湯けむり温泉旅路-りんご湯の宿−

湯けむり温泉旅路-りんご湯の宿−

◇声物語劇団より最新情報


シナリオ詳細
掲載元 声物語劇団 公式サイト
声物語劇団 オリジナルボイドラ劇場
作者 月宮東雲
登場キャラ数 :2
総セリフ数 173
製作日 2017/2/22〜2017/2/22
概要説明  仲良し先輩後輩の温泉旅行。今回もまた、千と萌の二人旅行。
冬の雪道を超え、昔ながらの温泉地へ。萌の一つの恋がまた終わり、傷心旅行。
魔法のりんご湯は心の傷を癒してくれるのか―――
利用にあたって 利用規約
目安時間    
登場キャラ セリフ数 性別 備考
桑原 萌
(くわはら もえ)
90 クワトロさん。学生時代の千と圭の後輩で、現在、大学の職員として働いている。半年ほど付き合った彼氏と別れ、傷心中
友越 千
(ともこし せん)
83 体力系。旅館を選ぶときは料理を重視する。ザっぱな性格で細かいことは気にしないが、飯にはこだわる。宅配業に就職した模様。彼氏の気配が全くない



【昼 山道】(昼食を食して宿へ向かう道中 萌運転しながら)

001 「あんかけっ!やっぱり時代はあんかけですよ」
002 「広東麺(カントンメン)なー。確かにあの旨味というか、脂身というか、あの味はなんやか…癖になるんよね」
003 「ですよね!こうふわーっというか、食べた後の幸福感がぶわーっと広がるというか」
004 「危ないもんでも入ってるんちゃうか」
005 「まさかー。でも、中毒性ありますよね」
006 「時々麻婆豆腐が食べたくなるようなのと、似たようなもんかもしれへんな」
007 「あそこの麻婆豆腐は、よく食べる麻婆豆腐とは味が違いましたよね」
008 「山椒とか香辛料とか入っとう感じの。まぁ、汗かいたわ」
009 「先輩、めっちゃ汗かきながら食べてましたもんね」
010 「辛いのとか熱いのとか、あぁいうの食べるとすぐ出るからなー」
011 「いいじゃないですか。新陳代謝がいいのは、いいことなんですよ?」
012 「んまぁーせやけどなー」
013 「昨日天気大荒れって聞いてたからハラハラだったんですよ。こっち山だし、雪凄いんじゃないかって」
014 「そこそこだったようで、良かったなー」
015 「先輩の運転だと田んぼに突っ込みそうですからね」
016 「そないひどい運転やないやろ。やけど、やけにスイスイ運転するな。山道慣れとんけ?」
017 「…この道はよく通ったんで」
018 「仕事で通るようなことあったんけ?」
019 「プライベートですっ!丁度、一年前とか…何度か」
020 「あー狐と戯れたんやっけ」
021 「狐はモフモフして可愛かったですよ」
022 「モフモフニャンニャン…可愛がられちゃあ、思い出すのも無理ないねんな」(ニヤニヤ)
023 「べ、別にモフモフニャンニャンしてませんよっ」
024 「ここらの山道じゃ、人気なさそうやし?車でイチャラブとか…」
025 「してないですって」(顔真っ赤にしながら 千の方を向く)
026 「うぉっウチを山道で心中させんといてわっ」(蛇行に焦りながら)
027 「もぉ、先輩が変なこと言うからですよ…。あれ…あの車、脱輪してません?」
028 「ほんまやな」
029 「車を避けるのに側溝に落ちちゃったんですかね」
030 「前だけならまだしも、後ろもやで」
031 「え、助けます?」
032 「男手あるならいけるやもしれんけど。まぁ、レッカーとか、ロードサービス呼んどうやろ」
033 「ですよね。若いカップルのようでしたし、楽しそうでしたし」
034 「今、個人的に助けなくて良かったと思うてへんかった?」
035 「いやいや…」(目を横に反らしながら)
036 「個人的当て付けはよくないでー」
037 「別に当て付けじゃないです。最近物騒ですから、あんまり関わらない方がいいと思っただけです」(口とがらせながら)
038 「へーふーほー」(ジト目で見ながらニヤニヤ)
039 「山中に捨ててきますよ、先輩」
040 「怖っ…桑っち社会人になってから怖くなったわ…」



【昼 宿前】(車を停めてチェックイン 部屋へ向かう)

041 「…早く着き過ぎちゃいましたね」
042 「まぁ、15時まで待ったしええんやない」
043 「フロントも凄くモダンな造りですね、先輩」
044 「バーカウンターあるで」
045 「そちらで15時から17時までだったら、ウェルカムドリンク呑めるそうですよ」
046 「ホンマに!?荷物部屋に置いたらウェルカームされな」
047 「お部屋は、そこ階段二段ずつ下がった後の、二階のようですよ」
048 「ここら辺の宿って、結構昔ながらのとこ多いから、リフォーム・リニューアルが多いんやろうな」
049 「新しくてきれいですよね。廊下が全面畳ってのも凄いですし」
050 「お洒落なデザインやな」
051 「見て下さい、ドアのステンドグラス調が可愛い!」(部屋のドアを指さしながら)
052 「なんかあれやな、ファンタジー映画のドワーフの小屋みたいな」
053 「わぁお部屋も凄いモダン!これがモダンクラシックですかね」
054 「マッサージチェアあるで」
055 「そこですか。庭が外じゃなくて棚になってますよ!こういうの初めて」
056 「部屋もええ感じやな」(マッサージチェアに埋もれながら)
057 「先輩はマッサージチェアがあれば、どこでも気に入りません?あ、お茶飲みます?」
058 「せやな、まずはお茶と茶菓子やな」
059 「煎茶とほうじ茶…あ、コーヒーもありますよ」
060 「コーヒーやな、コーヒー!!」
061 「先輩、コーヒー好きですね。えーとこの機械どう使うんです?」
062 「適当にスイッチ押してれば、勝手にカップに入るんやないんけ?」
063 「適当ですね…」
064 「缶コーヒー派やからな」
065 「…先輩、上には注がれたけど下に落ちてきません」
066 「何でやっ」
067 「わからないです…」
068 「詰まっとんのか…?ここ押してみ?」
069 「あ、出ました!出ましたけど、ここ手動ってあり得るんですか…」
070 「本来なら別の注ぐのがあったりするんやない?」
071 「謎ですね」
072 「謎やな」
073 「…とりあえずお菓子食べましょう」
074 「せやな」



【夕方 浴場】(りんごの香りが広がる小さな浴場)

075 「今の時期、リンゴ風呂らしいですよ?楽しみです」
076 「カピバラが柚子湯に入ったりするのは、テレビでよう見るけど」
077 「リンゴなんて初めてです。…わぁ、本当にリンゴ浮いてますよ!」
078 「お、ほんまや」
079 「あ、入るのは、ちゃんとかけ湯とかしてからですよ」
080 「桑っちも圭みたいに言うようなったんけ…」
081 「言いますよー。…そんなに強くないですけど湯気に混じって甘い香りしますね!」
082 「花が浮かんでたのはあったけど、こう果物が浮いとうと、食べとうなるなー」
083 「どんだけ食い意地張ってるんですか。あ、脇の方に、露天風呂もありますね」
084 「露天より先にリンゴ風呂や」
085 「そうですね!」
086 「お先!」
087 「あ…先輩待って下さいよっ」
088 「この浮いてる玉どかすのは、ボール風呂思い出すわ」
089 「あーありますね。小さい子供が入るカラーボールが沢山のに埋もれる…」
090 「こういう玉見ると、お手玉しとうなるわ」
091 「甘そうな匂い…美味しそう」
092 「ほっ…とっ…やっ…」(器用に3つから4つへ、リンゴをお手玉する)
093 「先輩さりげに上手くないですか」(感心する)
094 「よう、ばあの家でしとったからなー」
095 「へー…あ、凄く小さい。みかんよりちっちゃい、ツリーに飾るリンゴみたいのもありますよ」
096 「てやっ」(萌へりんごぶつける)
097 「痛っ…いった!?先輩、痛いですよ!?何ですかっ」
098 「こうボールみたいなの持っとうと投げたくならへん?」
099 「リンゴ硬いんですから投げないで下さい、アザになるじゃないですか」
100 「キスマークってことで」(ニヤニヤしながら)
101 「キスマークってことでじゃないですよ…もぉ」
102 「よっと…ぁ…」(リンゴが壁にぶつかり粉砕する)
103 「ちょっと先輩!リンゴ粉砕しないで下さいよッ」
104 「あちゃー」
105 「あちゃーじゃないですよ…どうするんですか。飛び散っちゃったじゃないですか…」
106 「つい何回水切るかなって思うて…」
107 「見事に張り付いちゃってるじゃないですか…もぉ。怒られても知りませんよ」(壁についたリンゴの欠片をマジマジ見ながら)
108 「日頃のストレスがーって言えば、宿のおにーさんたちも許してくれるで」
109 「もぉ…さっさと露天風呂入って上がりますよっ」
110 「あ、ウェルカームされてへんっ」
111 「はいはい、ですね。もう時間になりますから急ぎますよ」



【夜 食事処】(バーカウンターでウェルカムドリンク飲み 食事処へ移動)

112 「バーカウンターでスパークリングワインを飲めるなんてなんかお洒落でしたね!」
113 「大人の女になった桑っち」(ニヤニヤ)
114 「えぇ、大人になーりーまーしーたー」
115 「まぁ食事はこれからや、ガッツリ食べ」
116 「もぉ食べます…おばんさいバイキングみたいですよ」(入口に並べられ数々の惣菜大皿を眺めながら)
117 「山菜とか里芋とか、田舎料理が食べ放題やな」
118 「食べれるかな…」
119 「お、このお酒全部飲み放題なん?」(メニュー表見ながら)
120 「赤ワインとか白ワインとか日本酒なんかもかなり種類ありますよ、え、ほんとに飲み放題なんですか。後で料金請求されたり…」
121 「今おにーさんご自由に言うたで」(店員指差し、舌なめずり)
122 「普通に居酒屋とかじゃ、一杯400円500円取られそうですよね」
123 「全部制覇するき」
124 「飲み過ぎないで下さいよ」
125 「食事に合わせて頼むで。まずは清酒からやな」
126 「前菜の小鉢きれいで可愛いですね」
127 「味も美味しいわ」
128 「先輩こういう宿見つけるの上手ですよね」
129 「食事で選んどうからな」
130 「名物の包み揚げらしいですよ」
131 「揚げ餃子の皮みたいなのが、ええな。めっさ好きやで」
132 「先輩ッ、これ中から半熟卵が…とぅるーって!」
133 「興奮しすぎや、桑っち」
134 「いいから食べてみて下さい先輩ッはやくッ」
135 「そない急かすなわ…ンム…うまぁ…なんやこれッ」
136 「ね?ね?美味しいですよね」
137 「肉汁に絡まるように溶け出す卵の黄身が…」
138 「料理漫画みたいな、そんな凄さですよね」
139 「赤ワインとめっさ合うわー」
140 「先輩、ペース早くないですか?もっとゆっくりでも…」
141 「全部飲みとうからな。平気や平気」
142 「牛タンの煮込みステーキなんて私初めて食べました」
143 「ウチも初めてやわ」
144 「国産の鴨鍋に締めの雑炊…私おばんざいまで食べれません…」
145 「桑っち、そないで音あげるん?」
146 「そういう先輩だって、食べれるんです?」
147 「夜食のフルーツは部屋に持ってこう…」
148 「ですよね…でも大満足!とっても美味しかったです」
149 「ほな、部屋でゆっくり休むで」
150 「御馳走様でした」



【夜 部屋】(ゴロっと横になる千 寝る準備を淡々とする萌)

151 「結局何杯呑んだんですか、先輩…」
152 「んー、十くらいやない」
153 「飲み過ぎですよ」
154 「あない種類あったら飲みとうなるわ」
155 「まぁ…気持ち悪くないならいいですけど」
156 「気持ちええくらいやで」
157 「そうですか」(千をチラッと見た後、俯く)
158 「……なしたん?」
159 「何がです?」
160 「ムニムニするか?」(ニヤニヤしながら)
161 「何ですか、ムニムニって。絡み酒はやめて下さいー」
162 「あつーい夜が忘れられんけ?」
163 「もぉ…何ですかっ。私だって辛いんですよ…なのに先輩」
164 「それより忘れられない夜にしたろうか」(目を細めて微笑む)
165 「そういうの結構ですっ…もぉ先輩と旅行行く時は、今後峯岸(みねぎし)先輩一緒じゃないと、身の危険感じます」(頬を膨らませて、胸元隠しながら)
166 「ええんやで、ウチの布団に入ってきても」(自分の布団めくって、横ポンポン叩く)
167 「はいはい。先輩も彼氏ができたら分かります」
168 「彼氏ができても、ウチの横は桑っちのためにあけといたる」
169 「いいです。…でも誘ったら一緒に温泉旅行に来て下さいね…」
170 「桑っちはかわえーなー」
171 「もぉ…おやすみなさいっ」
172 「おやすみぃ」(ニコッと笑いながら)
173 「…ありがとうございます、先輩」(布団で顔隠して呟く)






作者のツブヤキ
 地方紙の記事の広告で小さく紹介されていた冬季限定の、3月までのりんご風呂。
姫りんごのような、凄く小さなりんごとか、ひたすら30個くらいのりんごがプカプカ浮いてます。
りんごの甘い香りが浴場にこもっていて、凄くよかったです。
こんなに面倒見のいい先輩がいたら、心の傷が癒されそうな気もするんですけどね。現実はなかなか。
気持ちのいい温泉に入って、美味しいもの食べて、リラックスして…また明日から頑張りましょう。

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