| シナリオ詳細 | |
| 掲載元 | 声物語劇団 公式サイト 声物語劇団 オリジナルボイドラ劇場 |
| 作者 | 月宮東雲 |
| 登場キャラ数 | ♂:1♀:1不問:1 |
| 総セリフ数 | 111 |
| 製作日 | 2012/10/29〜2012/10/29 |
| 概要説明 | 徐々に弱って顔色も悪くなっていく広茂。 死を受け入れるしかないのかと、納得のいかないまま諦めはじめる。 友華が徐々に広茂の異変に気付き始める… |
| 利用にあたって | 利用規約 |
| 目安時間 | |
| 登場キャラ | セリフ数 | 性別 | 備考 |
| 菊池 広茂 (きくち ひろしげ) |
56 | ♂ | 妹想いの高校二年生。彼女ができて浮かれているが、良きお兄ちゃんとして友華も可愛がっている |
| 菊池 友華 (きくち ともか) |
33 | ♀ | 広茂の妹の中学三年生。両親を突然失い、まだ心の整理はできていないが、兄を支えないとと強く気丈に振る舞っている |
| 死神キル | 22 | ? | 死神界よりやってきた死神。広茂の母より生命保険の行使をしに現れる。人の形をしているが、人間のような顔を持っているかは不明 |
| 001 | 友華 | 「お兄ちゃん、お帰り。ご飯できてるよ」 |
| 002 | 広茂 | 「あー…佐川と飯食ってきてさ…お腹いっぱいなんだ」 |
| 003 | 友華 | 「えー?連絡入れてよ」 |
| 004 | 広茂 | 「悪い悪い、入れるタイミングがなかなかなくて…」 |
| 005 | 友華 | 「もぉ、合間見ていれるとかさ」 |
| 006 | 広茂 | 「ごめんなぁ。お詫びにほら、大好きなモンブラン買ってきたからさ」 |
| 007 | 友華 | 「え、ほんとっ!お詫びだなんて気が利いてるね」 |
| 008 | 広茂 | 「だろ?できるお兄ちゃんだからさ」 |
| 009 | 友華 | 「自分で言ったらダメでしょ」 |
| 010 | 広茂 | 「ダメか?」 |
| 011 | 友華 | 「ここのモンブラン大好きなんだよね。あれ、お兄ちゃんの分は?半分こ?」 |
| 012 | 広茂 | 「ケチ臭いこと言ってんなって。お詫びつったろ。全部友華の分だ。お兄ちゃんはお腹いっぱいだからさ」 |
| 013 | 友華 | 「ありがと。お兄ちゃん大好き」 |
| 014 | 広茂 | 「餌づけされた動物かっ、誰でもホイホイついてきそうだな」 |
| 015 | 友華 | 「別に私は餌づけされても懐かないもん」 |
| 016 | 広茂 | 「そうか?俺には尻尾をはち切れんばかりに振っている犬のようにしか見えないけどな?」 |
| 017 | キル | 「菊地広茂、お前は幻覚が見えるようになったのか?」 |
| 018 | 広茂 | 「は?バーカ、喩えだよ、喩え」 |
| 019 | 友華 | 「分かってるよ、それくらい。本当に犬に見えていたら頭おかしくなってるんだから」 |
| 020 | 広茂 | 「あ、え?あぁ…」 |
| 021 | 友華 | 「どうしたの?誰か見えない人とでも話していた?」 |
| 022 | 広茂 | 「いや、なんでもない」 |
| 023 | 友華 | 「…なんだか、顔青白いよ?具合悪いの?」 |
| 024 | 広茂 | 「あ、あぁ…ちょっと調子に乗って食い過ぎたかも」 |
| 025 | 友華 | 「もう、お兄ちゃんたら意地汚いんだから。早く寝なよ?」 |
| 026 | 広茂 | 「…そうだな」 |
| 027 | 広茂 | 「…ひどい顔だ」 |
| 028 | キル | 「元からだ」 |
| 029 | 広茂 | 「失礼だな。元々はこんなに青白くなかった」 |
| 030 | キル | 「人間に礼を尽くす必要が何故ある」 |
| 031 | 広茂 | 「はいはい、死神様でしたね」 |
| 032 | キル | 「じきにその青白さは血の気を失い、土気色になる。案ずるな」 |
| 033 | 広茂 | 「…どういう案ずるなだよ。心配しかしねぇよ」 |
| 034 | キル | 「浮かない顔してどうした」 |
| 035 | 広茂 | 「ほんと不思議な奴だな。死神のくせに気にかけてさ」 |
| 036 | キル | 「人間に多少なりは興味を持っているからな」 |
| 037 | 広茂 | 「…ほんとはさ、あのモンブラン食いたかったんだぜ?美味いんだぞ…ほんとにさ」 |
| 038 | キル | 「…そうか」 |
| 039 | 広茂 | 「何でさ、何で食えなくなっちまったんだよ…何でこんな身体になっちまったんだ…」 |
| 040 | キル | 「後悔しているのか?その身体」 |
| 041 | 広茂 | 「食べたいもんも食えなくて、激しい運動もできない。将来もない。何のために生きてるんだよ、俺は」 |
| 042 | キル | 「ただただ命が抜け出さぬよう、無理矢理身体に押し込めている器にすぎぬ」 |
| 043 | 広茂 | 「何で俺が…俺が死ななくちゃいけなかったんだ…」 |
| 044 | キル | 「そういう運命であったと言えば納得できるか?」 |
| 045 | 広茂 | 「納得なんかできるかっ」 |
| 046 | キル | 「…そうか」 |
| 047 | 広茂 | 「納得なんか…できるか…」 |
| 048 | 友華 | 「…お兄…ちゃん?」 |
| 049 | 広茂 | 「ん?あぁ…」 |
| 050 | 友華 | 「こんな時間に電気もつけないで何してるの?」 |
| 051 | 広茂 | 「あぁ、ちょっと考え事かな」 |
| 052 | 友華 | 「…泣いてた?」 |
| 053 | 広茂 | 「馬鹿、泣くわけないだろ」 |
| 054 | 友華 | 「失恋でもした?」 |
| 055 | 広茂 | 「してねーよ」 |
| 056 | 友華 | 「ま、あんな彼女さんいなくても私がいるしね」 |
| 057 | 広茂 | 「なんだそれ」 |
| 058 | 友華 | 「見栄張りたい時は付き合ってあげるよ。モンブランとかケーキ奢ってくれたら」 |
| 059 | 広茂 | 「ばーか」 |
| 060 | 友華 | 「馬鹿って何さー」 |
| 061 | 広茂 | 「俺の妹がこんなに可愛いはずがない」 |
| 062 | 友華 | 「外国に留学して欲しいの?それとも罵ればいい?」 |
| 063 | 広茂 | 「いや、言ってみただけだ。心折れるから汚物を見るような目で兄ちゃんを見ないでくれよ」 |
| 064 | 友華 | 「何かあったら私にすぐに言うんだよ」 |
| 065 | 広茂 | 「はいはい」 |
| 066 | 友華 | 「家族なんだし、頼れる可愛い妹でしょ」 |
| 067 | 広茂 | 「自分で言うな」 |
| 068 | 友華 | 「…なんか、お兄ちゃん最近いなくなっちゃいそうな顔してるんだもの」 |
| 069 | 広茂 | 「そうか?」 |
| 070 | 友華 | 「パパとママみたいに急にいなくなったりしないでね?」 |
| 071 | 広茂 | 「いなく…なる」 |
| 072 | 友華 | 「もう寂しい想いは嫌だよ…」 |
| 073 | 広茂 | 「彼氏作ればすぐに俺なんかいらなくなるって」 |
| 074 | 友華 | 「そんなんじゃないの!」 |
| 075 | 広茂 | 「明日に響くから早く寝た方がいいぞ起きれなかったら大変だろ」 |
| 076 | 友華 | 「うん。お兄ちゃんもね」 |
| 077 | 広茂 | 「あぁ…もう少ししたら寝るわ」 |
| 078 | 友華 | 「おやすみ、お兄ちゃん」 |
| 079 | 広茂 | 「…いなくならないでね…か。俺、いなくなっちまうのかな」 |
| 080 | キル | 「そうだ。」 |
| 081 | 広茂 | 「折角、友華が立ち直ったばっかだって言うのに、俺がいなくなったらアイツを誰が面倒みんだよ…」 |
| 082 | キル | 「獅子は谷から子を落とすらしい。それでも獅子の子は崖を這い上がって逞しくなるそうだ」 |
| 083 | 広茂 | 「何が言いたい」 |
| 084 | キル | 「お前が心配するほどあの娘はか弱いわけではないだろう」 |
| 085 | 広茂 | 「…別れがもうすぐ…か」 |
| 086 | 友華 | 「おはよう、お兄ちゃん」 |
| 087 | 広茂 | 「あ、あぁ」 |
| 088 | 友華 | 「寝不足?顔色超ワルいよ?」 |
| 089 | 広茂 | 「顔色?」 |
| 090 | 友華 | 「病人みたいに真っ青。頬もこけてきているし。ちゃんとご飯食べてる?」 |
| 091 | 広茂 | 「まぁ…」 |
| 092 | 友華 | 「ちゃんとしないと病気になっちゃうからね」 |
| 093 | 広茂 | 「病気…か」 |
| 094 | 友華 | 「あ、今日日直だから先に出るね。皿洗いは帰ってからやるから。それじゃ、行ってきます」 |
| 095 | 広茂 | 「そんなに顔色悪いかな…」 |
| 096 | キル | 「機能が止まっているんだ。段々腐ってもくる」 |
| 097 | 広茂 | 「ゾンビってやつか」 |
| 098 | キル | 「近日中に身体がいうこときかなくなってくる」 |
| 099 | 広茂 | 「はは…ゾンビか…」 |
| 100 | キル | 「やり残したことがあれば早めに済ますことだな」 |
| 101 | 広茂 | 「いっそ、頭にボルトしめて、フランケンシュタイーンッてか」 |
| 102 | キル | 「やりたければやればいい」 |
| 103 | 広茂 | 「やるかっ!・・・これが死んでいくということか」 |
| 104 | キル | 「死を緩やかにしたものだ。死とは気付かない内に忍び寄り、突然襲いかかって来て一瞬のできごと」 |
| 105 | 広茂 | 「生殺しも惨いな」 |
| 106 | キル | 「死を徐々に受け入れていけるように配慮した結果だがな」 |
| 107 | 広茂 | 「死刑宣告をされ、死神の鎌をヒタヒタと喉元に突き付けられ、ただ振り下ろされるのを待ち続ける。そんな気分だ」 |
| 108 | キル | 「そうか」 |
| 109 | 広茂 | 「生きている気がしないな」 |
| 110 | キル | 「間もなく死ぬ身だ。満足に生きるも不満足に生きるもお前の自由だ」 |
| 111 | 広茂 | 「くっ…」 |
| 作者のツブヤキ |
| もし病気なりなんなりで余命数ヶ月…数週間と言われたら… あなたは何したいですか?何を望みますか?…その答えはすぐに出せますでしょうか。 私はすぐには答えが出ないと思います。 今も何したいと訊かれても「特にはない」…と。夢も希望もあったもんじゃないですね。 多分、少しでも自分が存在した証を残したいとして作品を最期の最期まで作品を創り続けるのではないでしょうか。 |
(※どの作品からのコメントなのか、URLのfree/○○○.htmlの『数字3桁のみ』の後、続けてコメントを記載して頂けると助かります) |