君に贈る鎮魂歌

君に贈る鎮魂歌

◇声物語劇団より最新情報


シナリオ詳細
掲載元 声物語劇団 公式サイト
声物語劇団 オリジナルボイドラ劇場
作者 月宮東雲
登場キャラ数 :1不問:2
総セリフ数 104
製作日 2011/6/29〜2011/6/29
概要説明  戦地の廃墟で彷徨う親を失いし、子供たち。
ゆっくりと近づき、死へと誘う死神たち。
散り行く魂に捧げる鎮魂歌は今日も戦地を駆け巡る…。
利用にあたって 利用規約
目安時間 5分半程度   【〜10分】
登場キャラ セリフ数 性別 備考
詩人 39 戦地から戦地を歩き回り、彷徨う魂たちに鎮魂歌を捧げる吟遊詩人。
死神 53 戦地を徘徊し、命尽きそうな者を狩る残忍な殺し屋。冥界への案内人でもある。
子供 12 母親とはぐれ、母親を捜し回る幼い子供。






【町の廃墟】(戦場となり、崩壊した建物と道に転がる屍)

001 死神 ――あの人は最初から変だった
002 子供 「ママー、ママー?」(トボトボ歩きながらキョロキョロ捜す)
003 死神 「ママが見つからないんだ?」(屈んで子供の顔を覗き込み、にっこり微笑む)
004 子供 「うん…うん…ママ知ってるの?」
005 死神 ――知ってる。あの瓦礫の山の中。 (横目で崩壊した建物を見る)
006 子供 「お姉ちゃん、ママを知ってるの?」(小首を傾げる)
007 死神 『子供だけは…あの子だけは助けて下さい…と懇願された。母親のあるべき姿…なのか』
008 子供 「ママ、ママァー…」(反応がないので再び捜しかける)
009 死神 「お姉さんがお母さんのところへ連れて行ってあげようか」(肩をポンと叩く)
010 子供 「ほんと?」(ぱぁっと笑顔になる)
011 死神 ――あの母親がいたら泣き叫んで庇っただろうか?分からない
012 子供 「ほんとにお母さんの所に連れて行ってくれるの?」
013 死神 ――誘(いざな)ったのは私だ。何処にいるかも知っている。嗚呼、あの母親は私を恨むのだろうか
014 子供 「ママのところへ連れていって!」(服の袖を引っ張る)
015 死神 「覚悟はいい?」(ニッコリと冷たく笑いかける)
016 子供 「覚悟?」(小首を傾げる)
017 死神 「大丈夫、痛みはないから」(大鎌を取り出す)
018 子供 「お姉ちゃん、その大鎌なぁに?」
019 死神 「お姉さんのお仕事の道具」
020 子供 「お仕事?」
021 死神 「道案内人」
022 子供 「わかったぁ、だからママのこと知ってるんだぁ」
023 死神 「…冥界行き。お一人様ご案内…」(そっとほくそ笑んで呟き、大鎌を振り下ろす)
024 子供 「お姉…ちゃん…?」(目を見開き崩れ倒れる)
025 死神 「ママには直に会えるよ」(亡骸を見下ろしながら)
026 詩人 「…エゲツないねぇ」(琴をかき鳴らしながら)
027 死神 「っ…」(硬直する)
028 詩人 「そんな小さい子にまで手をあげちゃう?」
029 死神 「関係ない」
030 詩人 「君、死神でしょ?」
031 死神 「見えるの?」
032 詩人 「見えない。…と言ったら?」
033 死神 「あなたに構っている暇はない」(踵を返し、すれ違おうとする)
034 詩人 「戦場でそんな馬鹿げた獲物を持ち歩く変わり者なんてそうそういない。違うかい?」(大鎌を指差す)
035 死神 「戦場で丸腰で琴をかき鳴らしている馬鹿な人もそうそういない。違う?」(立ち止まり、振り向いて見る)
036 詩人 「なる…ほど…。そうくるか…そうだな、私は戦地を歩き回る旅の吟遊詩人というところ。彷徨える死者たちに鎮魂歌を…とね」
037 死神 「鎮魂歌?」
038 詩人 「いつの間にか見えるようになってたわけさ。唄を歌って見えるようになるとはね…おまけに死神も見えるときた。そろそろお迎えってわけ?」(苦笑する)
039 死神 「知らない。」
040 詩人 「死神が見えると死ぬんだろ?」
041 死神 「普通はね。でも、あなたを狩りに来たわけじゃない。だからあなたはまだ死なない」
042 詩人 「死ぬまで歌い続けろ…か」(苦笑)
043 死神 「あの子には歌わないの?」
044 詩人 「よく言うよ、死神様。魂奪っておきながら」
045 死神 「仕事だから」
046 詩人 「仕事だから…ね。ふーん…まぁ、一つ歌うか。」(そっと琴をかき鳴らす)
047 死神 「……」
048 詩人 「眠れ、今安らかに。君を受け止めよう…眠れ、今安らかに。私は包み込む空…星は瞬き目印に、月は満ち欠け日は昇る」
049 死神 「鎮魂歌…ね」(そっと呟く)
050 詩人 「優しい風、君は風になって旅をする。高く高く…だから怖くない。冷たい石に君はなりやしない――……」(余韻を残して弾き終える)
051 死神 「自分で考えたの?」
052 詩人 「自前の曲よ」
053 死神 「素敵な曲ね」
054 詩人 「ありがとう」
055 死神 「魂も癒されると思う」
056 詩人 「空へ高く高く昇って行く魂は何処へ消えるのか、知っているのは死者か死神。…何処へ?」
057 死神 「…あの世」
058 詩人 「はぁはぁはぁ、なるほどね。知っている以上の回答はしないと。」(何度も頷きながら)
059 死神 「生きている者に死の世界を教えられない」
060 詩人 「死神界の規則?」
061 死神 「……」
062 詩人 「いや、死神界を知ってどうのとかじゃないからどうだっていいんだけど」
063 死神 「人は考える生き物。…違う?」
064 詩人 「違いない。…ところで、四季宿亭を知っているかい?」(苦笑し、問いかける)
065 死神 「人間の宿に興味はない」
066 詩人 「違う違う。森羅万象の人間以外のあらゆる奴等が来てるのよ。死神とか神様とか、妖怪とか…」(両手を広げて説明)
067 死神 「変な人…」
068 詩人 「信じていないな。ほんとにあるんだ。いつか行ってみるといい」
069 死神 「四季宿亭…」
070 詩人 「ところで君の名前は?」
071 死神 「名前なんてない」
072 詩人 「仲間同士で呼んだりしないのかい?」
073 死神 「識別は記号だから」
074 詩人 「記号ね…0とか9とか?」
075 死神 「人語には変換できない」
076 詩人 「悲しいね。呼べやしない。けど、私が死ぬ時は…あんたが案内してくれるんだろ?」
077 死神 「……」
078 詩人 「声を聞いて見つけてくれるんだろ?また会えるのを楽しみにしてる」(ニコニコしながら)
079 死神 「…変な人」(呆れたように呟く)



【戦地】(まだ燻ぶる街の廃墟にて)

080 死神 ――微かな声、聞いたことのある声
081 詩人 「はは…やっぱり…来てくれたか」(瓦礫の隙間から弱々しく笑いかける)
082 死神 「ヒドい顔…」
083 詩人 「へへ…ガキがいたから…潜り込んだら…崩れてきやがった…」
084 死神 「琴は?」
085 詩人 「あそこで御陀仏さ…」(目で絃の切れた琴を見る)
086 死神 「唄を奏でることもできなくなったのね」
087 詩人 「まぁ…こんなんじゃね…」
088 死神 「案内してあげようか?」
089 詩人 「よろしくお願いするわ…あ、ちょっと待った」(少し大きく目を開ける)
090 死神 「何?」(大鎌を取り出しながら)
091 詩人 「鎮魂歌…歌ってくれないかい?」(ニッと笑う)
092 死神 「やっぱり変な人…」
093 詩人 「たまには聴いてみたいのさ…鎮魂歌を」
094 死神 「…眠れ、今安らかに。君を受け止めよう…眠れ、今安らかに。」(歌い始める)
095 詩人 「あぁ…」(目を閉じる)
096 死神 「私は包み込む空…星は瞬き目印に、月は満ち欠け日は昇る」
097 詩人 「なんだか、ホッとする…」(安堵の息を吐く)
098 死神 「優しい風、君は風になって旅をする。高く高く…だから怖くない。冷たい石に君はなりやしない……」
099 詩人 「ありがとう…」
100 死神 「桜が迎え、彼岸花が咲き乱れる。」
101 詩人 「ん…」(驚いた顔で死神を見る)
102 死神 「一人じゃない、だから安心して眠れ…温かな夢に包まれながら」
103 詩人 「…道案内をよろしく頼むよ、死神さん」(弱々しく笑う)
104 死神 「安らかに眠れ…君に贈る鎮魂歌…」(大鎌を振り下ろす)






作者のツブヤキ
 これから死んでしまうあなたが安心して冥界に行けますように。
歌を聴いて安心してください、ホッとしてください、癒されてください。そんな願いが込められた作品。
台本No.140「鎮魂歌が聞こえない」のタイトルもいいなとは思いましたが、死神が詩人へ送る鎮魂歌の物語。
これに隠された裏話はラジオで紹介しようかなって思います。
もうすぐネットラジオ…声劇台本紹介型ラジオ番組『四季宿亭ラジオ』が始まりますッ☆

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