001 |
あき |
「うぅ…寒…朝から冷えるな」(体をちぢこませながら廊下を歩く) |
002 |
はる |
「おはようございます、あきちゃん」 |
003 |
あき |
「これははる殿、おはようございます」 |
004 |
はる |
「仲居の間の方の囲炉裏の火を起こしておきましたから、温まってくださいね」 |
005 |
あき |
「かたじけない」 |
006 |
はる |
「それでは私は朝食のお手伝いをしてきますね」(ペコッと頭下げて去る) |
007 |
あき |
「あ、ああ。いってらっしゃい……やはり、はる殿は気が利くなぁ」(手で裾を掴みながら振って、見送った後呟く) |
008 |
ふゆ |
「仲居の間…暖まってるのか…自分も行こうかな…」(ぽそっと呟く) |
009 |
あき |
「しかし、裸足だと足の裏が痛くなるな…いや、鍛えが足りないだけだ。あぁそうだ。…みそぎでもしないとな!…いや、ちょっとこの寒さでみそぎは…うぅむ」(考え込み始める) |
010 |
ふゆ |
「あきさん、お部屋に行かないんですか?」 |
011 |
あき |
「うわっ!?ふゆ殿!いつからそこに!?」(驚き飛び退く) |
012 |
ふゆ |
「いや…自分後ろなんですけど…」 |
013 |
あき |
「あや…、すまぬ…姿が見えぬ故な…」(後頭部をかきながら後ろ振り返る) |
014 |
ふゆ |
「そこにも自分いない…けど」 |
015 |
あき |
「どこを向けば良いかわからぬではないかっ!…あ、いや…見えぬ某が悪いのだが…」(言った後、バツ悪そうに) |
016 |
ふゆ |
「寒くないんですか?」 |
017 |
あき |
「さ、寒いと思うから寒いのであってな!…さ、寒くなんてないぞ。あぁ!師匠なんか、乾布摩擦で体を温めるのだからな!」(強がる) |
018 |
ふゆ |
「乾布摩擦?」 |
019 |
あき |
「手拭で体を擦って、摩擦で発生する熱を利用するのだ。擦る動作で動いて体が温まる、実に考えられた技だ」 |
020 |
ふゆ |
「見たい…」 |
021 |
あき |
「む……まぁやってみようか。ここなら人が来ないだろうし。ムンッ……寒ゥッ!?」(気合入れて上半身晒姿になり、慌てて自分を抱き締める) |
022 |
ふゆ |
「そんなに寒いかな…空気は澄んでいるけど…」 |
023 |
あき |
「肌が切れてしまいそうなほど寒いぞぞぞ……早くやって体を温めなければばばッ」(ガチガチ歯を鳴らしながら袴から布を取り出す) |
024 |
ふゆ |
「わくわく…」 |
025 |
あき |
「はぁぁぁぁぁ…」(乾布摩擦開始) |
026 |
はる |
「あきちゃんなにされてるんですか?」(お膳を運びながら) |
027 |
ふゆ |
「乾布摩擦だって」 |
028 |
はる |
「こんな寒い中、そんな恰好しちゃ風邪ひいちゃいますよ」(クスッと微笑みながら) |
029 |
あき |
「意外と効果があってだな…この寒さの中、耐えられる体になるもの…だぞ」(キリッ |
030 |
はる |
「あら……?」(あきの動かす白い布を見て小首を傾げる) |
031 |
ふゆ |
「温まってきた?」 |
032 |
あき |
「あぁ、だいぶ温まってきたな。流石乾布摩擦だ」(しみじみと) |
033 |
はる |
「あの…あきちゃん?」(頬を赤くして恥ずかしそうに眼を逸らす) |
034 |
あき |
「む?どうされた、はる殿」 |
035 |
はる |
「その…あの…」(モジモジしながら) |
036 |
あき |
「ポロリはしておらぬが…?」(晒を確認しながら不思議そうに) |
037 |
はる |
「その布……ふ、褌じゃないですか?」(目を強くつぶり恥ずかしそうに) |
038 |
あき |
「へ?」 |
039 |
ふゆ |
「どれどれ…?」(袴をめくる) |
040 |
あき |
「わわっ!?袴が勝手にめくれて…ひぃっ!スース―する!!」 |
041 |
ふゆ |
「ほぅ…これも健康法?」 |
042 |
はる |
「ノーパン健康法もいいかもしれないですけど、お客様の前で見つかると大変なことになりますからね!気を付けてくださいねっ!それじゃっ…」(顔赤らめそそくさと去る) |
043 |
あき |
「違っ…はる殿!?誤解だっ!なつめッ!くそぉぉお」(はるを追おうとするが諦め、怒りで褌握りしめる) |
044 |
ふゆ |
「そういえば…昨晩なつさんがイタズラとかって寝ている時に帯と交換してたような…」 |
045 |
あき |
「な…」(怒りと恥ずかしさで耳まで真っ赤になる) |
046 |
ふゆ |
「今まで気付かず褌を帯にしてたんかい……」 |
047 |
あき |
「もうお嫁に行けぬっ!」(わっと床に伏せる) |
048 |
ふゆ |
「…大丈夫。そういうの趣味の人もいると思うから。あきさんが、そういうのに目覚めるのもありだし…」 |
049 |
あき |
「どちらも嫌だッ」 |
050 |
ふゆ |
「まぁまぁ、あれだ。袴めくる楽しみ減っちゃうしね…」 |
051 |
あき |
「めくるなっ!」 |
052 |
ふゆ |
「四季宿亭のポルターガイストらしいですから」(キリッ |
053 |
あき |
「厄介なのは、なつ一人で十分だ」 |
054 |
ふゆ |
「最近本を飛ばすの飽きちゃって…」 |
055 |
あき |
「本を飛ばす!?」 |
056 |
ふゆ |
「読み終えた本はビューンヒョイって…念力ッ」 |
057 |
あき |
「便利な…いや、如何わしい力だ!卑猥だ、ふゆ殿!そうやって女子(おなご)の衣服をめくったりなどとはな、例え同性でも…ならんぞ」 |
058 |
ふゆ |
「ポルターガイストの特権!」 |
059 |
あき |
「えぇいっ!ポルターガイストだの、霊だの、存在しないのだ!」 |
060 |
ふゆ |
「じゃぁ、自分は何?」 |
061 |
あき |
「……透明人間?幽霊ではない。うむ、断じてないぞ」 |
062 |
ふゆ |
「斬れぬものほど、怖いものはない…」 |
063 |
あき |
「そ、そう!だからこそ幽霊は…って、違っ」 |
064 |
ふゆ |
「ふっふっふっ…怖いのは斬れないものだけじゃない…見えないことも。自分はあきさんの秘密をたくさーん知ってて…」 |
065 |
あき |
「ちょ…待っ…人が悪いぞ!ふゆ殿」 |
066 |
ふゆ |
「もう人じゃないですよ、幽霊ですよ」 |
067 |
はる |
「四季宿亭の知識の宝庫という以上にデータベースだったりするんですよね…ふゆちゃんは…」(諦めたようにため息をつく) |
068 |
ふゆ |
「なつさんに、あきさんの秘密をこそっと教えてきますね〜♪」 |
069 |
あき |
「ふゆ殿!待たれよっ!なつが調子に乗るであろうっ!ふゆ殿っ」(追いかける) |
070 |
はる |
「お二人さん、朝食が間もなくできますよー、食前の運動も程々にして下さいねー。…朝から元気ですねー、いいこといいこと」(るんるんしながら去る) |