密着!魔王決戦リポート

密着!魔王決戦リポート

◇声物語劇団より最新情報


シナリオ詳細
掲載元 声物語劇団 公式サイト
声物語劇団 オリジナルボイドラ劇場
作者 月宮東雲
登場キャラ数 :3不問:1
総セリフ数 107
製作日 2012/11/12〜2012/11/12
概要説明  世界の命運をかけた最終決戦。一つのタレコミから勇者と魔王の決戦が近付いたことを知った国営テレビ局。
スクープを逃さんと、取材班を投入。勇者と共に魔王城へ潜入するのだが…
利用にあたって 利用規約
登場キャラ セリフ数 性別 備考
勇者 24 世界を救うとカッコいい台詞を吐いている。世界中の女性と交際しており、関係を持っているらしく浮気沙汰が表に出かかっている
魔王 11 世界を滅ぼそうとしたが、勇者誕生により失敗。ラストバキア地方を手中にするも侵略はうまくいっていない
リポーター 44 取材のためならデリカシーも気にしない!という取材であちこちから出禁を喰らい、地方局へ飛ばされた。クビをかけられて取材に命をかける
ナレーション 28 番組の進行補助を行う、神の声。すべてを知っている…らしい。






【魔王城付近】(魔王城が見える荒廃した大地にて)

001 ナレーション かつて世界を滅ぼそうとし、一部を手中に治め、統治している魔王が住んでいる言われる魔王城――
002 リポーター 「はい、私ただいま悪の根城、魔王城の前に来ております。実に禍々しいオーラを放っていますねぇー。瘴気にあてられ一瞬で骨になってしまいそうな気分の悪さです」
003 ナレーション 一つのタレコミから決戦が今日であるということで取材班が急行。独占リポートを決行することに。
004 リポーター 「魔王を倒さんとバステルニア王都を出発した勇者が魔王城に近い村、ラストバキアに滞在しているということで決戦が近付いていると思われます。えー、魔王場周辺は深い霧で覆われていて、遠くからではよく確認できません」
005 ナレーション カメラをそのまま回していると―――
006 リポーター 「あ、勇者さんのようです。魔王城へ向かっているのでしょうか。こちらに向かってきております。遠くの方から人影が見えます」
007 ナレーション 遠くから勇者と思われる人影が…
008 リポーター 「おーぃ!…これで魔物だったらシャレになりませんね」(呼びかけてからカメラに向かって)
009 ナレーション 鎧や楯を装備した男性は、取材しているカメラの方へ―――
010 リポーター 「あ、勇者さんですか!私、ハスマニアル国営放送の者です。今回は魔王城攻略との噂が流れていますが!」
011 勇者 「まぁ…世界は俺が救う」
012 リポーター 「確かラストバキアではお仲間の僧侶さんと一緒にいたという目撃情報がありましたが…今回はお一人なんですね」
013 勇者 「魔王は俺一人で倒す」
014 リポーター 「…ということは、ラストバキアで僧侶さんが待っているということなんですね」
015 勇者 「あぁ、あいつは生き残って俺の築き上げた平和な世界で俺の伝説を伝える語り部になってもらうために残ってもらった」
016 リポーター 「何やら勇者さんは何かを悟っているようです。まさか、勇者さんはお死にになるつもりでは…」
017 勇者 「俺は死なない。魔王を倒して世界を平和にする。たとえ刺し違えても・・・」
018 リポーター 「素晴らしい精神です。…ところで、勇者さん。昨日はラストバキアの宿で大層お楽しみであったと聞いてますが」
019 勇者 「な…何のことだ」
020 リポーター 「お連れの僧侶さんと激しい戦闘をされて宿屋のみならず、近隣の住民から苦情が寄せられたそうですが、その件については…」
021 勇者 「…さ、さぁ?」
022 リポーター 「『明日の戦いで最後かもしれないから今夜は寝かせない…』と叫ばれたとの情報が…」
023 勇者 「……」(足が速くなる)
024 リポーター 「あ、勇者さん。ちょっと…。それと、各地で多数の女性と交際をされているとのお話ですが、この決戦が終わりましたらどちらへ…あ、ちょっと無視ですか!待ってくださいって!」
025 ナレーション ノーコメントの勇者の後を追って魔王城へ潜入する取材班――



【魔王城内】(魔物があちこちから現れる)

026 リポーター 「えー…ちょっとまずいこと訊いてしまいましたでしょうか。国民の皆さんに、多くの情報をいち早く正確にお伝えしたいという信念のもとで私たちは取材にあたっています。えー、これから内部を進んでいこうかと思います」
027 ナレーション 黙々と進む勇者、その後を追う取材班
028 リポーター 「えー、勇者さんは黙って黙々と進んでおります。えー、ペースがちょっと早いですね。内部は、禍々しい装飾や照明…魔物がおびただしい数いるようです」
029 勇者 「死にたくなければ、帰れ」
030 リポーター 「はい?」
031 勇者 「遊び半分で来るようなところじゃないぞ、ここは」
032 ナレーション 勇者に警告を受ける
033 リポーター 「私たちだって遊びでこの仕事しているんじゃないですよ?国民の皆さんにありのままの現状を知ってもらおうと命を張って放送しているんです!」
034 勇者 「まぁ…死んでも知らないからな」
035 リポーター 「えー、これはツンデレ台詞でしょうか。私一瞬キュンとしてしまいました…えー、勇者さんの背中がとてもカッコよく見えます」
036 ナレーション 浮かれるアナウンサー…そこに!
037 リポーター 「痛ッ!…えー魔王軍の襲撃です!おびただしい数の魔物が目の前に、目の前に立ちはだかりました!」
038 勇者 「ちっ…真空斬ッ!」
039 リポーター 「次々と襲い掛かってくる魔王軍の魔物を一刀両断していきます。さすが勇者さんです」
040 ナレーション 魔物を倒しながら道を切り拓いていく勇者
041 リポーター 「すごいです。ものともしません。…痛っ、後ろから!?」
042 ナレーション 魔王軍の攻撃を受ける取材班
043 リポーター 「えー、襲撃です。魔王軍の襲撃です。このおぞましい顔の魔物たちが町を襲って滅ぼしたかと思うと、震えあがるほど怖いです。勇者さんと一緒にいるので…ってあれ、勇者さん先に進んでます」(勇者と距離が開く)
044 ナレーション 勇者に置いていかれる取材班
045 リポーター 「痛っ痛いっ、私たち違うからね!報道してるだけ!痛っ!大変です、まずいです!魔王軍の攻撃を受けて我々全滅しそうです」
046 勇者 「もう手におえないから勝手にしろよー」(階段登りながら)
047 リポーター 「あ、ひどい!見殺しにされる!…カメ、カメラッ!早く先行け!勇者の決定的なシーン撮り逃すだろ!早く行けって!」
048 ナレーション 魔物たちに行く手を阻まれ、攻撃を受け、乱れる映像
049 リポーター 「お前ら、カメラ死守しろ!替え持って早く勇者追っかけろ!早く!…えー、大変危ない状況です!命の危険にさらされています!」
050 ナレーション 後続のカメラマンが魔物の合間をぬって階段へと急ぐが…
051 リポーター 「俺に構わず!いいから行け!貴重なスクープ映像を撮るのが仕事だろ!いいから行けって!…俺に構わず行け!」
052 ナレーション 漢気を見せるアナウンサー
053 リポーター 「畜生ッ!これで視聴率稼がないと今度こそクビになるんだからな!こんなんだから地方局に飛ばされるんだよ!なんだってこんな辺境に…痛っ、痛いっ!薬草!誰か薬草!HPマジピンチだから」
054 ナレーション 瀕死のアナウンサー
055 リポーター 「死んだらシャレならないって、いや、ほんと。このシーン使えっかな…スクープの裏に隠された苦労みたいな・・・。いや、ホントカメラ守れよ?」
056 ナレーション 魔物たちに囲まれても尚、取材に命を懸ける取材班
057 リポーター 「えぇー、私たち、今魔王軍の精鋭部隊に囲まれております。はい、絶体絶命のピンチです。……陣形整えろ!カメラ死守しろって!おい、カメラマン後ろっ!」(映像が乱れ、カメラが地面に転がる)
058 ナレーション 度重なる魔物たちの攻撃に消耗していく取材班――
059 リポーター 「あぁもう!怪我した奴は円陣組んで踊ってろ!カメラマン大丈夫か、頑張って取材続けるぞ!スタッフの底力見せろ!全滅するなよ!」
060 ナレーション 決戦の裏に隠れた男たちの熱い戦いがそこにはあった―――
061 リポーター 「生きて…帰るからな…」(カメラに向かって親指立て、微笑む)



【魔王の間】(勢いよく入り込む勇者と後に続くカメラマン)

062 勇者 「魔王、覚悟!」
063 魔王 「ふふ…よくぞきた勇者…なんだ、その後ろのは」
064 勇者 「気にするな、覚悟!」
065 魔王 「カメラか?テレビカメラなのか?」
066 ナレーション カメラを気にする魔王…
067 勇者 「いよいよ、最後の決戦だ…ケリをつけてやる」
068 魔王 「おい、貴様。カメラを持っている貴様だ。殺されたくなければすぐに撮影を中止しろ」
069 ナレーション カメラマンに襲い掛かる魔王
070 勇者 「魔王の敗北を世界中に証明するためのビデオだ。この記録で魔王の敗北を決定的なものにする!」
071 魔王 「貴様、聴こえなかったか。ひねり潰されたいのか」
072 ナレーション なおも執拗にカメラマンを追い掛け回す…そこで
073 リポーター 「えぇー、死闘を乗り越え…ようやく魔王の間に…魔王の間に到着しました。」(ズタボロになりながら)
074 ナレーション 死闘を繰り広げたアナウンサーが無事現場に到着
075 魔王 「おい、貴様。これはどういうことだ!撮影は禁止だぞ!殺すぞ」
076 リポーター 「取材禁止?いや、そこなんとか…こっちは死ぬ思いでここまで来たんですよ?ここまで来てやっぱなしって話はないでしょ…ねぇ?」
077 ナレーション 食い下がらない、取材班
078 魔王 「誰の許可を得て撮影しているんだ。今すぐに切れ。カメラ回すのやめろ」
079 ナレーション まさかの撮影拒否。撮影はここで終了してしまうのか。アナウンサーは…
080 リポーター 「…もう、話しても無駄ですね」
081 魔王 「む?」
082 リポーター 「話しても無駄だって言ったんです。私たちは仕事で撮っているんですから。いいでしょ、撮っても。え?こっちは死にかけてんだよ、お前たちのせいでよ!え?証拠に国でも何でも提出してやろうか!え?」
083 ナレーション キレ出すアナウンサー…
084 魔王 「無断撮影して逆ギレとは…よほど命が惜しくないようだな。愚かな人間共よ」
085 リポーター 「こちとら伊達に命かけて戦場くぐり抜けてないんだよっ!もう、やっちゃって、勇者さん。」(魔王に啖呵きりながら勇者に指示)
086 勇者 「はぁ…」(呆れながら魔王とリポーター見比べる)
087 リポーター 「もうやっちゃって、勇者さん。コテンパンに。視聴者の皆様から拍手喝さいもらえる程度にフルボッコに。ねぇ」(キレてるリポーターの顔がアップされる)
088 魔王 「面白い…、そこの勇者をかるくひねり潰してから貴様をミンチにしてくれるわ!」
089 ナレーション そして、闘いのゴングが鳴らされた――
090 勇者 「魔王、覚悟ォッ!」
091 魔王 「ふん、小癪な」
092 リポーター 「…おほん、えー大変お見苦しい映像が流れましたこと深くお詫び申し上げます。えー最後の闘いがついに始まりました!私の後ろで激しい戦闘が繰り広げられております」
093 勇者 「俺は、世界を救う!」
094 魔王 「貴様に救える世界等一つもないわ!」
095 リポーター 「世界の運命を背負った勇者と、混沌に陥れようとしている魔王…どちらが勝つのか…」
096 ナレーション 長く続くかと思われた戦闘は、一時間ほどで決着がついた―――
097 リポーター 「激しい激闘の中、最後まで立ち続けていたのは勇者さんだぁ!勇者さん、勇者さん!おめでとうございます!今の気持ちを教えてください!」
098 勇者 「…どっかのバカが、挑発して魔王の攻撃力を上げまくってくれたお蔭でスンゲー苦労した」
099 リポーター 「どこの誰なんでしょうか…、しかし魔王を倒せたのですからホッとしたといったところでしょうか。勇者さん、今したいことは何ですか」
100 勇者 「お前を殴りたい」
101 リポーター 「良き親友のライバルと殴り合って友情を確かめたいですか。素晴らしいですね!」
102 勇者 「蹴っていい?」
103 リポーター 「魔王を倒したことで世界が平和になったわけですが、世界中の女性と関係を持っていると言われています。誰の下で家庭を築くのでしょうか」
104 勇者 「あのさ…とりあえず棺桶に詰めてやろうか」
105 リポーター 「勝利のインタビューはこの辺にして、また勝利を噛みしめているバステルニア王都凱旋の際、また密着取材をしたいと思います」
106 勇者 「お前に次ないから」
107 リポーター 「以上、魔王城から中継でお伝えしました!」






作者のツブヤキ
 勇者・魔王系のお話ってほんとネタが尽きないですね。
ファンタジーチックで中世ヨーロッパみたいな時代にテレビなんてないだろうに、何故か中継ネタ。
他の方々が作った「かっさらわれ姫様」とか「さらわれ勇者と魔王」のボイスドラマを聴いていてふと思いつきました。
閃いた時の勢いが消えてしまって、いつものパターンで、後半萎んだので書きたかった内容をだいぶハショった感じになってしまっている気がします。
まぁ、仕方ないね。

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