シナリオ詳細 | |
掲載元 | 声物語劇団 公式サイト 声物語劇団 オリジナルボイドラ劇場 |
作者 | 月宮東雲 |
登場キャラ数 | ♂:3♀:1 |
総セリフ数 | 98 |
製作日 | 2014/10/18〜2014/10/22 |
概要説明 | 九死に一生を得て帰還した、旅団唯一の生存者の副長は査問会から召集を受け、訪れたのだが… 何やら話が段々おかしな方向に進んでいき…… |
利用にあたって | 利用規約 |
目安時間 | 11分程度 【〜20分】 |
登場キャラ | セリフ数 | 性別 | 備考 |
査問長 | 17 | ♂ | 査問会の議長を務める落ち着いた老人。 |
ギブラト | 26 | ♂ | 貴族上がり査問官の一人。罪なき者の罪を作り上げることに生甲斐と楽しみを感じている。 |
ラーマット・ウォルネス | 39 | ♀ | 腕の立つことや、キレモノであることから実力で深黒の旅団の副長なった女剣士。 |
ゲーダ | 16 | ♂ | 富豪出身の査問官の一人。自分の利害以外には面白半分の興味しかない。査問会は富豪の戯れの一つ |
001 | 査問長 | 「これより第三次遠征旅団壊滅事件の査問会を開廷する。静粛に」 |
002 | ゲーダ | 「…ウォホン」 |
003 | 査問長 | 「それでは被告のラーマット・ウォールネス、前へ」 |
004 | ラーマット | 「はい…」 |
005 | 査問長 | 「ギブラト、説明を」 |
006 | ギブラト | 「…ンンゥッ。あー皆さんご存知のように先日、未確認大型魔物討伐に『深黒の旅団』、『森人族』、『霧ナシ旅団』の合同の大規模な遠征を行ったわけですが」 |
007 | ゲーダ | 「多数の死傷者を出し、壊滅したあの忌まわしき事件ですかな」 |
008 | ギブラト | 「彼女は生還者の一人で『深黒の旅団』の副長のラーマット・ウォルネスです」 |
009 | ゲーダ | 「…ほぅ」 |
010 | ラーマット | 「あの事件の数少ない生存者の為、説明責任があるのは存じておりますが、査問長…『被告』というのは、いささか語弊(ごへい)があるかと」 |
011 | ギブラト | 「あの事件?そう『事件』だよ、『事件』なのだよ、ウォルネス君」 |
012 | ラーマット | 「は?」 |
013 | ゲーダ | 「此度の一件はただの魔物による不慮の事故ではない、事件であると皆の共通見解だ」 |
014 | ラーマット | 「意図が見えてきません。私は査問会に呼ばれ、何が起きたのかをお伝えするためだと心得ているのですが」 |
015 | ギブラト | 「そうだね。まさに悪夢と言えよう奇跡の生還劇を是非聞きたいねェ」 |
016 | 査問長 | 「被告は起きたことを脚色せず、ありのままに話したまえ」 |
017 | ラーマット | 「既に一度帰還した際にお話はしましたが、この場でもう一度お話します」 |
018 | ギブラト | 「君の武勇伝を聴きに我々は来ているわけではないので、手短に頼むよ」 |
019 | ラーマット | 「地形を把握している『森人族』を先陣に索敵を行い、後方は主に『霧ナシ旅団』で我々『深黒の旅団』は真ん中を担当していました」 |
020 | ゲーダ | 「ふむ」 |
021 | ラーマット | 「突然の轟音と共に霧ナシ旅団が大型魔物に襲われて陣形が崩れました」 |
022 | ギブラト | 「大型魔物の正体は?」 |
023 | ラーマット | 「竜のような巨体と巨大な尾を持つ、非常にどう猛な魔物でした」 |
024 | ゲーダ | 「それで?」 |
025 | ラーマット | 「最初は交戦したものの、歯が立たず撤退指示を出しました」 |
026 | ギブラト | 「それは団長の指示で?」 |
027 | ラーマット | 「いえ、その時団長は交戦中で指揮権は私に任されていたので」 |
028 | ゲーダ | 「ほぅ…判断・指揮は団長ではなく、あなたにあった。と?」 |
029 | ラーマット | 「そうです」 |
030 | ギブラト | 「それで仲間を見捨てて帰還して生き残って戻ってきたと」 |
031 | ラーマット | 「私は仲間を見捨ててなどいませんっ」 |
032 | ギブラト | 「見捨てていなければ何故生存者があなた一人だけなのです?おかしいでしょう」 |
033 | ラーマット | 「私以外にも生還者はいたはずッ」 |
034 | ギブラト | 「心身とも喪失してあなたのようにまともに帰ってきていないのですよ」 |
035 | 査問長 | 「被告は副長として仲間を一人でも多く守り、返す義務が、職務があった。それを放棄して逃避、実行した。相違ないか」 |
036 | ラーマット | 「そんな…確かに私は団長の代わりを果たさなければならない場面もありました。ですが」 |
037 | 査問長 | 「自分の命、保身のために仲間を職務を放棄した」 |
038 | ラーマット | 「誤解ですッ!私は私なりに退路を確保しました」 |
039 | ギブラト | 「仲間を餌にして?」 |
040 | ラーマット | 「そのようなことはしていませんっ」 |
041 | ゲーダ | 「なんとでも言えよう。物言える証言者など全員始末したのだろうから」 |
042 | ラーマット | 「何の証拠があってそのようなこじつけを!」 |
043 | ギブラト | 「証拠ォ?ウォルネス君が団長と何度も旅団の方針で対立していて争っていたことは言質をとっている」 |
044 | ラーマット | 「…それは組織を運営していく上で対立することはよくあることです」 |
045 | ギブラト | 「そうよくあること。それは罠にかけ、暗殺することもよくあること。そうでしょう?」 |
046 | ラーマット | 「貴方は私を犯罪者にしたいのかッ!」 |
047 | 査問長 | 「静粛に!」 |
048 | ゲーダ | 「事故に見せかけ、多くの者を葬り去ったということが仮に事実であるならば…我々は取るべき対応は変わってくる」 |
049 | ラーマット | 「待って下さいッ!何故私がそう疑われないといけないのですかっ」 |
050 | ギブラト | 「団長の座を狙って起こすクーデターも良くある話でね」 |
051 | ラーマット | 「ならば、私は深黒の旅団を抜ければ疑いが晴れますか」 |
052 | ギブラト | 「辞める辞めないの問題じゃないよ」 |
053 | ゲーダ | 「それに今抜けるというのはあまりにも無責任ではないかね。本当に副長なのか?」 |
054 | ラーマット | 「まるで深黒の旅団を乗っ取るために謀ったようなことを言われればこちらも心外。気分も悪いわけで」 |
055 | ギブラト | 「別に何も君を大量殺人の策略者に仕立て上げたいわけじゃないさ」 |
056 | ラーマット | 「私には先程からの決めつけたような態度、物言い、そうとしか聞こえませんでしたが」 |
057 | ギブラト | 「正直、今回君が仕掛けた仕掛けていないはどうでもいい」 |
058 | ゲーダ | 「どんな事件にも絶対的な『悪』が存在する。分かるかね」 |
059 | ラーマット | 「悪…だと?」 |
060 | ゲーダ | 「それは大型魔物であってはいけない。それが公になれば、人々は恐怖で混乱を起こすからね」 |
061 | ラーマット | 「それはつまり、私に『悪』になれ…と?」 |
062 | ギブラト | 「話が早いねー」 |
063 | ゲーダ | 「長たる者が責任を取り、事態の収拾を図るのが常であろう?だが、深黒の旅団には長が不在…となれば、副長である…そちが責任を取るべきであろう?」 |
064 | ラーマット | 「私には残された深黒の旅団を率いていく義務があるッ!それこそが副長である責務だと私は…」 |
065 | ギブラト | 「なに、弱体化した深黒の旅団は解散だろう」 |
066 | 査問長 | 「被告は以上、査問官の述べた罪を認めるか?」 |
067 | ラーマット | 「認めるわけなかろう!濡れ衣も甚だしいッ!正式な調査もなくして、決めつけとなすりつけではないかッ」 |
068 | 査問長 | 「言葉を慎みたまえ」 |
069 | ラーマット | 「これが公正な査問会だと言えるのかッ」 |
070 | ゲーダ | 「人々の望む、恐怖を排除する実に統制された場所だよ」 |
071 | ラーマット | 「都合のいいように事実を捻じ曲げ、真実を歪められ隠匿された実に胸糞悪い、掃き溜めのような場だ」 |
072 | ギブラト | 「おやおやおや、実に口の悪いウォルネス君だこと。本性が出てきたようですね」 |
073 | ラーマット | 「『悪』が必要だ?ならば事実を隠す貴様らは『悪』以外何者でもない。罪もない私を陥れようとするのだからなっ」 |
074 | 査問長 | 「被告は発言を認めていない、慎みたまえ」 |
075 | ラーマット | 「安全な所に居座り、その曇った眼には真偽の何もかもが見えていない」 |
076 | 査問長 | 「被告は黙りたまえ」 |
077 | ラーマット | 「私は断固糾弾するッ」 |
078 | 査問長 | 「黙れと言っているのが聴こえぬか」 |
079 | ラーマット | 「喩え、職を解かれ、個人となろうとも義は我にある」 |
080 | 査問長 | 「黙れェいっ!」 |
081 | ラーマット | 「……」 |
082 | ギブラト | 「立場を分かっていないから教えてあげよう。糾弾されているのは君であって、我々ではない」 |
083 | ゲーダ | 「そうだ。我々を糾弾するとは見当はずれを言うなぁ」 |
084 | ギブラト | 「査問長。これ以上は、時間の無駄かと」 |
085 | 査問長 | 「…それでは、被告ラーマット・ウォールネスに判決を下す」 |
086 | ラーマット | 「な…っ」 |
087 | 査問長 | 「私情による深黒の旅団団長の謀殺、罪なき民を魔物に襲わせ、本来守るべき職務を全うせずに逃避したことは死刑に処す」 |
088 | ラーマット | 「…わからない、なぜ私が殺されなければならない…何故だ」 |
089 | ギブラト | 「生き残ってしまったのが罪なのかもしれないね。帰ってきてしまったのが運の尽きだ」 |
090 | ラーマット | 「これは査問会ではなかったのか…何故私は死刑を宣告されている」 |
091 | 査問長 | 「これにて第三次遠征旅団壊滅事件の査問会を閉廷する」 |
092 | ゲーダ | 「せいぜい死刑執行日までゆっくり休みたまえ。死を迎えればもっとゆっくりできるだろうがな」 |
093 | ラーマット | 「どこで、どこで…どこで狂った。私は、死んでいった仲間の分まで生きねばならないというのに…私が死ねば彼らは無駄死にではないか」 |
094 | ギブラト | 「良かったじゃないか。すぐに可愛い部下たちとも会えるさ。秘密を墓まで持ち去ってくれたまえ」 |
095 | ラーマット | 「許さんぞ…お前らを私は許さん…決して許さんぞ…」 |
096 | ギブラト | 「おぉ怖っ…これは女剣士の幽霊が現れそうだ。これも仕事なんでね…悪く思わないでくれ。では、査問長」 |
097 | 査問長 | 「うむ…」 |
098 | ギブラト | 「…失礼するよ」 |
作者のツブヤキ |
実に気持ちの良くないお話じゃあありませんか。 あなたのお心は病んでおいでか?って感じでございます。別にこういったお話を書く人が全て病んでいるのかって言えば、別にそうでないかと。 事実を隠そうとするお偉いさんというか、デカい組織に捻じ曲げられた事実。 正しき者は消されると暗喩なのかどうなのか。それは読み手の皆々様にお任せ致します。 世の中にはただの物語で終わるものとそうでないものがあるのでしょう。 いずれは悪しき輪廻も断たれる中に、巻き込まれる者々。それが早ければ救われる者も多かろう…ぜよ |
(※どの作品からのコメントなのか、URLのfree/○○○.htmlの『数字3桁のみ』の後、続けてコメントを記載して頂けると助かります) |