001 |
あき |
「ここが四季宿亭…」(秋風に吹かれ紅葉が舞い上がる) |
002 |
なつ |
「秋は芋煮だろ?月見だろ?紅葉狩りだろ?きのこ狩り?イベント盛り沢山さ」(風呂場の岩に座りながら指折り数える) |
003 |
はる |
「お風呂の落葉もきれいですけど、お掃除が大変ですよね」(苦笑する) |
004 |
なつ |
「だなー、それはめんどい…」 |
005 |
あき |
「師匠のおっしゃった通り、景色が本当に素晴らしいところだ。このような場で修行に励めるのは、幸せだ」(舞っている紅葉の葉を手に取り、眺めて頬を緩める) |
006 |
はる |
「秋の季節が過ごしやすくて好きです」 |
007 |
なつ |
「食いもんも美味いしな。それに尽きる!」 |
008 |
はる |
「彩り鮮やかな料理が、お膳に並びますものね」 |
009 |
あき |
「さて、挨拶に参るとするか。…御免!夢想流山(むそうるざん)師匠の元から参った!…誰か、誰かいないのかっ」(四季宿亭の玄関に入り、声を張り上げる) |
010 |
はる |
「あれ?ふゆちゃんは、いないんですか?」(ふと周りを見回して) |
011 |
なつ |
「あぁ、何か忘れてると思ったら、ふゆか」(ポンと手を叩く) |
012 |
はる |
「忘れていたんですか?」 |
013 |
なつ |
「はるが来たあの時も、ふゆに声かけようと思って忘れてた」(ペロッと舌出す) |
014 |
はる |
「ヒドいですよ」 |
015 |
なつ |
「いやぁ、はると違って獣人にゃ、常時見えるもんじゃなくてね」 |
016 |
はる |
「そうなんですか?」(小首傾げる) |
017 |
なつ |
「ふゆのこと見えんのは、死者とか神々に仕える者とか現世の以外の者。逆に言うと、現世に近い者にはなかなか認識できないってこと」 |
018 |
はる |
「じゃあ私は現世にいたから…」(少し考え込む) |
019 |
なつ |
「はるは土地神だろ」 |
020 |
はる |
「は、そうでした」(ハッとする) |
021 |
あき |
「たのもー、たのもー!…誰もいないのか?不用心な…スン…スンスン。この香りは湯の匂いか…スンスン…少し汗臭いかな。一風呂浴びさせて頂くとするか…」(草履を脱ぎ、上がるとキョロキョロし、漂う温泉の匂いに肩の匂いを嗅ぐ) |
022 |
なつ |
「ふゆは本が好きだからな。幽霊だから食事も取らなくていいから呼ばないと書斎から出て来ないぞ?」 |
023 |
はる |
「そうなんですか?」 |
024 |
なつ |
「たまに散歩してるみたいだけど」 |
025 |
はる |
「ふゆちゃんとまだあんまりお話したことないです」 |
026 |
なつ |
「あんまり喋んないからなぁ」 |
027 |
あき |
「ふぅ…修行の一環とは言え長旅は疲れるな…いや、これしき大したことはないっ大したことないぞっ!あぁ!」(脱衣所にて脱ぎながらため息をつき、慌てて首を振り、気合を入れ直す) |
028 |
はる |
「今日のお客様は…」(思い出すように) |
029 |
なつ |
「夕刻に団体さんのご到着さぁ。ハードだぞ?あのラッシュは」 |
030 |
はる |
「そんなに大変なんですか?」 |
031 |
なつ |
「猫の手を借りたくなる」 |
032 |
はる |
「ひぇー大変ですね…」 |
033 |
なつ |
「頑張れよ、はる」 |
034 |
はる |
「なっちゃんもです!」 |
035 |
なつ |
「えー?」(面倒そうに) |
036 |
はる |
「もぉ…」 |
037 |
あき |
「失礼する。ほぉ…これは見事な浴場だ」(ガラッと浴場の戸を開け、見渡し感嘆の声をあげる) |
038 |
はる |
「あれ?誰か入って来たみたいですよ?」 |
039 |
なつ |
「はる2号じゃないか?」(はるを小突く) |
040 |
はる |
「またまたぁ…でも、お客様じゃないですよね」 |
041 |
なつ |
「誰もいないと、なんで風呂に来るんだ?裸で」 |
042 |
はる |
「お風呂に入りたくなるんですよ」 |
043 |
あき |
「湯に紅葉を浮かべるのもまた趣があるな…」(温泉に浮く紅葉を掬い上げ、ほっと息をつく) |
044 |
なつ |
「…なぁ、はる」 |
045 |
はる |
「なんですか?」 |
046 |
なつ |
「辻斬りか何かの類いか?風呂場に刀を持ち込んでるぞ」(あきの右手に握られた鞘を指差す) |
047 |
はる |
「え…護身用じゃないんですか?」 |
048 |
なつ |
「護身用って…普通じゃないだろ?初めて見たぞ」 |
049 |
はる |
「刀錆びないんですかね」(小首傾げる) |
050 |
なつ |
「声掛けにくいぞ…ウチ、まだ尻尾をアクセサリーにされたくないし」(尻尾隠しながら) |
051 |
あき |
「湯加減は…うむ丁度いいな。それでは失礼して…」(足に軽くかけ、確認するとそろそろと湯に浸かろうとする) |
052 |
なつ |
「はる、行け」(はるを小突く) |
053 |
はる |
「なっちゃんこそ…」(なつを小突く) |
054 |
なつ |
「じゃ、一緒に一緒に…」 |
055 |
あき |
「はぁぁぁ…骨の髄まで染み渡るようだ…」(口から魂を出すかのように…手ぬぐいを頭に乗せる) |
056 |
なつ |
「行くぞ?3、2、1…で」(指でカウント合図する) |
057 |
はる |
「はい。3…2…1…」(頷き、小声で) |
058 |
なつ |
「わっ!」(あきの前に飛び出し、両手を広げて襲い掛かる威嚇ポーズ) |
059 |
はる |
「あのっ!」(精一杯勇気を出して) |
060 |
あき |
「わわわわわわっ、あだっ!うーーん…」(びっくりして転び、後頭部を床にぶつける) |
061 |
はる |
「何で、『わっ』なんですか、なっちゃん」 |
062 |
なつ |
「いや、だって…ねぇ?」(目パチクリさせながら) |
063 |
あき |
「うーん…」(気絶しながら呻く) |
064 |
はる |
「何が『ねぇ?』なんですか…あぁっ大丈夫ですか?」(あきに駆け寄り揺さぶる) |
065 |
なつ |
「お?頭ぶつけて気絶したの?意外と間抜けだな」(あきを見下ろす) |
066 |
はる |
「なっちゃんのせいですよ!えと、とにかくお部屋に運びましょう」 |
067 |
なつ |
「うぇーめんどい…このまま放置じゃダメ?」(頭で腕組みながら) |
068 |
はる |
「ダメです。」(キッパリ) |
069 |
なつ |
「何なんだよー、勝手に来て勝手に気絶して…だらしないったらありゃしない」(口尖らせながら担ぐ) |
070 |
はる |
「なっちゃんが悪いんですから文句言わない!」 |
071 |
なつ |
「あいあい…」 |
072 |
あき |
「う…某は…」(目をうっすらと開け、呟く) |
073 |
はる |
「あ、気が付きました?」 |
074 |
あき |
「ハッ…曲者めっ!!」(脇に置いてあった刀を掴み、鞘から抜く) |
075 |
四季 |
「おぅおぅ看病してもらった恩人さんに刀向けるのは武士道に反するんじゃないかい?」(ぷはぁっと煙吐きながら) |
076 |
あき |
「むっ」(四季を見る) |
077 |
四季 |
「それに挨拶もまだときた」(顎で合図する) |
078 |
あき |
「ハッ…しまった、某としたことが…」(ハッとして頭を抱える) |
079 |
四季 |
「話は聞いているが、なんだい夢想流山の弟子とか?」(目を細めながら) |
080 |
あき |
「申し遅れました、某…夢支那秋歩(ゆめしな あきほ)と申します。夢想流山師匠の下で鍛えられ、此の度、四季宿亭で修行してくるよう…」(正座し直し、背筋を伸ばす) |
081 |
四季 |
「なるほどねぇ…あの流山が弟子をね」(懐かしそうに笑う) |
082 |
はる |
「四季さん、お知り合いなんですか?」 |
083 |
四季 |
「古くからの友人でね、まぁ関わりあいは深いわな」 |
084 |
あき |
「師匠からよろしくお伝え下さいとのご伝言を承っております」(一礼する) |
085 |
四季 |
「いや、よろしくじゃなく、泊まりに来いよ。一日くらい」 |
086 |
あき |
「はぁ…」(某に言われても困る…的なニュアンスで) |
087 |
四季 |
「んで、弟子のあんたを預かってくれってか。風呂場でのびてたあんたを」 |
088 |
あき |
「お恥ずかしいばかりで…」(俯き、頬を染める) |
089 |
四季 |
「あーなんか、手紙きてたな。忙しくて開けてなかったが。ふーんなるほど。了解、あとはなつやはる、面倒見てやってくれ」(煙管をふかしながら) |
090 |
はる |
「はいっ」 |
091 |
あき |
「よろしくお願い致します」(深々と頭下げる) |
092 |
四季 |
「あーちなみにあんたの名前は今から『あき』だから。『夢支那秋歩』はいなくなったからよろしく」(立ち上がりながら) |
093 |
あき |
「ハッ…有難く頂戴致します」(頭下げる) |
094 |
はる |
「私は『はる』。よろしくね、あきちゃん」 |
095 |
あき |
「よろしくお願い致します」 |
096 |
なつ |
「お、目覚めたのか。ウチは『なつ』や。よろしくー」(顔を覗かせる) |
097 |
あき |
「う、うむ…」 |
098 |
なつ |
「さ、覚えることはてんこ盛りだからな」 |
099 |
あき |
「それぐらいこなしてみせる」 |
100 |
はる |
「一緒に頑張りましょうねっ」(両手でガッツポーズをする) |