若頭

若頭

◇声物語劇団より最新情報


シナリオ詳細
掲載元 声物語劇団 公式サイト
声物語劇団 オリジナルボイドラ劇場
作者 月宮東雲
登場キャラ数 :2:2
総セリフ数 106
製作日 2011/8/27〜2011/8/27
概要説明  昔ながらの駄菓子屋さんを気に入ってる美空。けど、その駄菓子屋は地上げ屋に狙われていて…
美空は自分の家の組織のことを何も知らなかった。ずっと慈善事業団体だと、そう信じ込んでいた。
自分が若頭と呼ばれる所以を知りもしなかった。本当の正体とは――
利用にあたって 利用規約
目安時間
登場キャラ セリフ数 性別 備考
内村
(うちむら)
18 組を取り仕切る現、頭の右腕。黒スーツを着こなし、左頬に深い切り傷痕がある。美空には優しい
ヤス 27 安田さん。通称の由来は名前からでもなく、趣味が百均巡りのため、「安もん」という、そこからつけられた。
美空
(みそら)
38 頭の娘。現役女子高校生。明るく朗らかでクラスでもそれなりな人気者。若頭と呼ばれることをあまり快く思っていない
23 駄菓子屋を営む優しいおばあちゃん。大の子供好きで美空を娘のように可愛がる。地上げ屋へ必死に抵抗している






【邸宅】(リビングに顔出す美空)

001 美空 「おはよう、内村さん」
002 内村 「おはようございます、若頭」(深々と頭下げる)
003 美空 「もう、若頭はやめてって言ってるでしょ内村さん」
004 内村 「頭の娘で、次期頭のお嬢様を若頭以外に呼ぶ名は…」
005 美空 「美空ってちゃんと名前があるんだから美空って呼んでよね」(頬を膨らませながら)
006 ヤス 「アニキッ!…あぁ、これは若頭ッ!?おはようごぜぇますっ」(飛び込んできて、美空に気付き慌てて頭下げる)
007 美空 「はぁー…」(大きなため息をつく)
008 ヤス 「へ?あっし何か悪いこと言いましたか?」(内村と美空の顔を交互に見ながら)
009 美空 「内村さぁん?」(内村をジロっと睨む)
010 内村 「ヤス、あっちで話すぞ」
011 ヤス 「へい」
012 内村 「スミマセン、若頭。少しヤスと話があるので失礼します」
013 美空 「もぉ…学校行ってきます」(リビング出ていく)
014 内村 「いってらっしゃいませ」
015 ヤス 「いってらっしゃいやせ、若頭」
016 内村 「…で、何だ。ヤス」
017 ヤス 「へいっ、以前から立ち退かない強情なババアがいやして」
018 内村 「まだ立ち退かないのか」
019 ヤス 「こっちが頭下げてるつうのにつっぱねやがって…」
020 内村 「言い訳はいい、さっさと物にしろっ。あそこは組の領地なんだからな」
021 ヤス 「へぇ!…しかし、どうしやしょうかね」
022 内村 「なに、慈善団体じゃないんだ。手段は問わない。それにどうせ相手は老い先短い婆さんだ…」
023 ヤス 「へへっ、んじゃドカン、ボンと景気よくいきますか」(ニヤリと笑い、手で爆発の仕草をする)
024 内村 「どうせサラ地にするんだ。灰にした方がいい肥やしになりそうだ」
025 ヤス 「ちげぇねぇ」(ニヤニヤ笑う)
026 内村 「ヤス、分かってんだろうな?足がつくようにはすんなよ」
027 ヤス 「分かってやすって。…まぁ、事故って炎上爆発なんてよくある話でさぁ」
028 内村 「運転席から出火は聞かないがな」
029 ヤス 「ま、うまくやりやすってアニキ」
030 内村 「…さて、若頭には困ったもんだな」(玄関の方を見ながら)
031 ヤス 「若頭ですかぇ」
032 内村 「頭が元気な内に引き継いでやっともらいたいんだが…」
033 ヤス 「まだ話してないんですかい、アッシらのこと」
034 内村 「慈善団体だと思っている」
035 ヤス 「そいつぁ、おめでた…あ、いやっ…難しい年頃やすもんねぃ」
036 内村 「自覚してもらうためにも名前で呼ぶわけにはいかないんだ」
037 ヤス 「あぁ、それで先ほど若頭が怒っていたんですね」
038 内村 「困ったものだ…」
039 ヤス 「んじゃあ、アニキ。いってくらぁ」
040 内村 「あぁ目に物見せてやれ」(ニヤリと笑う)



【夕方 駄菓子屋】(椅子に腰かけてる婆のところにやってくる美空)

041 美空 「おばあちゃん、駄菓子買いにきたよー」
042 「あいあい、いつもありがとね、美空ちゃん」
043 美空 「今時駄菓子屋さんなんてなかなかないからねー」
044 「今の子でそんなこと言ってくれるの美空ちゃんくらいだよ」
045 美空 「スーパーとかだとこうやっておばあちゃんとお話できないしさ」
046 「そうだねぇ、若い子はそんなこともしなくなってきたからねぇ」
047 美空 「私は商店街とかのあの感じ好きだったな、ちょっとお節介だけどサービスしてくれたりするあの感じ」
048 「そうだねぇ、昔はみんなそんなんだったんだけどねぇ…」(遠くを見、懐かしむように)
049 美空 「やっぱりたちまちシャッター街になっちゃったね…」
050 「時代にそぐわないのかね、このお店も潮時かもしれないねぇ」
051 美空 「私が必死に買いに来るから大丈夫だよっ!なくしたりしないっ」
052 「ありがとう美空ちゃん。…けどねぇ」(俯く)
053 美空 「何かあったの…おばあちゃん?」
054 「んにゃ…美空ちゃんに心配かけることじゃないよ…」(弱々しく笑う)
055 美空 「何でも言ってよ、力になるからさっ」
056 「話しちゃうと美空ちゃんに迷惑かけちまうかもしれんよ」
057 美空 「大丈夫大丈夫。こう見えても私、家がおっきな団体だから、きっと力になれるよ」(胸を張る)
058 「今から話すことは心にしまっておくだけでいいからね」
059 美空 「うんっ」
060 「最近地上げ屋が来るようになって、店をたためって出てけって来るようになってねぇ…出てかないつもりならどうなっても知らないぞって」
061 美空 「何それ…」
062 「ここは自分達の土地だって先祖代々から引き継いできた地を奪われるような形では渡せないよ」
063 美空 「おばあちゃん、警察には言った?」
064 「言ったけど、相手にしちゃくれなかったよ。事件があってからじゃないと動いてくれないんってねぇ」
065 美空 「なにそれ、ヒドい!何かあってからじゃ遅いじゃないっ」
066 「放火されたら調べてあげますよって…なんだか悲しくなったわねぇ」(寂しそうに)
067 美空 「おばあちゃんを困らせる奴等を許せないっ、ぶん殴ってやる」(立ち上がって腕振る)
068 「まぁまぁ頼もしいこと。でもありがとね、気持ちだけ戴いておきましょ」
069 美空 「ホント、その悪党たちが次きたら呼んでよね。おばあちゃん」(ブンブンと鞄を振りながら笑いかける)
070 「気をつけて帰るんだよ」(手を振る)
071 美空 「おばあちゃんこそね!…おばあちゃん、危ないっ!」(店の外に出て迫りくるトラックに叫ぶ)
072 ヤス 「な…若頭ッ!?曲がれェッ」(運転席から美空の姿を確認し、ハンドルをきる)
073 美空 「大型トラックがこんな狭い道を疾走するなんて…」
074 「いよいよ殺して奪いにくるかぃ」
075 美空 「そんなことさせないっ!…トラックが燃えてる…」(衝撃音と共にトラックが炎上)
076 ヤス 「熱い…あちぃよぉ…イテェ…」(運転席から転がり落ちてくる)
077 美空 「ヤス?」
078 「やっぱり、この人だわ。怒鳴り散らしに来るの」
079 美空 「ヤスが!?」
080 ヤス 「畜生…ドジっちまった。若頭がそこにいるとは…うぅ」(ヨロヨロと立ち上がる)
081 「美空ちゃん、知り合いなのかい?」
082 美空 「私の家の団体に所属している人で…ちょっとどういうことなの!ヤス」(ヤスに掴みかかる)
083 ヤス 「ひぃ…若頭…」(顔を強張らせ、数歩下がる)
084 美空 「説明なさい!」(眉吊り上げて怒鳴る)
085 ヤス 「そこのババアが土地を売らないのが悪ぃんだ!金も払うって言うのに強情に渡さねぇからッ」(婆を指差して喚き散らす)
086 「あたしゃねぇ昔っからここに住んでんだよっ!それを出てけって、おまけにはトラック突っ込ませて脅しかいっ」(腰に手を当て、ヤスを睨み付ける)
087 美空 「ヤス、あなた…」
088 ヤス 「ひぃ…ちがっ!これは…」(首を激しく振り、尻もちつく)
089 美空 「内村さんの命令?」
090 ヤス 「…いや、あっしが…あっしがここの土地欲しくて…」
091 美空 「こんな真似二度としないでっ!」
092 ヤス 「へいっ、若頭」
093 美空 「慈善団体じゃなかったの?私のことずっと騙してたの?」
094 ヤス 「いや、違うんです、若頭…若頭にはできるだけ気遣わせないってアニキの配慮でして」
095 美空 「そんなのヒドい…今すぐ帰ってよ!ヤス」(俯きながら)
096 ヤス 「けど、若頭…」
097 美空 「いいから今すぐ目の前から消えてっ!」
098 ヤス 「へ、へぇっ!」(慌てて逃げ去る)
099 美空 「ヒドい…酷過ぎる…私、おばあちゃんになんてこと…」
100 「美空ちゃんは悪くないよ。あたしゃそろそろ店を畳もうと思っていて、丁度良かったのかもしれないねぇ…」
101 美空 「そんなことないっ!絶対に潰したりさせないっ…おばあちゃん、お店を…丸ごと買い取らせて貰っていいかな?土地じゃなくてお店を。おばあちゃんはここで暮らしていていいから」
102 「何を考えているんだい?美空ちゃん」
103 美空 「私がおばあちゃんの代わりにこの店をやる。そしたらきっとさっきみたいには絶対ならないんだから」
104 「苦労かけるねぇ…いいよ、好きに使いなさい。おばあちゃんは先が短いからもう引退だよば」
105 美空 「絶対に引き継いでみせる!見ててね、おばあちゃん」
106 「あいあい、楽しみだねぇ」






作者のツブヤキ
 ぶっちゃけよくありそうな話でごぜぇました。
露骨な悪徳地上げ屋はバブル時代の時に多く出没したと聞き及んでます。家燃やしたり、トラック突っ込ませたり嫌がらせってレベルを超えた立ち退き要求。
真偽は定かではないですが(基本的ブラックで真相は闇の中のため)、怖いですよね…借金取りだって怖いし…。
攻撃的や好戦的なタイプは苦手ッスから出来れば会いたくないジャンルではありますわ。
美空みたいな若頭がいたら変わっていくのかな
 最近、すっかり駄菓子屋さんって姿消しましたよね。自分も歩いて十分以内のところに2ヵ所ありましたがどちらも今はないですわ。
これもまた時代の流れなんですかのぅ…まぁ化学調味料の塊は一般的に売れにくくなったのかもしれませんね。普及していったので。

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