シナリオ詳細 | |
掲載元 | 声物語劇団 公式サイト 声物語劇団 オリジナルボイドラ劇場 |
作者 | 月宮東雲 |
登場キャラ数 | ♂:2♀:2 |
総セリフ数 | 225 |
製作日 | 2012/11/16〜2012/11/26 |
概要説明 | 待ちに待った勇者と魔王の最終決戦。 さて、勇者が扉を開けると…そこには大掛かりな機材やスタッフたちが…。 これはどういうことだ、説明を要求する。 これは勇者を主人公とした世界の平和を脅かす魔王を倒す物語――を映画化しようと企む監督たちの物語である―― |
利用にあたって | 利用規約 |
目安時間 | 17分程度 【〜20分】 |
登場キャラ | セリフ数 | 性別 | 備考 |
勇者 | 56 | ♀ | ボクっ娘勇者。旅の途中でたまたま監督たちにスカウトされてしまい、以来付きまとわれている。No!と言えない子 |
魔王 | 79 | ♀ | 世界征服を目論む悪で魔界の女王。勇者の来る一ヶ月前に突撃インタビューを受けたりなどの被害を受けることになった。 |
スタッフ | 42 | ♂ | 監督の熱い心と分厚い制作費の札束に惹かれ(特に後者)、制作に情熱的に取り組む。 |
監督 | 42 | ♂ | 通称「監督」。現場も作品も脚本も全てを仕切る自称天才映画監督。処女作に情熱を傾ける。 |
001 | 魔王 | 「勇者よ、貴様に一つ問おう…」(勇者に向かって顔を上げる) |
002 | 勇者 | 「ん…」(振り向く) |
003 | 魔王 | 「…どうしてこうなった」 |
004 | スタッフ | 「はい、本番5秒前!3…2…1…アクションッ!」 |
005 | 勇者 | 「ようやくここまで辿り着いた…この扉を開ければ魔王が……魔王めっ!」(扉を勢いよく開ける) |
006 | 魔王 | 「…ふっ、勇者よ。よくぞ来た。褒めてつかわそう」 |
007 | 勇者 | 「魔王なんかに褒められたって嬉しくないやいっ」 |
008 | 魔王 | 「そうか…。ならば」 |
009 | スタッフ | 「カット、カット!カットォ!」 |
010 | 監督 | 「勇者くん、ダメだね」 |
011 | 勇者 | 「へ?ボク?」 |
012 | 監督 | 「『嬉しくないやいっ』じゃないよ、『嬉しくないやい』じゃあ…」(深々とため息をつきながら) |
013 | 勇者 | 「え…違ってたっけ…」 |
014 | スタッフ | 「『やい』いらないよ。『嬉しくないっ』だけでいいんだから」 |
015 | 勇者 | 「あ、はぁ…スミマセン」 |
016 | 監督 | 「一字一句間違えちゃダメだよ?この言葉、この台詞だからこそ意味がある。相手に響かせる作品になるんだからね」 |
017 | 魔王 | 「…それぐらいのこともできないのか、新人は」 |
018 | 勇者 | 「う、うるさいっ!」 |
019 | スタッフ | 「じゃあ、もう一回最初っから。勇者ちゃんが扉開けるところからね」 |
020 | 勇者 | 「はーい…」 |
021 | スタッフ | 「はい、本番5秒前ッ!3…2…1…アクションッ」 |
022 | 勇者 | 「ようやくここまで辿り着いた…この扉を開ければ魔王が……魔王めっ!」(扉を勢いよく開ける) |
023 | 魔王 | 「…ふっ、勇者よ。よくぞ来た。褒めてつかわそう」 |
024 | 勇者 | 「魔王なんかに褒められたって嬉しくないっ」 |
025 | 魔王 | 「そうか…。ならば、称賛の言葉ではなく…、呪いの言葉でも述べてやった方が嬉しかろう」 |
026 | 勇者 | 「そんなことあるわけないだろっ!世の平和を乱し、世界を混沌へと導こうとする悪の根源よ…今こそ根絶やしにしてくれる」 |
027 | 魔王 | 「フン…愚かな。実に愚かな……くくくっ……」 |
028 | 勇者 | 「……」 |
029 | 魔王 | 「……クククッ…愚かな…実に愚かな……ふふっ」 |
030 | 勇者 | 「……」 |
031 | 魔王 | 「愚かな……ククッ」(顔が引き攣る) |
032 | スタッフ | 「はい、カットォオオ!ちょっと魔王ちゃん、台詞飛んだでしょ」 |
033 | 魔王 | 「あぁ、いや…」(目を逸らす) |
034 | 監督 | 「愚かなのは貴様だぁっ!」(丸めた台本で自身の膝を叩く) |
035 | 魔王 | 「む…」 |
036 | 監督 | 「キメ台詞!ここ肝心。わかる?」 |
037 | スタッフ | 「見せ場なんですからね?ここでこけてちゃダメですよ」 |
038 | 魔王 | 「むぅ…」 |
039 | スタッフ | 「じゃあ、勇者ちゃんが入ってきたところから!はい、行きますよー」 |
040 | 勇者 | 「はーい」 |
041 | 魔王 | 「ちっ…」 |
042 | 監督 | 「ほら、カメラ回るぞ。動いた動いた!」 |
043 | スタッフ | 「はい、それじゃあいきますよー。本番5秒前ッ!3…2…1…アクションッ」 |
044 | 魔王 | 「…ふっ、勇者よ。よくぞ来た。褒めてつかわそう」 |
045 | 勇者 | 「魔王なんかに褒められたって嬉しくないっ」 |
046 | 魔王 | 「そうか…。ならば、称賛の言葉ではなく…、呪いの言葉でも述べてやった方が嬉しかろう」 |
047 | 勇者 | 「そんなことあるわけないだろっ!世の平和を乱し、世界を混沌へと導こうとする悪の根源よ…今こそ根絶やしにしてくれる」 |
048 | 魔王 | 「フン…愚かな。実に愚かだ、人間よ。魔界の王であるワシに逆らおうなど…身の程もわきまえぬ愚者よ」 |
049 | 勇者 | 「身の程?ボク達の世界を侵略しておきながらよく言う!ボク達の世界はボク達の物だ!返してもらうっ!」 |
050 | 魔王 | 「フッ…『返してもらおう』か。できるものならば、やってみるがいい!力づくでな!」 |
051 | 勇者 | 「望むところだ!」 |
052 | 魔王 | 「その身体!八つ裂きにし、ハラワタを喰らいつくしててっててッ!くれようっ!」(立ち上がり、マントをひるがえす) |
053 | 勇者 | 「いくぞっ!…って、魔王今噛んだよ。今台詞噛んだよね?」 |
054 | スタッフ | 「はい、カット、カットォ!」 |
055 | 魔王 | 「おい…」 |
056 | 勇者 | 「ばっちり決まるところで噛んだよね」 |
057 | 魔王 | 「…今のいい感じだっただろうが」 |
058 | スタッフ | 「ちょっと、ちょっとちょっと。台詞…」 |
059 | 魔王 | 「台詞がなんだバカもん!ちくしょーめっ」 |
060 | 監督 | 「…そこの魔王」 |
061 | 魔王 | 「なんだ、人間」 |
062 | 監督 | 「嫌なら、降りていいぞ。なぁ」 |
063 | 魔王 | 「降りる?」 |
064 | 監督 | 「帰っていいって言ってんだよ。真面目にヤル気ねぇならさ。ほんと」 |
065 | 勇者 | 「あの…監督…?」 |
066 | 監督 | 「真剣にやらない奴はいらねぇんだよっ!作品の邪魔だ!」 |
067 | 魔王 | 「……」 |
068 | 監督 | 「帰っていいぞ。ほら。なぁ?早く帰れよ。邪魔だよ、お前。ほら、出てけって、カメラに映るだろうが」(手で追い払う仕草) |
069 | スタッフ | 「監督…まずいですよ。そんなに挑発しないでください…」(スタッフが真っ青になって監督に駆け寄りヒソヒソ) |
070 | 監督 | 「うっせぇ。あのデクノボウのボンクラが何回リテイク出せば気が済むんだ?あ?世界の破滅より先に俺の映画の作品を破滅か?」 |
071 | 勇者 | 「…すでにもうB級作品臭バリバリの台本だけど…」 |
072 | 監督 | 「なぁ?自分で足ひっぱてるのわかってないんだもんなぁ?そだろ?それともあれか?魔王だかなんだか知んないが、王様だから何してもいいってか?ふざけんなっ!俺の作品の中では通行人Bよりも価値がないねっ!」 |
073 | スタッフ | 「もうやめて下さい…命いくつあっても足りなくなります!ほんと…勘弁してください」 |
074 | 魔王 | 「………」(俯き黙っている) |
075 | 監督 | 「ほら、早く帰れ。邪魔だから」 |
076 | 勇者 | 「…帰れも何もここが魔王の家だけどなぁ…」(つぶやく) |
077 | 魔王 | 「フフフッ……」(肩を揺すって笑い出す) |
078 | スタッフ | 「ひっ…」(監督にしがみつき、震えあがる) |
079 | 魔王 | 「クククッ…アーハッハッハッ!!!面白い、人間ッ」 |
080 | 勇者 | 「魔王…」 |
081 | 魔王 | 「消し炭にされたいかっ!勇者諸共消し炭にされたかったか?!我が城に勝手に入り、そしてワシに邪魔だから出ていけ?そう申したな?人間よ」 |
082 | スタッフ | 「うひー・・・ヤバいッスよ…」(ガクブル) |
083 | 魔王 | 「勇者以上にとんでもない愚か者がいたものだ。のう、人間」 |
084 | 監督 | 「愚かか愚かじゃないか、決めるのは俺だ!」(胸を張って親指立てる) |
085 | スタッフ | 「何で!?ちょ…監督!死にたいんですかっ」 |
086 | 監督 | 「あんた、その角はお飾りか?自称魔王だか、なんだか知んないけどな。芝居もできない大根なんざな…『たくあん』にして食うぞ!コラッ」 |
087 | スタッフ | 「もう何でケンカ売るんですか!やめて下さい…」 |
088 | 魔王 | 「このワシに向かって物怖じもせずにズケズケベラベラ、ズケベラと言いたい放題言いおって…」 |
089 | 監督 | 「…そうか」 |
090 | 魔王 | 「むっ…」 |
091 | 監督 | 「何か足りないと思ったが、やっぱ衣装だ!そうだ。そうに違いない。魔王、衣装替えろ」 |
092 | 魔王 | 「は?」 |
093 | 監督 | 「悪役は露出がヤバいんだぞ。露出が命。ボンッキュッボンってな、いやいやもう見えてるだろコレって感じにな、紐!そう紐だ、紐!」 |
094 | 魔王 | 「いや、意味が分からない…」 |
095 | 監督 | 「勇者くんもスク水で行く?最強装備的な。あ…ハレンチな下着とか…」 |
096 | 勇者 | 「結構です!」(目吊り上げて) |
097 | 監督 | 「兜の代わりにパンツ被ってもいいよ、ほら…男物でも女物でも…」 |
098 | 勇者 | 「変態仮面になるだけじゃないですかっ!」 |
099 | スタッフ | 「どう見てもシリアスからコメディーに変わって突っ込みどころ満載になりますよ、監督…」 |
100 | 監督 | 「ほら、魔王。これに着替えてこい。紐は勘弁してやったんだからな。そこの椅子の裏ですぐ着替えろ」 |
101 | 魔王 | 「な…人間…貴様っ」 |
102 | 勇者 | 「魔王、ガンバっ!」(親指立ててウインク) |
103 | 魔王 | 「…くっ、呪われていないだろうな!」(衣装の入った袋受け取って) |
104 | スタッフ | 「大丈夫ですっ、もうバッチリ!」 |
105 | 監督 | 「10分後に撮影を始めるからな…ぉぃ、カメラしっかり回しておけよ」(小声でスタッフに) |
106 | 勇者 | 「魔王、ようやくここまで来たんだ最高の闘いをしよう!」 |
107 | 魔王 | 「フンッ…言われなくてもやってやるわ!・・・10分だと部屋に戻る時間もないな…そこの椅子の陰で着替えるしかないか…」(コソコソと玉座の後ろで着替えはじめる) |
108 | 監督 | 「…GOッ!」(目を光らせ、メガホンを静かに振り下ろす) |
109 | スタッフ | 「ラジャー」(カメラを抱えて玉座に走り込む) |
110 | 勇者 | 「え…」(ニコニコとしていたが、二人の行動に呆然) |
111 | 魔王 | 「…なんだか人間どもにいいように扱われている気がしないでも…」 |
112 | スタッフ | 「……」(玉座の陰から魔王の着替え撮影) |
113 | 魔王 | 「……ッ///」(ふとスタッフに気づき、胸元隠しながら顔を真っ赤に染め、目を吊り上げ髪を逆立てる) |
114 | 勇者 | 「ちょっと…監督さん…」(オドオドしながら) |
115 | 魔王 | 「…貴様ら、消し炭にされたいかッ!!!!!!」 |
116 | スタッフ | 「…はーい、それでは勇者と魔王の戦闘シーンの撮影行きます」 |
117 | 勇者 | 「…よし、いくぞ魔王…」 |
118 | 魔王 | 「…フン、ほんと下らん茶番だ」 |
119 | 監督 | 「さっきのはすごくいいマル秘映像が撮れた、よし!」 |
120 | 魔王 | 「撮影が終わったらそこの人間を魔界の炎で骨まで灰にしてくれようか…」(毛を逆立てる) |
121 | スタッフ | 「魔王ちゃんイイネ!殺気がより真剣味増してるよー!」 |
122 | 勇者 | 「…その怒りをこっちにぶつけられるのか…?」(一歩下がりながら呟く) |
123 | スタッフ | 「ハイッ!それじゃあ、戦闘シーン開始します!5秒前!3…2…1…アクションッ!ホワッチャァー」 |
124 | 魔王 | 「こざかしい…」(腕を振り上げる) |
125 | 勇者 | 「しょう…くぷぷっ・・・ちょっ……、え…?」(剣を振り上げるが、笑い出し、脱力) |
126 | 魔王 | 「ぉぃっ」 |
127 | 勇者 | 「ちょっと待っ……ぇ?…何、その…アクション、ほわちゃあって…くくくっ・・・」(スタッフ見ながら) |
128 | スタッフ | 「すいません…つい、気合入れ過ぎて…」 |
129 | 魔王 | 「オイッ!」 |
130 | 勇者 | 「ちょっ・・・ほわっちゃあは反則…くくくっ・・・笑って…ツボにハマって…くくっ」 |
131 | 魔王 | 「貴様ら、ふざけてるのか?」(座り込み、笑ってる勇者をものすごい形相で睨みつける) |
132 | スタッフ | 「いや、ホントすみませんでした。はい、今のところもう一回撮り直します…はい…」 |
133 | 魔王 | 「次ミスしたら殺す」 |
134 | 勇者 | 「ごめん…」 |
135 | スタッフ | 「ほんと、ごめんなさい。もう一回行きます。5秒前…3…2…1……アクションッ!」 |
136 | 魔王 | 「こざかしいっ!」(腕振り下ろす) |
137 | 勇者 | 「勝負ッ!」(剣を振り上げる) |
138 | 監督 | 「いい感じだ……もうスタントなしでそのまま、ガンガン本気でやって」 |
139 | 魔王 | 「人間風情が魔王であるこのワシに挑むとは…」 |
140 | 勇者 | 「何が何でも世界を平和にするんだっ」 |
141 | 魔王 | 「貴様の望む先に本当に平和があるのか、くくっ」 |
142 | 勇者 | 「なんだとっ?」 |
143 | 魔王 | 「夢見がちな愚かな人間よ。目に物見せてくれるわ!」(手より波動で勇者吹き飛ばす) |
144 | 勇者 | 「くぅっ・・・」 |
145 | スタッフ | 「はい…ローアングル……カメラ踏まないようにねー、コードあるからねー」 |
146 | 魔王 | 「貴様のその下らん正義心なぞ、命の灯と共にかき消してくれようぞ」(足元のスタッフを避けながら) |
147 | 勇者 | 「ボクは諦めない……世界中のみんなが平和を…ボクに期待をしている…ボクはそれに応えるだけだ!」 |
148 | スタッフ | 「…勇者ちゃん、そこで腹パンチ…」(小声で) |
149 | 魔王 | 「フン…軟弱なパンチなど喰らうかっ」 |
150 | 監督 | 「そこは喰らってよろけるところだ、魔王!」 |
151 | 魔王 | 「うるさいっ指図するなッ!勇者を殲滅する」 |
152 | スタッフ | 「台本離れてるよ、戻して戻して!」 |
153 | 魔王 | 「カメラ邪魔だッ!さっきからちょこまかちょこまかと…こざかしいっ!」(スタッフ追い払おうとする) |
154 | 勇者 | 「てやーっ」 |
155 | 魔王 | 「くっ…、なかなかいい踏込をするな…」(ニヤリと笑う |
156 | 監督 | 「…魔王、ちょっとM字開脚して」 |
157 | 魔王 | 「何で、M字開脚しないといけないんだ!」 |
158 | 監督 | 「なんか、結界を張る魔法の一環とかってことにしてさ、そこローアングルね」 |
159 | 魔王 | 「辱めてるだけであろう!くそがっ!」(足開いて怒る) |
160 | スタッフ | 「もう少し足開いて…はい、もう少し腰を深く落とーす…いい感じいい感じ!」 |
161 | 魔王 | 「今すぐ、消し炭にしてやる。下らん人間どもめ」 |
162 | 勇者 | 「はぁーーーーっ」 |
163 | 魔王 | 「フンッ」(斬りかかる勇者を払いのける) |
164 | 勇者 | 「ぐぅっ・・・」(床に転がる) |
165 | 監督 | 「今のところはやられて!隙を突かれたみたいな」 |
166 | 魔王 | 「何故ワシがやられなければならないっ!」 |
167 | 監督 | 「台本通りだからだ。台本ではすぐやられるの。はい、死んで☆」 |
168 | 魔王 | 「…おぃ人間」 |
169 | 監督 | 「死んで☆…死んだフリでもこの際仕方ないよ?」 |
170 | 魔王 | 「あんまり調子に乗ってくれるなよ?火炎の弾が貴様を焼き払っても責任を負えんぞ?」 |
171 | 勇者 | 「魔王、覚悟ッ」 |
172 | 魔王 | 「クッ…」(避け損ねる) |
173 | 監督 | 「盛り上げていくぞ。あぁ心配しなくていいぞ、音声はカットしてBGMのせるから。ここBGMな!」 |
174 | 魔王 | 「えぇいっ、感じが狂うな…」(勇者の攻撃を振り払おうと必死) |
175 | スタッフ | 「勇者ちゃん、もうちょっと大振りに!…」 |
176 | 勇者 | 「わっ!ちょっと、ローアングルからカメラ回さないでよっ!」 |
177 | 魔王 | 「油断したな、勇者。その隙が命とり…」 |
178 | スタッフ | 「魔王ちゃん、足もう一歩前」(魔王の右足掴み、引き寄せる) |
179 | 魔王 | 「ぬぉっ!?」(バランス崩す) |
180 | 勇者 | 「わわっ!」 |
181 | スタッフ | 「いいね、イイネ!その構図イイヨ!まさしく『白熱した戦い』みたいな、ねぇ?監督」 |
182 | 監督 | 「……そのまま行けるとこまでいっちゃうか。どっちでもいいから惚れたという設定でベッドでもいいぞ」 |
183 | 魔王 | 「いくない、人間めっ。ふざけるのも大概に…」 |
184 | 勇者 | 「魔王、覚悟」(会心の一撃) |
185 | 魔王 | 「…ぬ?」 |
186 | スタッフ | 「はい、カットォーーーーーッ!いいシーン撮れたよ!」 |
187 | 監督 | 「少し台本書き換えて、勇者×魔王入れちゃう?入れちゃおうか?」 |
188 | 勇者 | 「誰がッ」(顔真っ赤にしながら) |
189 | スタッフ | 「まぁ、それも良さげなんですけどね…、まぁサクッと魔王がやられたところからラスト撮っちゃいましょっか」 |
190 | 魔王 | 「何故、ワシがやられねばならぬのだ。この程度の攻撃痛くもない!」 |
191 | 監督 | 「君ねぇ、台本通り出来ないんだったら帰っていいよ。他の人にやってもらうから」 |
192 | 魔王 | 「偉そうに…」 |
193 | 監督 | 「あぁ、俺はえらい。今ここで一番偉い」 |
194 | 魔王 | 「言うな、人間め」 |
195 | 監督 | 「俺の作品だ。お前たちは役者、作品の引き立て役でしかない。魔王だか勇者だか、関係なくな」 |
196 | 魔王 | 「貴様の作品ごっこに付き合う気はないわぁっ」 |
197 | 監督 | 「バカヤロー!こちとら仕事でやってるんだよ!遊び半分でやってるんじゃねぇ!やる気のない奴はいらねぇんだよっ」 |
198 | 魔王 | 「我が居城を勝手に使ったと思ったらワシにダメ出しの連発とはいい度胸だ、人間」 |
199 | スタッフ | 「アドリブだと上手いんだけどなぁ、魔王ちゃん。じゃ、本番いくよー3…2…1…アクションッ」 |
200 | 魔王 | 「ふん、何度でも蘇る。悪は滅びん」 |
201 | スタッフ | 「はい、カットォッー!なんで戦闘前並みにピンピン仁王立ちで台詞喋るの!もっと死にそうに…なんど…でも…なん…ど……」 |
202 | 監督 | 「何度でも立ち上がり呼ぶよー、きみの名前 声かれるまでー」 |
203 | スタッフ | 「監督、アウトー!カット、カットォー。何で歌うんですか」 |
204 | 監督 | 「いや…、ほら撮影続ける」 |
205 | スタッフ | 「本番なんですからね…まったく」 |
206 | 勇者 | 「ほら、魔王。っぽく、演技して。やられましたーって」 |
207 | 魔王 | 「なんで、ワシが…」 |
208 | 勇者 | 「今日のために今まで練習してきたんでしょ!しっかり!本番しっかり!大事な台詞でしょ?お母さん見に来てるんでしょ!しっかりやらないと!」 |
209 | スタッフ | 「はい、いきまーす」 |
210 | 魔王 | 「く……ぐ…これで終わりだと思うなよ……何度でも何度でも蘇って貴様らを屠ってくれる…」 |
211 | 勇者 | 「ならば、何度でも何度でも蘇って、世界を守り続ける!」 |
212 | 魔王 | 「…ふ、つかの間の平和を享受するがいい……ぐふっ」 |
213 | 勇者 | 「これで…世界の平和は守られた…。さぁ、ボクの待つ国へ帰ろう」 |
214 | スタッフ | 「はい、カットォー!完璧です、お疲れ様でしたぁーっ!二人ともお疲れ様でした」 |
215 | 監督 | 「はい、お疲れ様ー」 |
216 | 勇者 | 「ふぅ…ようやく終わった…」 |
217 | 魔王 | 「……で、このくだらん芝居を何故、やった」 |
218 | スタッフ | 「はい、お疲れ様でしたー。撤収ー」 |
219 | 勇者 | 「いやぁ、長かったー。監督さん、これ完成したらもちろん作品もらえるんですよね」 |
220 | 監督 | 「もちろんだ。試写会の時は舞台挨拶もあるから一言考えておいてくれ」 |
221 | 魔王 | 「舞台挨拶…だとっ」 |
222 | 勇者 | 「んじゃ、魔王お疲れ。また試写会の時に!」 |
223 | スタッフ | 「お疲れ様でしたー」 |
224 | 魔王 | 「あぁ、おつか……待て、おい。勇者、それでいいのか、おい。ワシが世界征服してしまうぞ。待て、待たんか」 |
225 | 監督 | 「お疲れちゃん」 |
作者のツブヤキ |
制作にホント長々とかかってしまいました。 その結果、なんとなくいつも他の作品でも言ってきたように最初に考えていた作品とは別物になってしまっている感じはあります。 望んだ結末ではなかったと。こんな形になるはずではなかったと。すんごく言い訳がましいですけど。 「とんだ茶番劇だ」ってところからこの物語は生まれたようなものです。 もう映画にしちゃえよって。すごくざあとらしいものになりそうな予感が漂ってますが、見て見たい気もしますね。 |
(※どの作品からのコメントなのか、URLのfree/○○○.htmlの『数字3桁のみ』の後、続けてコメントを記載して頂けると助かります) |