとした冗談…姐ちゃん。俺、人間。人間だから死んじゃう」
039 アリル 「冗談は言っていい時と悪い時があって、残念ながら今が悪い時だったな」
040 「勘弁!勘弁だ。体を触ったのは謝るから殺さないでくれっ」(両手を大きく激しく振って慌てる)
041 アリル 「領主様とやらにバレるとこちらもミイラにされちゃうらしいからな。耳に入る前に…」(ニヤリと笑う)
042 「だぁぁぁっそれもちょっとふざけた!ふざけて言っただけでYO」
043 アリル 「ふざけた奴は虫酸が走るほど嫌いだ」
044 「ごめん。すまん、悪かった。俺が悪うございました。だから、だから殺さないでェ」
045 アリル 「お前の口からは冗談しか出ない」
046 「日中領主様を見たことがないからほんとは知らないんだっ!けどっ日中姿を見せないってことは吸血鬼…吸血鬼だろっ」
047 アリル 「何故?」
048 「夜活動的になるんだろ?」(ニヤリと笑う)
049 アリル 「そうだな、夜活動的だな」(コッコッと銃口で男の頭を叩きながら)
050 「俺じゃねェ!俺のことじゃねェ!俺は人間なんだ」
051 アリル 「冗談はその辺の村娘だけにするべきだったな」
052 「そうするっそうするから、物騒なもんを下げてくれ」
053 アリル 「ドンッ」(引き金を引きつつ、口で発砲音)
054 「ぁひぃ…」(床に転がり動かなくなる)
055 アリル 「……ようやく殺れそうだ…」(窓の外の月を見つつ呟く)



【時計塔の街リンドゥ】(雷雨の夜・広場や家々に血塗れの屍が転がる様子が見える部屋の隅で震えて懇願する少女)

056 少女 「いや…違…私じゃ…わた知ら…」
057 アリル 「……」
058 少女 「関係ないのっ!私は、私はただここに住んでいただけ」
059 アリル 「街に惨殺な屍が大量に転がっているのを知らない…と」
060 少女 「お願い…違う…私じゃ」
061 アリル 「吸血鬼だよな?」
062 少女 「犯人じゃな……私…」
063 アリル 「リンカ、今に吸血鬼たちを同じように血祭りにして仇を討ってやる」
064 少女 「あぁなった街の人たちのことは知らないのっホントなのっ」(フルフルと首を振り続ける)
065 アリル 「……」(引き金を引く指に力を入れる)
066 少女 「お願い、助けッ!」(時計塔の鐘がかき消す)



【領主の館】(扉を叩き、エクリアが開けて対応)

067 アリル 「領主様…ですか?」
068 エクリア 「…お客人の予定なんかありましたかな…」
069 クロア 「エクリア、客か」(寝着のまま階段を下りてきながら)
070 エクリア 「クロア様いけません、お身体に」
071 アリル 「そちらは」(下りてきたクロアを目ざとく見つけながら)
072 エクリア 「お嬢様です。大変申し訳ありませんが、領主は多忙故、外出しております」
073 アリル 「いつ戻る?」
074 エクリア 「私は領主から何も聞いておりませんが、お約束をされましたか」
075 アリル 「いや、至急話しておきたいことがあったので」
076 エクリア 「書簡で伝えておきますよ」
077 アリル 「いや、直接会って伝えたい」
078 エクリア 「我々使用人には行き場所も用事の内容も知らされない故、いつ戻るかわかりかねます」
079 アリル 「…チッ邪魔したな」(くるりと踵を返す)
080 エクリア 「…領主様、ヴァンパイアハンターのようです」
081 クロア 「みたいだな」(言った後、退屈そうに欠伸をする)
082 エクリア 「『みたいだな』ではなく…」
083 クロア 「面白そうじゃないか」
084 エクリア 「面白いって…私はクロア様の身に何か」
085 クロア 「丁度退屈していたところだ。狭いカゴに閉じ込められているのは飽きた」
086 エクリア 「…私には広すぎます」
087 クロア 「…フフフ」
088 エクリア 「はぁ…領主様という方は…」
089 クロア 「エクリア、今日は食事を少し早めてくれ」
090 エクリア 「…かしこまりました」



【夜中・領主の館洋間の柱時計の鐘が鳴る】(ガラスを突き破って侵入)

091 クロア 「ようこそ我が館へ。愚かな旅人」(爪先を突き立てる)
092 アリル 「フッお見通しってわけか」
093 クロア 「あれだけ殺気を放っていれば年老いた犬でもバカでも分かるわ」
094 アリル 「今晩、この村の領主は消えることになるが、悪く思うな」
095 クロア 「その言葉そのまま返してあげよう。旅人がこの地で一人消え去ったとしても気付くことなく…だ」
096 アリル 「すぐに自分の血を吸わせてあげる」
097 クロア 「フフ…、お名前ぐらい聞いておいてあげようかしら。私はラフォーム=レオート=クロア。この地を治める領主よ」
098 アリル 「そこまでして殺される相手の名を地獄に持ち去りたいのか?貴様ら吸血鬼を世界から消し去る仕事をしているアリルだ」
099 クロア 「フフフ…ふふふふ。そう、アリルね」
100 アリル 「すぐにその口から名を呼べなくしてやる」
101 クロア 「夜だというのに随分と騒々しくやってきたものね」(散乱したガラスを踏み割りながら笑う)
102 アリル 「夜に活動的な吸血鬼に気を遣う必要が?」
103 クロア 「近隣住民のことを考えて欲しいものね」
104 アリル 「冗談!吸血鬼が人間のことを考えてる?気遣ってるつもり?」
105 クロア 「これでもこの地を守る領主だからよ」
106 アリル 「随分と人間臭いことを」
107 クロア 「もっと人間臭く、『この村では飽きたらず国や世界を我が手中に収めたい』とでも言えば満足かしら?」
108 アリル 「ハッ、夢を語ろうともその夢物語は今宵で終わりだ」(クロアの額に照準を定め、撃つ)
109 クロア 「人間、身の程をわきまえなさい」(銃弾を躱す)
110 アリル 「社交ダンスは得意のようだな」
111 クロア 「なに、すぐに貴様も我が足元にひざまずかせてやろう」(壁を蹴って飛ぶ)
112 アリル 「面白い。できるものならっ」(目で追いながら銃弾を撃ち込む)
113 クロア 「…普通の人間ならば腰や大腿部を狙えば撃ち抜けるだろうけど、私はそう簡単じゃないでしょう?」
114 アリル 「ちょこまかこざかしく動き回るな、的が」
115 クロア 「あなたの的になったつもりはないのだけれど。…ただ、的を撃ちたいのならもっと腕をあげてから来るべきだったわね」(アリルの目の前から瞬間的に消え、鋭い爪で目の下の左頬を真横に切る)
116 アリル 「ツッ…」(出血する頬を左手で押さえる)
117 クロア 「礼儀も態度も何もかも気に入らないけど、一つだけ…挨拶をしに来たのだけは評価するわ」(冷たい眼差し見つめながら)
118 アリル 「…余裕ぶるなぁッ」
119 クロア 「吸血鬼を世から消すお仕事?よくそんなことができると思ったわね。それともハッタリだったかしら」
120 アリル 「何体も、何体もこの銃で、お前の同族をこの弾で撃ち抜いてやった」
121 クロア 「そうも自慢されるとあなたがいかに小物であるか。その同族とやらがいかに愚かなのかを考えさせられるわ」
122 アリル 「なん…だとッ」
123 クロア 「だって、あなた現にあなた、私にかすり傷一つつけれていないんだもの」
124 アリル 「くぅ…」
125 クロア 「…それともただのハッタリだったかしら。多くの同族を殺してきたと言えば震え上がって泣いて命乞いをしたとでも?」
126 アリル 「くっ」
127 クロア 「棺桶の中で先に眠るのはあなたの方みたいね」
128 アリル 「ふざけるなっ」
129 クロア 「遊んでいるつもりはあってもふざけているつもりはないわよ。ふざけすぎちゃうとどんなに面白いことも興醒めしちゃうから」(背後に回り込み人差し指と薬指を舐める)
130 アリル 「この…」(振り向き銃を乱発)
131 クロア 「そろそろお片付けの時間なの。片付いてくれないかしら」
132 アリル 「片付くのは…」
133 クロア 「あなたの方よ。仕事も部屋も片付かないと落ち着かなくて…私嫌いでね」
134 アリル 「うっ…」(首筋を切り裂かれ、崩れるように両膝をつく)
135 クロア 「早く止血しないと闇が降りてくるわよ」
136 アリル 「…お前が」
137 クロア 「何?」
138 アリル 「お前がリンドゥの街を襲った…のだろ」(クロアを鋭く睨み付ける)
139 クロア 「…いつの話?」
140 アリル 「先の雷雨の…」
141 クロア 「リンドゥとこの地は気候が違うからそんな曖昧なこと言われても困るけど。最近の話なら私は無関係ね」
142 アリル 「この…」(銃を構えるが目が左右に動き照準が合わない)
143 クロア 「焦点あってないわよ。もうあなたの夜は終わり」
144 アリル 「まだ…だ」
145 クロア 「朝には冷たい床に冷たい体でこんにちは」
146 アリル 「リンカ……仇をとるま……」(銃を落とす)
147 クロア 「私の遊び相手としてはちょっと物足りなかったわね」
148 アリル 「…吸血鬼…め……」(意識を失くして床に転がる)
149 クロア 「エクリア、そこにいるのでしょう」(入口のドアに声掛ける)
150 エクリア 「クロア様、ご無事でしたか」
151 クロア 「白々しいわよ。最初から見ていたくせに」
152 エクリア 「クロア様の身に何かありましたら私は…」
153 クロア 「…嬉しい。でしょ。…私が起きるまでに部屋もこれも片付けておきなさい」
154 エクリア 「は、かしこまりました」
155 クロア 「リンドゥ…ね」(エクリアとアリルを横目で見ながら小さく呟く)



【夕方 執務室】(椅子にゆったりと座るクロアの前にアリルが乱暴に入ってくる)

155 アリル 「…どういうことだ」
156 クロア 「あら、お目覚め?寝覚めは如何かしら。もう夕方だけど」
157 アリル 「最悪だ」
158 クロア 「そう。あなたの口から最高だなんて言葉は期待してなかったから予想通りと言えば予想通りね」
159 アリル 「何をした」
160 クロア 「私は少しだけ止血をしただけ。エクリアは……包帯巻いたのかしらね」
161 アリル 「何だ今の間は…ッ!」
162 クロア 「私はスヤスヤおやすみ中の話だから知らないわよ」
163 アリル 「何で助けた?」
164 クロア 「助けた?…助かったとでも思ったのかしら」
165 アリル 「何?」
166 クロア 「墓荒らしが墓場に来たらどうなると思う?」
167 アリル 「墓を荒らす…」
168 クロア 「そう、荒らす。荒らしたら?」
169 アリル 「荒らしたら…」
170 クロア 「素敵な死者や亡霊たちのお仲間入り」
171 アリル 「……ん」
172 クロア 「ヴァンパイアハンターがヴァンパイアになるなんて面白い話よね」
173 アリル 「な…っ貴様ッ」
174 クロア 「部屋はそうね…空いている部屋を好きに使えばいいわ」
175 アリル 「誰が…」
176 クロア 「飛び出したければ飛び出してもいいけど今の時間だと素敵なほどこんがり焼けるわよ…香ばしい程ね」
177 アリル 「何が目的だ…」
178 クロア 「…優秀な秘書官になってくれるなら喜ぶけど、まぁ遊び相手が関の山かしらね」
179 アリル 「…銃はどうした」
180 クロア 「エクリアが片付けたのじゃないかしら。一切を任せたから私は認知してないわよ」
181 アリル 「…隙を見せたら」
182 クロア 「いつでも遊び相手になってあげるわ。アリルちゃん」
183 アリル 「くそっ…」(荒々しく部屋を出ていく)



【執務室】(紅茶を淹れてエクリアが部屋に入ってくる)

184 クロア 「…エクリア、台詞バッチリ?」
185 エクリア 「なかなかキマってましたよ、クロア様」
186 クロア 「なかなか吸血鬼の威厳ある領主って難しいわね…」
187 エクリア 「領主としての威厳、貫禄を出さないといけませんからね。ただ、もっと『人間』を強調しても良かったかもしれませんね」
188 クロア 「むぅ…やっぱり、最後は『がぉー食べちゃうぞ〜』が…」
189 エクリア 「それはないです」
190 クロア 「いい感じじゃない」
191 エクリア 「カリスマも何もかもブレイクしますよ」
192 クロア 「まぁ、ようやく練習の成果ありってところね」
193 エクリア 「良かったですね、クロア様」
194 クロア 「エクリアのようなもう少し頭の回りそうなハンターだったらもっと良かったのに」
195 エクリア 「高望みし過ぎですよ、クロア様」
196 クロア 「『できるッ領主』に一歩近づいたわ」
197 アリル 「…なんじゃ、ありゃ……」(扉の隙間から様子を覗き見し、呟く)






作者のツブヤキ
 冒頭のアリルが酒場で男に絡み、ボコる(?)、リンドゥで吸血鬼を問答無用討伐するところは8年前に原案を書いていました。
ようやく一つの形となって公開できて良かったです。
何で吸血鬼が犯人と決め付けているのか。→猟奇殺人は人間にはできないとされているため。(例外有)
吸血鬼は人を襲い、血を啜るとされたため、街の人々の見解やアリルの推測からヴァンパイア吊るしが始まる。

リンドゥの惨事は誰が起こしたとか犯人ってあまり触れていませんが、一応描いたつもりではあります黒幕とか
作中から何かを読み取って頂けたらなと思ったり。アリルの貞操とか何やらは知りませぬ…。どう思われますか
久しぶりにコメントを書いた気がする…。

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(※どの作品からのコメントなのか、URLのfree/○○○.htmlの『数字3桁のみ』の後、続けてコメントを記載して頂けると助かります)









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