シナリオ詳細 | |
掲載元 | 声物語劇団 公式サイト 声物語劇団 オリジナルボイドラ劇場 |
作者 | 月宮東雲 |
登場キャラ数 | ♂:2不問:2 |
総セリフ数 | 88 |
製作日 | 2015/7/9〜2015/7/9 |
概要説明 | かつていた魔王が勇者に倒されてから平和が続き、いつしか人々の中から勇者は英雄化され、 魔王はおとぎ話だけのお話とされていった。その魔王がかつての長い長い眠りから目覚めて…… |
利用にあたって | 利用規約 |
目安時間 |
登場キャラ | セリフ数 | 性別 | 備考 |
隊長 | 16 | ♂ | 国境付近を守る兵士の髭も顔も渋い隊長 |
兵士 | 17 | ♂ | 国境付近を守る長年の平和ボケで危機感を失っている兵士 |
魔王 | 28 | ? | 遠い昔、勇者に敗れ、眠りについていたが、傷が癒え長い長い眠りから目を覚ます。 |
ゾロルノーヴ | 27 | ? | 魔王の忠実なる下僕。魔王が眠りについている間、魔王軍残党で魔王城を死守し続ける |
001 | 兵士 | 「ふぁーー退屈退屈」 |
002 | 隊長 | 「ちゃんと見張っていろ」 |
003 | 兵士 | 「平和が一番と言っても、こうも何もないと退屈ってものでさ」 |
004 | 隊長 | 「平和になるとこうも平和ボケした輩が誕生するわけか」 |
005 | 兵士 | 「兵士の仕事って言ってもコソ泥を捕まえただの、迷子のお手伝いだの…」 |
006 | 隊長 | 「いくらお隣さんが攻めてこないからと言って気を抜くな」 |
007 | 兵士 | 「突然ドンパチ戦争が始まるわけでもないわけだし」 |
008 | 隊長 | 「こう危機がないと腑抜けの出来上がりってわけだ」 |
009 | 兵士 | 「まぁ非常事態には対応しますよ?その為に訓練して槍とか使えるようになったわけですし」(槍で突く真似する) |
010 | 隊長 | 「その昔、魔王が現れた時、砦に行けと言われたら、墓穴に行くようなものだと言われていたがな」 |
011 | 兵士 | 「魔王って、どれ程昔の話だか。隣国と共闘するために創られた共通の敵ですよね」 |
012 | 隊長 | 「魔王があったからこそ、隣国とも友好な関係とも言われているがな」 |
013 | 兵士 | 「もはやおとぎ話ですよ、おとぎ話。魔王なんておとぎ話の登場人物」 |
014 | 隊長 | 「こう何もない日々が続くとな」 |
015 | 兵士 | 「童話作家が創った出来たストーリーなんですよ。子供のころ、わくわくして聞きましたけどね」 |
016 | 隊長 | 「もし現れたら、俺たちが真っ先に駆けつけて市民を守らないといけないんだからな」 |
017 | 兵士 | 「ハイハイ、オレたち一人一人が勇者様ですからね」 |
018 | 隊長 | 「まぁそういうことだ。」 |
019 | 兵士 | 「おとぎ話の魔王を倒すためのおとぎ話の登場人物ってわけですか。ならこの世界もおとぎ話でできているのかもしれないですねー」 |
020 | 隊長 | 「おとぎ話はベッドの中で見るんだな」 |
021 | 兵士 | 「初めにおとぎ話をしたのは隊長じゃないですか」 |
022 | 隊長 | 「今は退屈と暇と、平和の中の仕事と戦ってくれ」(肩をポンと叩き去る) |
023 | 兵士 | 「へいへい。おとぎ話はおとぎ話。魔王なんてくだらない話は子供にだけ語ってくれって」 |
024 | 魔王 | 「……ッ―――」 |
025 | ゾル | 「お目覚めですか、魔王様」 |
026 | 魔王 | 「…またしばし眠りについても良い気分だが」 |
027 | ゾル | 「魔王様が眠りにつかれてから数百年…人間どもは魔王様の恐怖を忘れ、好き勝手しております」 |
028 | 魔王 | 「そうか」 |
029 | ゾル | 「魔王様…」 |
030 | 魔王 | 「…余が眠りについた数百年。黙って指を咥えていたか」 |
031 | ゾル | 「とんでもございません。我が魔王軍残党で何度も進撃致しましたが…勇者共に返り討ちにあい…」 |
032 | 魔王 | 「魔王軍残党?」 |
033 | ゾル | 「ハッ!わ、私としたことがッ」 |
034 | 魔王 | 「フフッ、敗者には相応しい言葉だろうな」 |
035 | ゾル | 「も、申し訳ございませんッ」 |
036 | 魔王 | 「まぁ、永き間に積もり積もった感情もあろうな」 |
037 | ゾル | 「め、滅相もございませんッ」 |
038 | 魔王 | 「……長い長い夢を見ていたようだ」 |
039 | ゾル | 「夢…でございますか」 |
040 | 魔王 | 「…夢のせいで、貴様の名も忘れてしまったようだ」 |
041 | ゾル | 「ハハッ。私はゾロルノーヴでございます。魔王様に忠誠を誓い、お目覚めになるまで常に共におりました」 |
042 | 魔王 | 「そうか、ゾル」 |
043 | ゾル | 「ハッ」 |
044 | 魔王 | 「貴様は余に何を求める?」 |
045 | ゾル | 「何を……?と、とんでもございませんっ魔王様に私のようなものが求めることなど…」 |
046 | 魔王 | 「何も求めない…と。そう…言うのだな?」(ギロリと睨む) |
047 | ゾル | 「いや、その…あの…」(慌てる) |
048 | 魔王 | 「久しぶりの会話でろくに話もできなくなってしまったか?ゾル」 |
049 | ゾル | 「うぇうぇうぇ…」(焦って言葉にならない) |
050 | 魔王 | 「貴様が余に何をして欲しいのかと訊いている」 |
051 | ゾル | 「お、恐れながら申し上げます。私は、魔王様に眠りにつかれる前の……あと一歩であった世界征服を…人類を支配して欲しゅうございます」(土下座する) |
052 | 魔王 | 「魔王としての力を取り戻せ…と。そう申すか」 |
053 | ゾル | 「ハハァッ!」(額を床にこすり付ける) |
054 | 魔王 | 「……その言葉。もっともだろう」 |
055 | ゾル | 「私が言うことではございませんでしたっ出過ぎた真似をッ」 |
056 | 魔王 | 「寝ぼけてしまって頭がうまく回っていないようだ」 |
057 | ゾル | 「はっ……えっと…」 |
058 | 魔王 | 「引き続き余のサポートを頼む。何、眠りについて疎くなったこの世界に余より詳しいのは貴様だろ」 |
059 | ゾル | 「ハハァッ!魔王様の為に身も心も、血の一滴までも捧げますッ」(深々と頭下げる) |
060 | 魔王 | 「…さて、再び勇者を探すとするか」 |
061 | ゾル | 「魔王様が目覚められたということはどこかに勇者が誕生していてもおかしくないですからね」 |
062 | 魔王 | 「…また死の淵に追いやられたとしても…我は勇者と」 |
063 | ゾル | 「魔王様…如何いたしましょうか」 |
064 | 魔王 | 「余が勇者と対面するのはこの玉座で…だ」 |
065 | ゾル | 「魔王様のお力を持ってすれば、人類を支配するのにそんなにかかりません」 |
066 | 魔王 | 「…おとぎ話の魔王はな」 |
067 | ゾル | 「おとぎ話の魔王…でございますか?」(ポカンとする) |
068 | 魔王 | 「昔話も年月が経てば、やがてはおとぎ話になるそうだ」 |
069 | ゾル | 「いかにも愚かな人間たちの考えそうなことですね」 |
070 | 魔王 | 「語り継いで消えない歴史とするためなのか。それとも現実から目を逸らすための物語か」 |
071 | ゾル | 「手始めに何から始めましょうか、魔王様」(ニヤリとする) |
072 | 魔王 | 「何から?ゾル。余は魔王ぞ」 |
073 | ゾル | 「わ、私はまたもや魔王様に…ももも、申し訳ございませんッ」 |
074 | 魔王 | 「何、魔王の在り方を説こうとしたまでだ。謝るな」 |
075 | ゾル | 「ハハッ」 |
076 | 魔王 | 「魔王はな…勇者が目の前に現れるその時まで、玉座に座り、待ち続ける。そういうものだ」 |
077 | ゾル | 「ハァッー!」 |
078 | 魔王 | 「まもなく始まるわけだ、おとぎ話の悪夢が」 |
079 | 兵士 | 「敵影確認できませんッ!」(土煙を見ながら叫ぶ) |
080 | 隊長 | 「何が起きているんだッ」 |
081 | 兵士 | 「次々仲間がやられてますっ」 |
082 | 隊長 | 「クソッ平和ボケしていたザマがこれかッ」 |
083 | 兵士 | 「隣国が攻めてきたわけでもないのであれば、この正体不明の原因は…」 |
084 | 隊長 | 「おとぎ話の魔王様ってわけだ」 |
085 | 兵士 | 「隊長、こんな時にバカな事言ってないで下さいよ」 |
086 | 隊長 | 「じゃあ世界の終りか?」 |
087 | 兵士 | 「縁起でもない事を言わないで下さいよっ」 |
088 | 隊長 | ……いや、俺たちの人生の終わり……だった―――(迫りくる魔物の一撃に目を見開く) |
作者のツブヤキ |
魔王の誕生っていつも唐突なんだと思います。そして平和ボケした人々。 長い長い平和が続くとどうしても人は危機感を忘れてしまうものかと。 長く続けば、やがて語り継がれていく物語と変わり、そして自分たちとほど遠い、ただのおとぎ話のように感じてしまう。 戦争も恐ろしいけど、人間たちが全く歯の立たない相手って恐怖だと。 魔王と勇者なんてとっくに忘れ去られた、おとぎ話のそんな物語。 |
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