001 |
シャルル |
「よぉーし、絶好の交戦日和だなー」(雨戸を開きながら) |
002 |
ルイ |
「なに物騒なこと言ってるんですか…」 |
003 |
シャルル |
「空が青い。ルイ、上に行こうか」 |
004 |
ルイ |
「シャルル司令官、仕事してください…」 |
005 |
シャルル |
「仕事って?」 |
006 |
ルイ |
「戦況の報告書や通信兵に対する返信や激励、部下たちに士気高揚のための激励やねぎらいの言葉など…」 |
007 |
シャルル |
「あぁ。あんな紙っきれ何の役に立つの?」 |
008 |
ルイ |
「紙っきれって…伝えることに意味があるんですよ?」 |
009 |
シャルル |
「勝つか負けるかって話でしょ?そんなの首都まで攻められれば負けてんだし、来なければ勝ってるっての!察しろ」 |
010 |
ルイ |
「どんだけアバウトなんですか…」 |
011 |
シャルル |
「で?ねぎらいの言葉などだっけ?」 |
012 |
ルイ |
「えぇ、まぁ。上司の励ましって嬉しいものですから」 |
013 |
シャルル |
「いつもゴクロウサマ」(棒読み) |
014 |
ルイ |
「なんだって棒読みなんですか!?」 |
015 |
シャルル |
「はい、言ったよ。これで満足?」 |
016 |
ルイ |
「ちょっ、バカにしてんですかっ」 |
017 |
シャルル |
「言葉だけじゃ足りないの?」 |
018 |
ルイ |
「そうじゃなくて…っ」(息呑む) |
019 |
シャルル |
「なでなで、いつもご苦労様〜」 |
020 |
ルイ |
「僕は子供ですかっ」(恥ずかしいのを隠すため怒鳴る) |
021 |
シャルル |
「ん?嬉しくない?なでなで〜って」 |
022 |
ルイ |
「もぅっ恥ずかしいからやめてくださいっ!」(手払いのける) |
023 |
シャルル |
「士気上がった?」 |
024 |
ルイ |
「あがるわけ…あがるわけ…あがりましたよ……」(じっと見られているのに気付き言い換える) |
025 |
シャルル |
「OK」 |
026 |
ルイ |
「ですが、これ兵士の一人一人にやるつもりなんですか?」 |
027 |
シャルル |
「何?違うことしたいの?」 |
028 |
ルイ |
「誤解するようなこと言わないでくださいっ」 |
029 |
シャルル |
「え…何考えたの」(軽蔑するように) |
030 |
ルイ |
「ちょ、そこだけドン引きしないでくださいよ。今の僕、悪くないですよ!」 |
031 |
シャルル |
「……」(軽蔑の目) |
032 |
ルイ |
「何でそんな目で見るんですかっ、え?僕悪くないですよね?」 |
033 |
シャルル |
「ま、いいや。上行こう上」 |
034 |
ルイ |
「ちょ、お待ちくださいっ!被弾したらどうするんですかっ!?」(シャルルのあとを追う) |
035 |
ルイ |
「シャルル司令官、もう少し行動を謹んでください!」 |
036 |
シャルル |
「敵がきたら物陰に隠れればいいよ」 |
037 |
ルイ |
「戦闘機が爆破するでしょうが!」 |
038 |
シャルル |
「ルイはうるさいなぁ〜」(迷惑そうに) |
039 |
ルイ |
「嫌われても言いますよ、あなたは我々の上司なんですから」 |
040 |
シャルル |
「よっこらせー」(滑走路に仰向けに寝る) |
041 |
ルイ |
「シャルル司令官ッ!」(呆れたように) |
042 |
シャルル |
「空がきれいやわー」 |
043 |
ルイ |
「その空から敵機がきたらどうするんですか…」 |
044 |
シャルル |
「ルイが撃破してくれるよ」 |
045 |
ルイ |
「他人任せですかっ!何ですか、僕の目からビームが出るとでも言うんですか」 |
046 |
シャルル |
「え、ビーム出るの?」 |
047 |
ルイ |
「出ませんよっ!」 |
048 |
シャルル |
「残念」 |
049 |
ルイ |
「残念なのは頭だけにしてください」 |
050 |
シャルル |
「………」 |
051 |
ルイ |
「ん?どうされました?もしかして…お怒りですか?」 |
052 |
シャルル |
「……ん、ちょっとね」 |
053 |
ルイ |
「…多少言い過ぎたかもしれませんけど、僕はいつ敵が現われるか…」 |
054 |
シャルル |
「ルイ、私ってばおかしい?」 |
055 |
ルイ |
「…思考がですか?」 |
056 |
シャルル |
「やっぱりおかしいと思うよね。蒼き瞳のロナンバルド」 |
057 |
ルイ |
「民族特有のその容姿…その尖った耳のこととかですか?」 |
058 |
シャルル |
「賢き少数民族。ロナンバルドの特徴でこの地位にいるのだもの」 |
059 |
ルイ |
「我々と容姿は違えども、同じ国、国を守る軍人ではありませんか。民族なんて関係ないです」 |
060 |
シャルル |
「きっと部下たちの中でも面白くないと思っている者がいると思う」 |
061 |
ルイ |
「思いたい奴は思わせていればいいですよ。そんなこと気にしている人間は、器の小さい奴なんですから」 |
062 |
シャルル |
「でも…」 |
063 |
ルイ |
「それこそまさしく、空を眺めて自分のちっぽけさを感じてください」 |
064 |
シャルル |
「空…」 |
065 |
ルイ |
「この広い空を眺めているとどれだけ自分が小さいものなのか。そんなシャルル司令官を見て、太陽や月が笑いますよ?」 |
066 |
シャルル |
「…蛙君よ蛙君。君はどうしてこんな狭いところに住んでいるんだい?」(少し声色変えて) |
067 |
シャルル |
「何を言っているんだい?亀君。僕の家はこんなに広いよ。こんなに素敵な家はここのほかにないよ」 |
068 |
シャルル |
「ほぇ?僕の住んでいるところの方が数百倍広いよ。大海だけど」 |
069 |
シャルル |
「大海だって?」 |
070 |
シャルル |
「そうだとも。上には…」 |
071 |
ルイ |
「上には青い青いどこまでも続く空にその下に青々と広がる海。僕はこんな狭いところじゃ暮らせないよ」(シャルルの台詞途中から入る) |
072 |
シャルル |
「ここが狭いだって?」 |
073 |
ルイ |
「今度遊びにおいで。お邪魔したね」 |
074 |
シャルル |
「大海かーどんな素敵なところなんだろう…」 |
075 |
ルイ |
「…世間知らずの蛙のお話ですか」 |
076 |
シャルル |
「井の中の蛙、大海知らず…井戸の中に住む蛙君は井戸より広い世界を知らないんだ。そして大海を聞いてそれに憧れた」 |
077 |
ルイ |
「確か、何かの書物に書かれていましたね。学生の時に聞いたんだったかな…」 |
078 |
シャルル |
「されど空の深さを知る」 |
079 |
ルイ |
「空の深さ?」 |
080 |
シャルル |
「井戸の上を眺めるとそこには空が広がり、空の広さは知っていた。それは手の届かないものだとも」 |
081 |
ルイ |
「あれ?そんなのあるんですか?」 |
082 |
シャルル |
「世間知らずではあるが、自由だけは知っていたというお話」 |
083 |
ルイ |
「へぇ…」 |
084 |
シャルル |
「…ま、何でもいいや!空見てるとどうでもよくなった!」(大きく伸びをして) |
085 |
ルイ |
「その調子ですっ。シャルル司令官が意気消沈してますと、我々までショボンとしますからね。一心同体です」 |
086 |
シャルル |
「じゃあ、ルイも元気になるのを手伝ってよ」 |
087 |
ルイ |
「…はぁ。たまには気晴らしに付き合いますけ……うわっ!シャルル司令官!避けてくださいッ!!」(敵機接近、二人へ威嚇射撃) |
088 |
シャルル |
「ほぅ…その喧嘩買った!!…こほん。全軍に告ぐっ!敵国の襲撃、迎撃する。総員、配置につけ!」 |
089 |
ルイ |
「…戦闘開始ですね」 |
090 |
シャルル |
「全軍突撃ッ!!」 |
091 |
ルイ |
「いや、シャルル司令官。全軍出撃したら守りが希薄になりますッ。どう見ても今の哨戒機だったじゃないですか。挑発ですよ」 |
092 |
シャルル |
「…よかろう戦争だ」 |
093 |
ルイ |
「いやいや、突撃するなら本部とかの応援とか」 |
094 |
シャルル |
「応援とか待ってたら首都まで攻められる。察しろ」 |
095 |
ルイ |
「いや、ここは察するところじゃないと思います…。」 |
096 |
シャルル |
「あと2機目視したら私も出撃するから」 |
097 |
ルイ |
「ちょっ…何言ってるんですか!我々の頭脳、上司、作戦の要である司令官自ら突撃してどうするんですかっ」 |
098 |
シャルル |
「言ったでしょ?絶好の交戦日和だって」 |
099 |
ルイ |
「いや、え?ちょっ、お待ち下さいッ、シャルル司令官!ちょっと!バカ言わないで下さいよッ」 |
100 |
マラド |
「ほぅ…あのロナンバルドの……。それはそれは」(戦況図を見つつ、目を細める) |
101 |
シャルル |
「只今、前線航空基地より帰還しました」(敬礼し、入室) |
102 |
マラド |
「ほぅ…これはシャルル大佐。遠方よりご苦労だったなぁ」 |
103 |
シャルル |
「ハ…」(頭下げる) |
104 |
フラン |
「無事、前線基地は役目を果たしたものの、我が国の旗色がよろしくない…」(チラチラ、シャルルを見つつ) |
105 |
マラド |
「うむ…。だがな…」 |
106 |
フラン |
「国が危機だというのに国民の危機感はまるでないっ」(憤る) |
107 |
シャルル |
「フラン将軍は、何をお咎めで…?」 |
108 |
マラド |
「なに、戦時中に映画や娯楽施設を利用するのが不謹慎とのことを…だ」 |
109 |
フラン |
「そなたもそう思うであろう?」 |
110 |
シャルル |
「あ、いや…戦時中とはいえ、本能や煩悩があるのが人間。禁欲せよというのも酷な話かと…」 |
111 |
フラン |
「…まぁいい、今回話したいのはそこではないからな」 |
112 |
マラド |
「この旗色の悪さをどう覆すかであろう?」 |
113 |
フラン |
「国民総動員だ」 |
114 |
シャルル |
「え?」 |
115 |
フラン |
「国の危機だというのに国民が何もしないでいいわけがないだろう」 |
116 |
マラド |
「国家総動員というと…えー、あー…」(戸惑い、言葉を探す) |
117 |
フラン |
「女子供、老人に至るまで全国民の動員だ」 |
118 |
シャルル |
「フラン将軍、いくらなんでもそれは…」 |
119 |
フラン |
「いくらなんでも…何です?」 |
120 |
マラド |
「非戦闘員である女子供達まで動員するというのは…」 |
121 |
フラン |
「軍人だけでは不足しているこの状況下でそんな言葉が出るんですか」 |
122 |
シャルル |
「非戦闘員と我々軍人と訳が違う。能力だって鍛えているのといないのでは違う」 |
123 |
フラン |
「まずは敵との数を合わせねばなるまい」 |
124 |
シャルル |
「敵の戦闘員と我々の非戦闘員では比べられないっ」 |
125 |
フラン |
「人数が多ければ弾よけくらいにはなる」 |
126 |
マラド |
「国民を盾に使う気かっ」 |
127 |
フラン |
「例えだ、例え。弾よけ以外にも使えるだろ」(鼻で笑うように) |
128 |
マラド |
「…しかし、人員が足りていないのは周知の事実…、止むおえんのかもしれない」 |
129 |
シャルル |
「マラド元帥ッ!?」 |
130 |
フラン |
「なに、国民の中に軍に入らずともそれ相応な力の持ち主だって潜んでいるはず。必ずしも力になる」 |
131 |
シャルル |
「フラン将軍ッ、私めは反対でございますッ。国民をこの戦いに巻き込むのはあまりにも酷かと…」 |
132 |
フラン |
「わかってない…わかってないね、シャルル大佐。平和に呆けている国民たち並みに分かっていないね」 |
133 |
シャルル |
「む…」 |
134 |
フラン |
「あなたのところは確かに敵軍の侵攻を退け、前線で守り抜き、敵軍にも大きな打撃を与えた。だが、全土全体を見回せば、侵攻が進んでいる」 |
135 |
マラド |
「ノベール地方は敵国に陥落してしまったからな…」 |
136 |
フラン |
「国があっての国民である。悠長な事を言っている場合ではないっ。少しでも人手が必要なんだ」 |
137 |
マラド |
「負ければどうなるか…」 |
138 |
フラン |
「マラド元帥、国民総動員の召集、かけて頂けますね?」 |
139 |
マラド |
「うむ……」(諦めたように頷く) |
140 |
シャルル |
「…お二方は、兵士たちの命を何だと思ってます?」 |
141 |
フラン |
「ん?」 |
142 |
シャルル |
「確かに我々軍隊は戦うのを専門とし、仕事として請け負っています。しかしそれは、戦うことのできない政治家たちの代行として戦う、言わば傭兵のようなものです」 |
143 |
マラド |
「侯爵に仕えし騎士とな…」 |
144 |
シャルル |
「話し合いでまとめられなかった尻拭いを我々が犠牲を払ってまで請け負っているという!!」(怒りで顔を赤く染める) |
145 |
フラン |
「黙れッ!!…これ以上の侮辱は国家へ対する侮辱ぞ」 |
146 |
シャルル |
「兵士のみならず、国民たちまでこの争いに巻き込むとはどういうことですかっ」 |
147 |
フラン |
「数が足りないって言っているだろう!!」(怒鳴る) |
148 |
シャルル |
「数々って…人間を…数値でしか見ない。人の数は命の数。フラン将軍は命の重さを感じたことがおありですか?」 |
149 |
フラン |
「命の重さ……戦争の前ではそんなの、国の存亡と天秤にかければいくらあっても傾かない」 |
150 |
シャルル |
「…命の数、かけがえのない人。ただその言葉だけでは少ないように思えるかもしれない。…だけど、その命からは無数の思い出がある」 |
151 |
マラド |
「無数の思い出…」 |
152 |
シャルル |
「命がなくなることは、その人の未来がなくなること。母親から誕生し、育て上げられてきた。どれほど苦労して育て上げられたことか」 |
153 |
フラン |
「む…」 |
154 |
シャルル |
「1つの命…と言ってしまえば軽いかもしれない。だけど、186851時間…私が生きてきた時間。そこには数多くの関わりと思い出が存在している、そうでしょう?」 |
155 |
マラド |
「ぅむ…」 |
156 |
シャルル |
「犠牲者は単純な数だけではない…戦争は、多くの未来と可能性と、紡がれるはずのその人の人生を奪っていく。そうではないのですか?」 |
157 |
フラン |
「…今すぐ戦争をやめて降伏しろと言うのか?」(吐き捨てるように息をつく) |
158 |
シャルル |
「…我々兵士も、国民もあなた方や政治家たちの物でも駒でもないことをお忘れなく」 |
159 |
フラン |
「…ほぅ、それがあなたの言い分か。上官に対しての物言いとは…呆れるを通り越して逆に感心だ」 |
160 |
シャルル |
「出過ぎた真似を致しました…」(頭を下げる) |
161 |
フラン |
「マラド元帥」 |
162 |
マラド |
「む?」 |
163 |
フラン |
「国民総動員を。すぐに召集し、軍と合流へ。指揮は全て軍部へ」 |
164 |
マラド |
「ふむ…」 |
165 |
シャルル |
「く…」 |
166 |
フラン |
「折角の熱弁だけど、美談じゃ戦争は止まらない。戦況も変わらない。現実を見ること、空ばかり見ててもわからないこと」(マラドと共に部屋を出ていく) |
167 |
シャルル |
「…空ばかり見ていてもわからない…かぁ」(小さく呟く) |
168 |
シャルル |
「カエル君、カエル君。君は何故、空ばかり見ているの?」 |
169 |
シャルル |
「やぁ、カメ君。いらっしゃい」(声色変える?) |
170 |
シャルル |
「君はいつも空を見上げてばかり。外に出たいんじゃないのかい?」 |
171 |
シャルル |
「冗談を…。ボクはこの井戸で十分さ、それと目の前に広がる空だけでいっぱいいっぱいさ」(声色変える?) |
172 |
シャルル |
「海から見える、うーんと広い空を見たことがないからそんなことを言っているんだよ。邪魔したね」 |
173 |
マラド |
「…シャルル大佐、少しよろしいかね?」(シャルルに近寄っていく) |
174 |
シャルル |
「あ…ハッ!!」(背筋を伸ばす) |
175 |
マラド |
「うむ…。先ほどの君の考え、確かに頷けた」 |
176 |
シャルル |
「はぁ…」 |
177 |
マラド |
「だがな、戦争…戦いとなるとそんなものになる。命なんて石ころ同然にな…。賢き君がそう考えるのも無理はない。だが、疑問に思ってはいけないものなのかもしれないな」 |
178 |
シャルル |
「死んでいった者たちや我が同志たちを思うとそれは不憫でなりません…」 |
179 |
マラド |
「確か、君は前線基地の戦闘において部下を失ったとか…」 |
180 |
シャルル |
「えぇ…まぁ…」(俯く) |
181 |
マラド |
「すぐにまた戦地へと赴いてもらうことになるため、あとで君の所に新たな部下を行かせよう」 |
182 |
シャルル |
「人は…」 |
183 |
マラド |
「ん?」 |
184 |
シャルル |
「大切な人が傷ついたり、いなくなったりするだけで人は物凄く心配するのに…どうして戦争はこうも物のように人を扱うのか…」 |
185 |
マラド |
「人は…物事の犠牲を換算するときにどうしても理解しやすい形…数値に置き換えてしまう。それは仕方がないこと…また戦争という魔物が人々を変えてしまうのだろう」 |
186 |
シャルル |
「戦争という魔物?」 |
187 |
マラド |
「生きるか死ぬかの、非日常的な出来事。殺さなきゃ殺される。なら殺すしか…殺してもいい…そういった感情へと変わっていく」 |
188 |
シャルル |
「それらの被害者と…」 |
189 |
マラド |
「戦争の本当の加害者とは何なのか…考えなければならないのかもしれないな」 |
190 |
シャルル |
「…元帥」 |
191 |
マラド |
「オパート地方にて敵国の侵攻の阻止、領地奪還の任を任せたぞ。シャルル大佐」 |
192 |
シャルル |
「ハッ…」 |
193 |
テトラ |
「これよりこの地は戦闘地域となる。諸君たちは我々軍に食糧や物資、人員などを今すぐ提供するように」 |
194 |
村人 |
「何だ何だ?どういうことだ!」 |
195 |
農民 |
「何であんだらにやらねばいがんねっ!」 |
196 |
テトラ |
「国民総動員令が全土に下った。戦闘地域になる地区は軍へ速やかに協力し、戦闘を優位にする必要があるっ」 |
197 |
農民 |
「そんなんで納得いぐがよっ!オラたちは税金、作物税とか言われ、キチンと納めがぁっ」 |
198 |
村人 |
「お前たちに提供するほど食いもん余ってねーぞっ!」 |
199 |
テトラ |
「軍に協力しない者たちは国家に反逆する者とみなし、拘束、又は処罰する!」 |
200 |
農民 |
「だんれが協力するがかっ!いぎなし来て食べ物よこせ、くれなきゃ暴力っちゃあ、理不尽だべ!」 |
201 |
村人 |
「そうだ!そうだ!田舎だと思ってなめんなよ!ふざけるなっ!」 |
202 |
テトラ |
「俺は忠告したぞ。協力しない者は反逆する者とみなすと」 |
203 |
村人 |
「あぁ、聞いたとも!そんな国ならいっそ敵国だか何だかの領地になった方がいいわ!」 |
204 |
農民 |
「んだ!んだ!軍は出てけっ!」 |
205 |
村人 |
「帰れ帰れ!」 |
206 |
テトラ |
「…全員拘束しろ」 |
207 |
シャルル |
「待て」 |
208 |
テトラ |
「あ…?」 |
209 |
シャルル |
「現場の指揮官は誰だ…」 |
210 |
テトラ |
「指揮官ってそれは…」 |
211 |
シャルル |
「お前が私の新しい部下なのだろ。命令判断を下すのは私だ」 |
212 |
テトラ |
「…何だと?」(納得いかない) |
213 |
シャルル |
「突然部下が手荒で大変申し訳ないことをした…」(深々と頭下げる) |
214 |
村人 |
「あんたがリーダーか」 |
215 |
シャルル |
「都の方からこの地域を防衛するよう命が下り、やってきた…シャルルという。突然のことで全く理解できないかと思うが…我が国は現在戦闘状態である」 |
216 |
農民 |
「おぅ」 |
217 |
シャルル |
「正直言うと旗色はあまりよくないっ…」 |
218 |
農民 |
「そうなのか?」 |
219 |
村人 |
「で、どうなんだ」 |
220 |
シャルル |
「もうじきこの地域も戦闘地域へとなる。少しでも被害を減らすようこの地を拠点にしてここで敵を撃退するつもりだが…それにはあなたたちの協力が必要なんだ」 |
221 |
村人 |
「協力って、食糧よこせってことだろ?」 |
222 |
農民 |
「村人たちが食うのにいっぱいいっぱいだ。他人にあげられるほどねっ」 |
223 |
シャルル |
「兵士の人数も満足ではなく、兵も徴兵といった形となる」 |
224 |
農民 |
「この村から男手を取ってくがか?」 |
225 |
シャルル |
「村の者たちは守る。安心してくれ…。この村の食糧は兵士たちにとってとても重要なのだ…少しでもいい分けて頂けないか…?」 |
226 |
テトラ |
「貴様ッ!それでも軍人かッ!!」(怒鳴りつける) |
227 |
村人 |
「ひぃっ」 |
228 |
テトラ |
「ろくに動けない、戦えない、弱音は吐く。足ばっかり引っ張って!役立たずめっ!」 |
229 |
農民 |
「ひぃぃぃっ、オラやっぱ畑さ耕してた方がいがった…!」 |
230 |
テトラ |
「あぁ?」 |
231 |
農民 |
「オラは軍人でねっ!農民さ!…無理やり連れてこられただけの農民さ…おっがぁ、お家へ帰りだい…おっがぁ…」(泣き崩れる) |
232 |
テトラ |
「んだとぉ…」 |
233 |
シャルル |
「…なら村に戻れ」 |
234 |
農民 |
「あ…?」(シャルル見上げる) |
235 |
シャルル |
「無理して兵隊やってないで、村に戻れって」 |
236 |
テトラ |
「何を…」 |
237 |
農民 |
「いいのが?…ほんとに村さ、帰っていいのか?」 |
238 |
シャルル |
「あぁ…。いい、お前にはお前なりのやるべき仕事があるんだろ?」 |
239 |
テトラ |
「おぃっ!どういう状況か分かって言っているのか!?」(シャルルの胸ぐらつかむ) |
240 |
シャルル |
「お前はここで死ぬべき人間じゃない。…そうだろう?」 |
241 |
農民 |
「あが…あが…うぇ…うぇぇ…」(泣きながら頭下げ、走り去る) |
242 |
テトラ |
「貴様ッ!いい加減にしろッ!ただでさえ戦力が少なく、苦戦している中、味方を逃がすなどと…正気の沙汰ではないっ!」(シャルルに怒鳴る) |
243 |
シャルル |
「彼には彼なりの仕事があった。ただそれだけだ」 |
244 |
テトラ |
「ふざけるなっ!貴様が上司だ?そんなこと知るか!使えない役立たずの上司の言うことなど聞いていられるか!!」(シャルル突き飛ばし去る) |
245 |
シャルル |
「…正気の沙汰ではない…か。いつからだろう…いつから正気を失ったのだろうな…」 |
246 |
シャルル |
「空が…灰色…か……」 |
247 |
シャルル |
「カエル君、カエル君。また空を見ているんかい?」(声色変えて) |
248 |
シャルル |
「やぁ、カメ君。いらっしゃい」 |
249 |
シャルル |
「今日は青くないじゃないか」(声色変えて) |
250 |
シャルル |
「そりゃそうさ。真っ青のままの空なんてないよ」 |
251 |
シャルル |
「こーんな灰色の空なんてどんより気分もどんより。うんざりだね」(声色変えて) |
252 |
シャルル |
「だけどこんな空でも気持ちのいい雨を降らせてくれるさ」 |
253 |
シャルル |
「そうかね、僕はあんまり気持ちよくないけどね」(声色変えて) |
254 |
シャルル |
「空だってご機嫌斜めな時だってあるさ。コロコロ色んな表情を見せてくれる。そんな空だから楽しいのさ」 |
255 |
シャルル |
「へぇ、そうかい。僕は海の方がいい表情見せてくれると思うけどね。邪魔したね」(声色変えて) |
256 |
シャルル |
「…気持ちのいい雨…か。この乾いた心を潤してくれるのだろうか…」 |
292 |
シャルル |
「調子はどうだ?」 |
293 |
ルイ |
「シャルル司令官!……じゃなかった、シャルル大佐ッ」(慌てて背筋伸ばす) |
294 |
シャルル |
「元気そうで何よりだ。うん」 |
295 |
ルイ |
「お見舞いに来て下さったんですか?」 |
296 |
シャルル |
「まぁ…そんなところだろうな」 |
297 |
ルイ |
「シャルル大佐に来てもらえるなんて感激です」 |
298 |
シャルル |
「嘘をつく口はこの口かー」(ルイの口を引っ張る) |
299 |
ルイ |
「いひゃぃっいひゃいでふっ…ふぁにふるんでふふぁっ」 |
300 |
シャルル |
「元気でたか?」 |
301 |
ルイ |
「いたたたた…もぅ、それはこっちの台詞ですよ!何ですか突然来たと思いきや人の口なんか引っ張って」(口押さえながら) |
302 |
シャルル |
「ルイがやって欲しそうな顔をしてたから…」 |
303 |
ルイ |
「してませんっ!シャルルさんにはどう見えているんだか…」 |
304 |
シャルル |
「くーん、くーん鳴きながら濡れている柴犬だ」 |
305 |
ルイ |
「僕は犬ですかっ!」 |
306 |
シャルル |
「忠犬ルイ公」 |
307 |
ルイ |
「全く…」 |
308 |
シャルル |
「駄犬…」(ぼそっ |
309 |
ルイ |
「何 か 言 い ま し た か ? シャルル大佐…」 |
310 |
シャルル |
「別に―、怪我して耳まで幻聴聴こえるようになった?」 |
311 |
ルイ |
「そんなわけないでしょっ!…そんなシャルル大佐の方はどうなんですか?」 |
312 |
シャルル |
「ん?何が?」 |
313 |
ルイ |
「職場の方ですよ。うまくやってけているんですか?」 |
314 |
シャルル |
「なんだ、まるで問題児扱いしてっ」 |
315 |
ルイ |
「ロナンバルドだ、なんだって悩んでたじゃないですか。本部はさらに風当たり強いんじゃないんですか?」 |
316 |
シャルル |
「別にシャシャらなきゃ問題ないっ」 |
317 |
ルイ |
「……で、シャシャッちゃったわけですね…」(呆れたようにため息つく) |
318 |
シャルル |
「別に…。相手がお偉いさんだって関係ねぃやいっ」(ぷぃっと頬を膨らませながら横向く |
319 |
ルイ |
「子供ですかっ!?…全く、少しは大人になって下さいよ」 |
320 |
シャルル |
「もう大人だ!」(胸を張って答える) |
321 |
ルイ |
「頭もです!」 |
322 |
シャルル |
「な…ルイ、どこ見て『頭も』って言ったんだ?大人だと認めた所があるんだろ?」 |
323 |
ルイ |
「…え」(目を逸らす) |
324 |
シャルル |
「あ、エッチな事考えた〜」(横目でからかうように) |
325 |
ルイ |
「もぅ!からかわないで下さいっ!」 |
326 |
シャルル |
「先の戦闘では惜しい部下を亡くしてしまって…新しい部下をつけられて。あぁ…前の部下?いい奴だったよ…」(しみじみ) |
327 |
ルイ |
「人を死んだみたいに言わないで下さいっ!まだ生きてますよっ!」(突っ込む |
328 |
シャルル |
「いや、うん。ほんと、メンドーな奴が部下になって。大変だったんだからっ」 |
329 |
ルイ |
「シャルル大佐が上司だったら誰でもメンドーなことになると思いますよ」 |
330 |
シャルル |
「失敬だな、ルイは。本気で厄介な任務だったんだぞ」 |
331 |
ルイ |
「はぃはぃ…。で、どう厄介だったんですか?」 |
332 |
シャルル |
「バハートルア地区の防衛戦線任務だったんだけどさー、パートナーの奴が強引でさ…」 |
333 |
ルイ |
「シャルル大佐も強引ですけどね…」(呟く) |
334 |
シャルル |
「村人たちに突然、飯よこせっだの、逆らうのは縛れとか、女子供も趣味で縛っちゃえ。ぐぇへっへっへっとか…」 |
335 |
ルイ |
「どんな悪党ですか。それって盗賊団か何かじゃないですか?いや、本気で。絶対フィルターかかってますよね?」 |
336 |
シャルル |
「私があんたの部下だ。私の命令に従えーと救世主参上。いや、ヒーローかな。正義の味方ビガッとね」(鼻高々に) |
337 |
ルイ |
「なるほど…フラグ立ちましたけどかなり」 |
338 |
シャルル |
「何だと、認めねーとか言ってるが関係なく取り仕切るが。飯も人員も欲しい…ま、私の一声ですぐに集まったがな」 |
339 |
ルイ |
「この人って何でこんなに自分をよく言えるんだろう…?」(首傾げる) |
340 |
シャルル |
「とか、軍人じゃねーやいっとか言ってる村人たちに辞めちまえ!と言ったらその新部下にブチギレられた」 |
341 |
ルイ |
「当然じゃないですかっ!?戦況が良くない時に人員削減してどうするんですか!」 |
342 |
シャルル |
「ルイもそう言うのかー。けどな?けどな?結局彼ら帰したから恩返しに食糧補給に来てくれたんだぞ?」 |
343 |
ルイ |
「それは結果論ですよ。たまたまいい方向に転がったからそう言えるだけで…普通じゃありえませんっ!」 |
344 |
シャルル |
「結果論は結果論でも、結果が大事だろ?結局結果で全てが決まるんだから」 |
345 |
ルイ |
「全く…結果に辿りつくまでの過程にも様々な力があることを忘れないで下さいよ?」 |
346 |
シャルル |
「む…」 |
347 |
ルイ |
「そんなこと言ったらシャルル大佐がそこに立っているのだって結果論なんですから」 |
348 |
シャルル |
「うむ…まぁ…うーん。感謝してるさ、ルイには。うん、感謝してる」(気まずそうに目逸らす) |
349 |
ルイ |
「勝手に突っ走るその行為は賞讃しかねますよ?」 |
350 |
シャルル |
「あの時、ルイが庇って来てくれていなければ今の私はおろか、私という存在そのものすら危うかったからな…」 |
351 |
ルイ |
「哨戒だというのに先陣切って敵拠点周辺を飛行するんですもの。普通じゃ考えられませんよ…全く」 |
352 |
シャルル |
「カメ君カメ君。空は何故あると思う?」(少し声変えて) |
353 |
ルイ |
「お得意のカエル君話ですか…」 |
354 |
シャルル |
「カメ君カメ君、空は何で広いと思う?」(少し声変えて) |
355 |
ルイ |
「…何を言い出すんだい、カエル君」(少し声変えて) |
356 |
シャルル |
「空は飛ぶためにあるんだよ、カメ君」(少し声変えて) |
357 |
ルイ |
「飛ぶためだって?」(少し声変えて) |
358 |
シャルル |
「あんなに広々としているのは自由に飛べるようにするためさ」(少し声変えて) |
359 |
ルイ |
「飛ぶって言ったってカエル君…」(少し声変えて) |
360 |
シャルル |
「どうせ飛ぶなら広々のびのび飛ぶんだっ」(少し声変えて) |
361 |
ルイ |
「…って、そんな理由であんな危険な先頭に行ったんですか!」(目を丸くする |
362 |
シャルル |
「空の広さは自由の広さ。カエルは空の広さと自由を知っていました」 |
363 |
ルイ |
「空を飛んで浮かれたい気持ちもわかりますが、立場をわきまえてぐぐっと我慢して下さいよ…」 |
364 |
シャルル |
「…だってー」(口尖らせる) |
365 |
ルイ |
「だっても、何もありませんっ。今後は絶対に無茶しないこと。戦闘地区での先陣は取らないこと…、約束して下さい」 |
366 |
シャルル |
「えー…」(不満そうに) |
367 |
ルイ |
「『えー…』じゃないです!直接の部下じゃなくても僕はシャルルさんの部下なんですからね、部下は上司を守るのが義務なんですからっ」 |
368 |
シャルル |
「全く…ルイはうるさいなー」(両耳押さえて頭振る) |
369 |
ルイ |
「少しは大人になって下さい!」(呆れて) |
370 |
シャルル |
「はいはい…、子供はさっさと飯食って寝ますよ」(口尖らせて踵を返す) |
371 |
ルイ |
「シャルル大佐の身を案じて言ってるんですからね!」 |
372 |
シャルル |
「別にそんなに心配しなくてもいいってのに」 |
373 |
ルイ |
「不死身になってからそれ言って下さい」 |
374 |
シャルル |
「じゃー、不死鳥の羽根さがしてきまー」(そそくさと病室を出ていく) |
375 |
ルイ |
「全く、シャルル大佐を心配してこんなに口うるさく言ってるんですからねっ」(ドアに向かって言う) |
376 |
ルイ |
「…ふぅ。大佐…か。あの人は何だかんだ言って僕をおいて、ドンドン離れちゃってるんだなぁ…もぅ、追いつけないんだろうな…」(寂しそうに笑う) |
377 |
ルイ |
「本当に空に憧れたのは……カエルだったのだろうかな……カメ君」(語りかけるように) |
378 |
ルイ |
「…あの飛行機は」 |
379 |
シャルル |
「元気にしているか?ルイ」 |
380 |
ルイ |
「やっぱり…シャルル大佐!」(敬礼) |
381 |
シャルル |
「たまたま近くを通ってな」 |
382 |
ルイ |
「近くって軍会議でファントロジスの方に行ってたんじゃ…」 |
383 |
シャルル |
「お?機密情報が駄々洩れか?」(笑う) |
384 |
ルイ |
「我が部隊の軍隊長が言ってたんですよ、軍会議がファントロジスで開催されるって。だから機密でも何でもないですよ」 |
385 |
シャルル |
「そうか。まぁ軍会議つっても、ただの打ち合わせ程度なもんだったからなー」 |
386 |
ルイ |
「ご活躍はよく耳にしますよ、第三師団が戦況を次々と覆してるって。頻繁に出動していた我が部隊も最近じゃほとんど出番なしですからね」 |
387 |
シャルル |
「もうじき戦争も終わる。今日は敵国の残党掃討作戦の話だったからさ」 |
388 |
ルイ |
「ちょっ…シャルル大佐!それこそ機密なんでしょうからこんなところであっさり言わないで下さいよ!」(慌てる) |
389 |
シャルル |
「ん?まぁ、突っ込めーだの、やれーだのって作戦聞いても誰も得しないだろ。理解できないし」 |
390 |
ルイ |
「僕も理解できないんで、言わなくて結構です…」(呆れたように) |
391 |
シャルル |
「あ、私の飛行機整備よろしく」 |
392 |
ルイ |
「…ぇ?自分でされないんですか?」 |
393 |
シャルル |
「まぁ、どーせ立ち話してる間にも…ってね」 |
394 |
ルイ |
「自分の乗る戦闘機は自分で調整したほうがいいですよ?他人に任せたりせず…」 |
395 |
シャルル |
「ほんとはルイにお願いしたいけど、ルイは愚痴聞き係だから」 |
396 |
ルイ |
「愚痴聞き係って……シャルル大佐、…もしかして時間がないんじゃ…」(ふと気付いたように) |
397 |
シャルル |
「ま、お願いお願いっ」(ルイの背中をぐいぐい押す) |
398 |
ルイ |
「な…時間ないんだったらこんな所で油を売ったりせず…」 |
399 |
シャルル |
「私が頼んだってやってくれないからルイが頼んでね」(ルイの整備している戦闘機眺め始める) |
400 |
ルイ |
「ちょっ…シャルル大佐…はぁ、相変わらず自分勝手な…」(ため息つき、近くの整備士に声掛ける) |
401 |
シャルル |
「…君とは最後のフライトと洒落こもうか…な?」(そっと呟く) |
402 |
ルイ |
「頼んできましたよ。で、わざわざファントロジスから遠いこの地に来てまで何の用事ですか?」 |
403 |
シャルル |
「ん?いや、大したことないんだ。今回の任務を最後に軍を退役しようと思ってさ」(しれっと言う) |
404 |
ルイ |
「へぇ…軍を退役。大したことな…くないじゃないですかっ!」(吃驚して大声あげる) |
405 |
シャルル |
「しーっ、声が大きい。ルイ」 |
406 |
ルイ |
「たたた、退役って!一体何事ですか?こんな大事な時に!」 |
407 |
シャルル |
「さっき言ったろ?もう戦争は終わり。あとは戦後処理活動に移行するわけさ」 |
408 |
ルイ |
「これからじゃないですか!戦後処理の際に進級とか階層が大きく変わるというのに…特にシャルル大佐の場合は貢献してますからニ階級昇進もあり得るんですよ?」(興奮しながら) |
409 |
シャルル |
「まぁ、その…何だ?軍辞めたから空飛べなくなるってわけじゃないし?うん」 |
410 |
ルイ |
「……シャルル大佐?」(訝しげに見る) |
411 |
シャルル |
「別に戦闘機じゃなくてもスピード出る飛行機はいくらでもあってだな…」 |
412 |
ルイ |
「あの…シャルル大佐、もしかして…実力を認められてないんじゃ…?」(躊躇いがちに言う) |
413 |
シャルル |
「デザインだってカッコい……」(気まずそうに口開けたまま喋るのをやめる) |
414 |
ルイ |
「第三師団が活躍すればするほど、あまりよくない噂も耳にします。シャルル大佐はそれを気にされてるんじゃ…」 |
415 |
シャルル |
「噂がなんだって…?」(引き攣った笑顔を浮かべる) |
416 |
ルイ |
「ロナンバルドだからどうのこうのって…ロナンバルドは誇り高く、賢き民。だから作戦も成功するし…今回だって周りを立てるために…」 |
417 |
シャルル |
「…はっ、私がそんなに器用な人間だと思うか?そんな、他人様のことまで考えて軍を辞めるだなんて…」 |
418 |
ルイ |
「いや…不器用だからこそ…ですよ」(呟く) |
419 |
シャルル |
「少し自由に空を飛ぼうかなって。軍にいちゃ、どっからどこまでしかダメーとか私用に使うなとかさ、制限多いしね」 |
420 |
ルイ |
「本当にそれだけですか?」 |
421 |
シャルル |
「ん…それ以外理由ないっしょ、この気楽な楽観的思考、しばらく相手したルイならよーく知ってるっしょ」(明るく笑う) |
422 |
ルイ |
「えぇ、よーく知ってますよ。シャルル大佐が嘘ついたり、誤魔化したりする時の癖もね」 |
433 |
シャルル |
「ぇ…」 |
434 |
ルイ |
「自分で気付いてましたか?シャルル大佐、僕に嘘ついたり誤魔化したりする時、左手が震えてるんですよ」(目細める) |
435 |
シャルル |
「なっ…」(そっと右手で左手を握りしめ隠す) |
436 |
ルイ |
「シャルル大佐の昇進を快く思わない輩のためにシャルル大佐は軍を退役されるんですか?」 |
437 |
シャルル |
「そんなことはないっ」(左手を握りしめる) |
438 |
ルイ |
「気にしちゃ駄目ですよ…?昔言ったと思いますが、シャルル大佐はシャルル大佐ですもの。種族なんて関係ないですよ」 |
439 |
シャルル |
「決めつけと思い込みはよくない癖だぞ、ルイ」 |
440 |
ルイ |
「…いえ、今回の件じゃなくてただ呟いただけですよ?僕は」(クスッと笑う) |
441 |
シャルル |
「…ふぅ。昔の知人も男を見つけたようだから私も捜そうかな…ってな。そろそろ歳だし…」(頬かきながら) |
442 |
ルイ |
「あの人気国民的アイドルのミシェルちゃんも彼氏できたらしいですからね」 |
443 |
シャルル |
「明るいニュースの一つや二つは欲しいからな」(遠い目をしながら) |
444 |
ルイ |
「アイドルっていつ恋愛するんでしょうね」 |
445 |
シャルル |
「軍人もいつ恋愛するんだかねぇー」(ルイを横目で見ながら笑う) |
446 |
ルイ |
「し、知りませんよっそんなのっ!」(顔を赤くし、横向く) |
447 |
シャルル |
「好きな人の一人や二人できたらちゃんと報告にくるんだぞ?それが部下の務めだからな」 |
448 |
ルイ |
「いちいち報告しませんよっ!」 |
449 |
シャルル |
「あ、どこまで進んでるのか交際度も詳しくな?」 |
450 |
ルイ |
「仕事して下さいっ!」 |
451 |
シャルル |
「部下の相談に乗るのも上司の務めだからな」 |
452 |
ルイ |
「そんなことシャルル大佐に相談しませんよっ!」 |
453 |
シャルル |
「なんだ、つまらん…」(口尖らせながら) |
454 |
ルイ |
「全く…シャルル大佐こそ、悩みがあったらいつでも相談に来て下さいよ?上司の話を聞くのも部下の務めですから」 |
455 |
シャルル |
「ま、私に相応しい相手は空を飛べる奴だがな」 |
456 |
ルイ |
「鳥人ですかっ!」 |
457 |
シャルル |
「鳥男はキモそうだからいい…」 |
458 |
ルイ |
「そうそう居ませんよ…」 |
459 |
シャルル |
「空でデートとか空中散歩とかな…」 |
460 |
ルイ |
「空で結婚式挙げる気ですか?」 |
461 |
シャルル |
「おぉ、それもいいな。空で結婚式を挙げて、死ぬ時も空で…」 |
462 |
ルイ |
「ほんと空がお好きなんですね、シャルル大佐は」 |
463 |
シャルル |
「まぁな。人は空から生まれるんだろう?コウノトリが運んでくるとか…」 |
464 |
ルイ |
「え…」 |
465 |
シャルル |
「早く私の所にもコウノトリが来ないかな」 |
466 |
ルイ |
「…ロナンバルドって本当に頭いいんだろうか…」(呟く) |
467 |
シャルル |
「さて、邪魔したなっ」 |
468 |
ルイ |
「行かれるんですか?」 |
469 |
シャルル |
「今夜中にアーゲンハイツに着かないといけないからな」 |
470 |
ルイ |
「今夜中って…こんなところで寄り道している場合じゃないじゃないですかっ!」 |
478 |
ルイ |
「そういえば…よくシャルル大佐が話してくれていたカエル君の話…」 |
479 |
シャルル |
「ん?」 |
480 |
ルイ |
「続きってどうなるんですか?空に憧れたカエル君は…」 |
481 |
シャルル |
「あれか…。空に憧れ住みなれた地を離れ、空を目指す旅に出るんだ」 |
482 |
ルイ |
「ふむ…」 |
483 |
シャルル |
「鳥は空を飛べることから自分も翼を作り、背中に翼をつけて空を飛んだ」 |
484 |
ルイ |
「そんなんで飛べたんですか!?」 |
485 |
シャルル |
「あぁ、飛べたとも。カエルのくらいの体重だったらな。…空を飛べるようになったカエル君はカメ君に空の深さを知らせに行った」 |
486 |
ルイ |
「カメ君はさぞ驚いたでしょうね」 |
487 |
シャルル |
「あぁ、驚いた。バカにしていたカエル君が本当に空を飛んで現れたのだからね」 |
488 |
ルイ |
「なるほど…飛べてよかったですね。ハッピーエンドで良かったです」 |
489 |
シャルル |
「ん、じゃ、また」 |
490 |
ルイ |
「はいっ、お気をつけて!」(敬礼 |
491 |
シャルル |
「……ハッピーエンド?この話にはまだ続きがあるんだけどな」(呟き、発進させる) |
492 |
ルイ |
「空に憧れたカエル…か」 |
493 |
シャルル |
「空の深さを教えようと調べに行ったカエル君は…空へと消え、二度とカメ君のもとに現れることはなかった…」(操縦桿を引く) |
|
|
ドーーーーンッ(爆発音と共に戦闘機が爆発) |
494 |
ルイ |
「…シャルル大佐?」(振り返り、爆発を呆然と見つめる) |
501 |
フラン |
「これより、優秀勇猛であったシャルル大佐改め、シャルル中将の略式葬儀を執り行う」 |
502 |
ルイ |
「シャルルさん…」 |
503 |
ミシェル |
「嘘だよね…シャル…」(飾られている遺影を見つめながら涙ぐむ) |
504 |
ルイ |
「また僕を置いて行っちゃうんですね…」 |
505 |
ミシェル |
「今度遊ぼうって…約束したばっかだったのに」 |
506 |
ルイ |
「…失礼、あなたのその容姿…ロナンバルドですか?」(隣で泣いているミシェルに声かける) |
507 |
ミシェル |
「そうよ、ロナンバルドよ。何か文句ある?」(キッとルイを睨み付ける) |
508 |
ルイ |
「あ…や…シャルルさんとは…」(たじろぐ) |
509 |
ミシェル |
「親友よ。シャルの親友のミシェル」 |
510 |
ルイ |
「ミシェル…って、あのアイドルの?」(ハッとしたように) |
511 |
ミシェル |
「アイドルでもなんでもない、シャルルの親友として来たの」 |
512 |
ルイ |
「…そうでしたか。僕はシャルルさんの下でしばらく働かせてもらっていたルイと言います。今は第七リアナ基地で戦闘機の整備長をしています」 |
513 |
ミシェル |
「君がルイ君か…シャルの言ってた通りの子だね」(クスッと笑う) |
514 |
ルイ |
「シャルルさんはなんと?」 |
515 |
ミシェル |
「ルイは根っから真面目で堅っ苦しい奴だって。シャルが随分気に入っていたみたいだよ」 |
516 |
ルイ |
「シャルルさんらしい発言ですね」 |
517 |
ミシェル |
「電話で部下のルイがルイが…っていつも言うからどんな子だろうって思ってたら噂通りの子だってね」 |
518 |
ルイ |
「そんなにシャルルさんは僕のことを言っていたんですか?…何話していたんだか」(呆れたように) |
519 |
ミシェル |
「ほんと夢中だったみたい。そんなに言うなら結婚したら?って言ったら本気で怒って電話切っちゃたり。死んだなんて嘘だよね?」 |
520 |
ルイ |
「…嘘だといいんですけどね。シャルルさんは僕の目の前で…」(俯く) |
521 |
ミシェル |
「シャルを見たの?」 |
522 |
ルイ |
「第七リアナ基地で僕のところにわざわざ寄って…僕が殺したようなものです」 |
523 |
ミシェル |
「どういうこと?」 |
524 |
ルイ |
「シャルルさんは寄り道で僕のところに来たんですよ。そして滑走路から飛び立った瞬間に爆発して…」 |
525 |
ミシェル |
「シャルの飛行機が爆発したの?」 |
526 |
ルイ |
「はい…シャルルさんの飛行機が」 |
527 |
ミシェル |
「整備はシャルがやっていたの?」 |
528 |
ルイ |
「いえ、シャルルさんに時間がないから誰かに頼んでくれと。近くにいた整備士に…。あの時、僕がやっていれば…」(制帽を深くかぶる) |
529 |
ミシェル |
「その時関わった整備士は?」 |
530 |
ルイ |
「数時間後に姿を消して行方不明のままです」 |
531 |
ミシェル |
「その整備士が怪しいね。ルイ君は悪くないよ」 |
532 |
ルイ |
「あまりにも酷過ぎませんか?シャルルさん、今回の作戦が終わったら退役するって…昇級も勲章もいいから軍を辞めるんだって」 |
533 |
ミシェル |
「そうだったんだ…」 |
534 |
ルイ |
「シャルルさんは知ってたんですよ。周りからあまりよく思われてないって。だから辞めるなんて…」 |
535 |
ミシェル |
「だから殺されるって…」 |
536 |
ルイ |
「カエルは大海を知って幸せだったんでしょうか?」 |
537 |
ミシェル |
「大海?」 |
538 |
ルイ |
「井の中の蛙(かわず)大海を知らず。井戸の中しか知らなかった蛙は亀に大海の存在を教えられて憧れるんです」 |
539 |
ミシェル |
「大海よりも空を飛びたいと思ったカエル君のこと?」 |
540 |
ルイ |
「井戸の中だけで暮らしていれば平和に過ごせたんじゃないかなって…こんなことには…」 |
541 |
ミシェル |
「うん…こんなことにはならなかっただろうね。けどね、シャルは外の世界を知れた。村を出れた。楽しかったと思う。後悔してないよ」 |
542 |
ルイ |
「そうでしょうか…」 |
543 |
ミシェル |
「カエルを外に連れ出したのはカメ君。唆したのはカメの私」 |
544 |
ルイ |
「カメに教えられなければ、カエルは大海を知らなかった。自分だけの世界で満足してたと思います」 |
545 |
ミシェル |
「カメ君は外に出ようかと迷っていたカエル君の背中を押したんだ。空に憧れているなら大海くらい見ておきなよって」 |
546 |
ルイ |
「シャルルさんはいつも僕のことを置いていくんですよ。士官学校の時もそう、さっさと実戦部隊に所属して…前線基地では司令官から後に大佐。方や整備長だなんて。随分離れたなって思ったら…今度は置き去りですよ」(泣き笑い) |
547 |
ミシェル |
「シャルは優しい子だからね。きっとルイ君のこと待ってる。少し離れたところで腕組みしてきっと待ってるから」 |
548 |
フラン |
「…――非常に惜しい部下を亡くしたものと思っている。この終戦まで導いてきたのは彼女だった。最後の作戦に彼女を加えられないのが残念で仕方がなく…」 |
549 |
ミシェル |
「シャルはね、カエルとカメの物語が大好きだった。自分を空に憧れるカエルって言ってね。私はカメで…」 |
550 |
ルイ |
「僕もやりました。シャルルさん独り劇するんですもの。でも…カエルは僕で、シャルルさんは知らない大海を教えてくれたカメだと思います」 |
551 |
ミシェル |
「あっちでもシャルは独り劇してるのかなー。だったらドン引かれるからやめときなって言っとかないと。みんな離れちゃうや」 |
552 |
ルイ |
「あはは、そうですね。ほんと…」 |
553 |
ミシェル |
「シャルがまた帰ってくる気がするんだ…だから…私待ってる。待ってるから…」 |
554 |
フラン |
「以上をもってシャルル中将の略式葬儀を終了する」 |
555 |
テトラ |
「ルイはいるか!整備長のルイはいるか?」 |
556 |
ルイ |
「ん…、ルイは僕ですが…?」 |
557 |
テトラ |
「航空事故調査委員会の報告書よりシャルル中将は搭乗していた戦闘機に細工されていたとの結果が出た」 |
558 |
ルイ |
「戦闘機が爆発したのですから当然の結果だと思われます」 |
559 |
テトラ |
「そしてシャルル中将はここに立ち寄り、彼女の整備を担当したのが…ルイ、お前だ」 |
560 |
ルイ |
「え…?」 |
561 |
テトラ |
「裏もちゃんと取っている。お前はシャルル中将を事故死に見せかけて殺害した。大体ファントロジス軍会議に参加し、ファントロジスに向かうハズであったのを第七リアナ基地に寄るはずがない」 |
562 |
ルイ |
「シャルルさんは確かにここに来て僕と話をしました」 |
563 |
テトラ |
「まぁ、殺害するためにお前が呼び出したと考えられるな。…で、どんな話を?」 |
564 |
ルイ |
「まもなく退役をすると…」 |
565 |
テトラ |
「はは、そんな馬鹿なはずがあるわけない。もうすぐ昇級式がある目の前で辞めるなんて馬鹿げた妄言を吐くわけがない」 |
566 |
ルイ |
「シャルルさんは確かに退役されると。自由に空を飛ぶために」 |
567 |
テトラ |
「貴様はそんなに元上司が憎かったか?命を懸けて守った挙句、奴は大佐級。貴様は地方の整備長…戦闘から外れた軍人の恥だ」 |
568 |
ルイ |
「…先程から決めつけた言動が多すぎます。僕はシャルルさんを憎んでもいないですし、整備長の役職も満足しています。左遷だと思ったこともありません」 |
569 |
テトラ |
「調べたら士官学校の時では首席の座を奪われ、前線基地では司令官補佐。彼女さえいなければ全てうまくいっていた。違うか?」 |
570 |
ルイ |
「それがシャルルさんを殺した動機だと…?」 |
571 |
テトラ |
「別に動機がなんだっていい。貴様が細工したというのは明白だからな」 |
572 |
ルイ |
「あの時、僕は近くにいた『バーン』に整備を任せてシャルルさんと話していました」 |
573 |
テトラ |
「その整備士バーンの口から整備したのはルイ、貴様という証言が取れた」 |
574 |
ルイ |
「そんな馬鹿なッ!シャルルさんの戦闘機はバーンが整備し、バーンは数時間後に失踪した」 |
575 |
テトラ |
「貴様に口封じされるのを恐れ、貴重な証言者として我々が保護した。他にも貴様が整備していたのを見ていたと証言する者もいる」 |
576 |
ルイ |
「ありえないっ!あの時、確かにシャルルさんと話していて…」 |
577 |
テトラ |
「名誉な上官を殺害、国への損害は大きい他、それは反逆ともとれる。よって貴様は死刑…だ」 |
578 |
ルイ |
「そんなのおかしいっ!調べ直しを要求しますッ!僕はやっていない!」 |
579 |
テトラ |
「誰でもそういうんだよ、ルイ君。死刑宣告を前にするとね」(ニィッと笑い、ルイの肩に手を置く) |
580 |
ルイ |
「な…」 |
581 |
テトラ |
「航空事故調査委員会の総意だ。死刑は確定しているのだよ。連れて行けッ」 |
582 |
フラン |
「これより国家へ反逆した重罪人を公開処刑を執り行う」 |
583 |
ミシェル |
「嘘…」 |
584 |
フラン |
「この者はシャルル中将の戦闘機に細工を施し、爆破した実行犯であり、元部下である」 |
585 |
ルイ |
「…そういうことか。僕は最初っからハメられていたのか」 |
586 |
フラン |
「戦乱に乗じて国家へ牙を剥こうとした。元上司であり、わが国を優位にしたシャルル中将を殺害したということで、我が国が失ったものは大きい」 |
587 |
ミシェル |
「ルイ君がシャルを殺すわけないッ!」 |
588 |
フラン |
「よってルイ死刑囚は銃殺刑と処す」 |
589 |
ミシェル |
「調べ直して!絶対おかしいよ!」 |
590 |
テトラ |
「そこの傍聴人を黙らせるか、叩き出せッ」 |
591 |
フラン |
「これは航空事故調査委員会による調査結果に基づくものである」 |
592 |
ミシェル |
「軍部と癒着している機関じゃないの!大体、航空事故調査委員会の立ち上がりが早過ぎたわ!」 |
593 |
テトラ |
「そこの女をつまみ出せ!」 |
594 |
ルイ |
「…ありがとうございます。ミシェルさん…」 |
595 |
フラン |
「シャルル大尉がいることによって出世ができなかった、地位を妬んだという動機も十分揃っている」 |
596 |
ミシェル |
「ルイ君はそんな子じゃないッ!怪しいのはそのテトラとかって奴じゃないッ!シャル言ってたもの!痛ッ!ルイ君ダメ死んじゃ!」(軍人たちに取り押さえられ連れて行かれる) |
597 |
ルイ |
「…ありがとうございます。…もういいんです」 |
598 |
フラン |
「ルイ処刑囚、五分だけ時間をやる。犯した罪を悔い、懺悔するがいい」 |
599 |
ルイ |
「シャルルさん…すみません、思ったより早く追いかけることになっちゃったみたいです。だから…待っててください」 |
600 |
テトラ |
「将軍…シャルルは軍を退役するつもりだったそうです」 |
601 |
フラン |
「昇級式の前にか?」 |
602 |
テトラ |
「猫を狩るつもりがとんだカエルを捕まえてしまいましたね」 |
603 |
フラン |
「鳥は不用心に歩いているカエルを捕まえて食したんだ。警戒せずにいたカエルが悪い」 |
604 |
テトラ |
「それもそうか。賢きロナンバルド、頭が回っても厄介。そして今回処刑のルイは元部下として再調査を独自でもされると困りますからな」 |
605 |
ルイ |
「カメ君…カメ君…空を飛んだボクを見ていてくれたかな…」 |
606 |
ルイ |
「カエル君カエル君…ああ見ていたとも」(少し口調変え) |
607 |
テトラ |
「ルイの奴が何かつぶやき始めました」 |
608 |
ルイ |
「空は自由だった…君の知ってる大海より広かったんだ」 |
609 |
フラン |
「気でも触れたのだろう放っておけ」 |
610 |
シャルル |
「カエル君カエル君、君は素敵な旅人だったよ」 |
611 |
ルイ |
「シャル…ルさん?」 |
612 |
シャルル |
「君が空を飛ぶ姿、滑稽だったけど、とっても凄かったよ」 |
613 |
ルイ |
「…どうだ、すごいだろう?」 |
614 |
シャルル |
「大丈夫、君はもうそんな道具をつけなくたってもう自由に空を飛べるんだ」 |
615 |
ルイ |
「井の中の蛙、大海を知らず…」 |
616 |
シャルル |
「井の中の蛙、大海を知らず、されど空の深さを知る」 |
617 |
ルイ |
「カエルは幸せだったのかな…」 |
618 |
シャルル |
「あぁ、幸せだったとも。自由を知ったからな」 |
619 |
フラン |
「さて、時間だ。撃ち方、構えッ」(処刑部隊に指示出す) |
620 |
ルイ |
「…カメ君、カメ君や、ボクは空より広い自由を手に入れたんだ」(フッと笑う) |
621 |
シャルル |
「救いの無い物語…」 |
622 |
フラン |
「撃てッ」 |
623 |
シャルル |
「空で消えたカエル君はカメ君に言いました。空は自由でよかったとね」 |