勇者と魔王の茶番劇

勇者と魔王の茶番劇

◇声物語劇団より最新情報


シナリオ詳細
掲載元 声物語劇団 公式サイト
声物語劇団 オリジナルボイドラ劇場
作者 月宮東雲
登場キャラ数 不問:2
総セリフ数 137
製作日 2012/11/12〜2012/11/14
概要説明 魔王とのついに最終決戦。勇者と魔王が出会った―――
世界の命運をかけた人々の想いを背負った勇者と、世界征服を目論む魔王。
魔王との決戦は、とんだ茶番劇だった――
利用にあたって 利用規約
目安時間
登場キャラ セリフ数 性別 備考
勇者 70 世界を救うべく、王様から魔王討伐の命を下される。魔王曰く、「軟弱で貧相な身体をしたもやしでケツの青い青二才」
魔王 67 世界征服を企んでいたが、なかなか思うように侵攻せず、人間界でただただクラス生活が続いていた。魔界の王にはなったものの魔界に居場所がなかったとか…






【魔王城】(魔王の間の扉を勢いよく開けて乗り込んでくる勇者)

001 勇者 「魔王ッ!覚悟ォッ!」(勢いよく乗り込んでくる)
002 魔王 「フハハハハハハッ勇者よ、よくぞ来た…褒めてつかわそう」
003 勇者 「ふん、諸悪の根源め。剣の錆にしてくれる!」
004 魔王 「よく言うわ、小童が。貴様のコノワタ喰らいつくしてくれるっ!」
005 勇者 「やれるもんなら……ちょーと待ったぁ!」(急ブレーキかけて足を止める)
006 魔王 「ぬんっ!?」
007 勇者 「コノワタはナマコの腸またはその塩辛!ハラワタだろ?」
008 魔王 「む…」
009 勇者 「それとも何、ナマコ勇者に倒されるの?魔王は」
010 魔王 「むぅ…もう一回だ、もう一回。入り直すところから」
011 勇者 「ったく、しっかりしてくれよなー。魔王だろー?」(剣を鞘に収め、踵を返す)
012 魔王 「……いいから配置につけ、勇者よ」(椅子に座り直す)
013 勇者 「はーい・・・」(扉を閉め直す)
014 魔王 「コホン、ウォッホン!」(わざとらしく咳払い)
015 勇者 「魔王ッ!覚悟ォッ…あばぁっ」(扉勢いよく開きすぎて跳ね返り、直撃)
016 魔王 「フハハハハハハハッ勇者よ、よくぞきた。褒めてつかわそう」
017 勇者 「つぅぅ…何だよ、人が痛みにうずくまっているってのに続けやがって…何?トラップに引っかかったのを褒めてんの?嫌がらせ?」
018 魔王 「自業自得ぞ。勇者よ」
019 勇者 「金属のドア顔面直撃だぞ?こいつもモンスター?え?」
020 魔王 「油断した貴様が悪い」
021 勇者 「最終決戦で勇者がドアに顔面ぶつけてうずくまったって後に知られてみなよ。天然勇者の伝説が後世まで残るんだぞ」
022 魔王 「ボケと笑いが世界を救う…」
023 勇者 「何の漫才頂上決戦だよ!テイク2だ、テイク2。このドア新調しておけよなー。ネジばかになってんじゃんか。これヒドイ」
024 魔王 「築ン千年の魔王城だ。ガタがくるのは当たり前だ」
025 勇者 「お抱え大工でも呼んで直してもらえっての、もっかい行くぞ、もっかい」
026 魔王 「フン…今度職人大工をかっさらうとするか」
027 勇者 「……お前は倒されるんだから、次はないからな」(扉を閉める際にチラッと顔を出して言う)
028 魔王 「小童風情が……。ウォッホン、オッホン!」(忌々しく呟いてからワザとらしく咳する)
029 勇者 「魔王ッ!覚悟ォッ!」
030 魔王 「ブォッホッ、ゲッホ!グォッホ!!!」(激しく咳き込む)
031 勇者 「え…ちょ…」(戸惑う)
032 魔王 「ゴフゥ……、勇者よ、よくぞきた。褒めてつかわそう」(血反吐吐きながら)
033 勇者 「ちょ…口から血出てる。まだ攻撃してないのに瀕死だよ、魔王」
034 魔王 「ワザとらしく咳していたら、喉傷つけた…」
035 勇者 「台無しだよ、台無し。なんだよ、それ。倒しに来たら魔王血反吐吐いて今にも死にそうでしたって…そんな楽勝に倒しても呆気なさ過ぎるというか」
036 魔王 「フン、よく言うわ!貴様は私にキズ一つつけられんわぁッ」
037 勇者 「いいからとりあえず、口の血拭ってくれない?中二病っぽいから…闘ってる最中に口から噴射されても困るし」
038 魔王 「ゲホッ、ゲホッ。フン、小童に心配されずとも…私は不死身だぁっ」(口の脇の血を拭い威嚇)
039 勇者 「あら、なんかカッコいい…」
040 魔王 「………」
041 勇者 「………」
042 魔王 「………」
043 勇者 「……台詞。魔王、台詞」
044 魔王 「む、むぅ。こ、小童め!貴様のハラワタ喰いつくしてくれ、くれよう!」
045 勇者 「それキメ台詞!一回でバシッと決める!」
046 魔王 「小童めっ!貴様のハラワタ食い潰してくれよう!」
047 勇者 「そうはいくかっ!」
048 魔王 「…ちょっと待った」(鋭い爪を引っ込める)
049 勇者 「何だよっ!」
050 魔王 「部屋に装備忘れてきた」
051 勇者 「何今さら言ってんだよ!何の装備だよ!」
052 魔王 「何攻撃受けても1しかダメージ受けない首飾り」
053 勇者 「チートかよっ!倒せる気しなくなるだろっ!卑怯だぞ!」
054 魔王 「そんな勝ち方して後世まで伝説として語り継がれても恥ずかしくないというのか」
055 勇者 「伝説を造るのはボクだ!命を削り、激しい死闘の末にようやく倒したって筋書きをもう考えているから。伝説として残るのはボクの考えた台本通りになるのさ」
056 魔王 「この人でなし!外道めっ!それでも人間かっ!」
057 勇者 「魔王に言われたくないね」
058 魔王 「こちとら魔界を制するのに何百年と歳月を要したというのに、貴様はポンと現れヤレ勇者だの、ヤレ英雄だの祀り上げられて?しまいには自分の考えた筋書きで伝説を残すだとっ!?虫が良すぎるわッ」
059 勇者 「そりゃボクだって並々ならぬ努力や苦労はしてきたもの!ある日突然、ランチパック持ってのこのこ乗り込んできたわけじゃない」
060 魔王 「努力?苦労?片腹痛いわっ!貴様はどこでしてきたというのだ」
061 勇者 「そりゃまぁ、父親が炎で焼かれて、『ぬわーーーーーーーーっ』といったシーンに出くわしたり、火口に落ちて遺体が上がらないなんてショッキングなことを伝えられてはいない!…けど、けどっ!野営をして寝苦しい日々を送ったり、筋肉マッチョに騙されたりしてきたんだ!」
062 魔王 「熱論するところではないわぁッ!たかが蚊に襲われたり、ボッタクられそうになったくらいで何を偉そうな…」
063 勇者 「村でごくごく平凡に、『村人B』としてのんびり暮らそうとしていたボクを戦乱の渦中に巻き込んで、剣を握らせられ、多くの者を手にかけさせられた!それだけで十分精神的にも肉体的にも苦痛を味わった!」
064 魔王 「笑わせてくれるわっ」
065 勇者 「言ってみれば、就職氷河期だから就職できなくても仕方ないね…って周りから言われても!就職できている奴はいるんだよ!こんなご時世だからね…物騒になったからと言ってボッタクっていいわけがないんだよ!」
066 魔王 「…貴様の苦労はそれだけか?」
067 勇者 「え…」
068 魔王 「魔法オババの水晶を通して貴様を監視し続けてきたが、大した苦労は何一つしていなかったではないか!」
069 勇者 「水晶で監視…?ま、まさか入浴とか、トイレの時も!?」
070 魔王 「我が手下を倒して村人に祝われたパーティーで食い過ぎで腹を壊していた時も、ボッタクられる前に入念に体を洗って備えていたことも全てお見通しだったわぁ!」
071 勇者 「へ、変態ッ!」(顔を真っ赤に染め、体を抱き抱える)
072 魔王 「見れば見るほど鍛えが足りない軟弱で貧相な身体。その身体で私を倒せるわけもない」
073 勇者 「〜〜〜〜〜〜ッ」
074 魔王 「腹が六つに割れれていれば話は別であろうがな…」
075 勇者 「うるさーいっ!お前を倒すためだけに命を懸けているんじゃないんだ!ボクはお前を倒した後の生活もあるからこそ!その先の生活を見越して腹を割らなかったんだ!」
076 魔王 「フン、実に愚かな…それが貴様の敗北を意味することも気付かず…愚かよのぅ」
077 勇者 「へっ、その『軟弱で貧相な身体』と馬鹿にしたこと後悔させてやる!」
078 魔王 「もやしでケツの青い青二才が!その臓物ぶちまけてくれよう!」
079 勇者 「ハラワタぶちまけるのはお前だっ!ハラワタぶちまけろっ!」
080 魔王 「ほざけっ!若造」
081 勇者 「世界の命運を背負ったこの一撃、受けてみろ!」
082 魔王 「フン、そんなボンクラ鉄の塊で斬られても痛くも痒くもないわっ!」
083 勇者 「覚悟ォッ」(剣を大きく振り下ろす)



【戦闘後】(痛みにのたうち回る魔王)

084 魔王 「ぬぉおおおおおおおおおおっ!痛いっ!すんごく痛いぞ!!」
085 勇者 「だから、覚悟って言っただろ」
086 魔王 「そうか、首飾りをしていないからだな…」
087 勇者 「見苦しいぞ、魔王」
088 魔王 「まだだ、まだ終わらんよ!」
089 勇者 「なんだとっ!?」
090 魔王 「そろそろこの茶番も終わらせてくれようっ!」
091 勇者 「く…なら、こっちも全力で行かせてもらうっ」
092 魔王 「え…今まで全力じゃなかったの!?」
093 勇者 「6割くらい…」
094 魔王 「何で!?何で最初っから全力じゃないのだ?相手に失礼だぞ!馬鹿にしているのか!」
095 勇者 「だからここから全力で行かせてもらうって…」
096 魔王 「無理無理無理っ!これ以上痛いの無理っ!死んじゃう!私死んじゃうから!」
097 勇者 「魔王を討伐に来たんだ。死んでもらう」
098 魔王 「聞いてない、私聞いてない。死ねって…鬼、悪魔、魔王か!」
099 勇者 「いや、魔王はお前だろ…」
100 魔王 「はい、死んだ。勇者は魔王を倒した。こうして世界に平和が訪れたのであった」(パタリと倒れて死んだフリ。棒読みナレーション)
101 勇者 「そろそろ茶番は終わりだ…魔王。決着をつけよう」
102 魔王 「……返事がない。ただの屍のようだ」
103 勇者 「…ならばお望み通り、背中から一突きさせてもらうか」
104 魔王 「待て待て待てッ!と、とんだ茶番もあったものだな!善良な魔王を捕まえて、やれ討伐だ、やれ殺せだなど物騒な!」
105 勇者 「魔界の王が人間界にいる時点でどこが善良なんだ」
106 魔王 「そうか、なんだ住民票を取得すればいいか?戸籍を移せばいいのか?そうか?そうすれば認めてもらえるんだな?」
107 勇者 「いや、もう討伐命令王様から下ってるから。手遅れ」
108 魔王 「世界を半分くれてやる。見逃せ」
109 勇者 「態度そのものは魔王だけど、結構弱気だ…」
110 魔王 「…そろそろ茶番は終わらせないか、勇者よ」
111 勇者 「望むところ!覚悟しろっ」
112 魔王 「私は勇者に退治された、勇者は王様に報告する。これで世界に平和が訪れる」
113 勇者 「何でさっきから命乞いしているんだ…魔王」
114 魔王 「命乞い?フフフ、言葉を慎みたまえ勇者よ。何故私が命乞いなどせねばいけぬのだ」
115 勇者 「じゃあ、大人しく…」
116 魔王 「まぁ、待て。もう助けてくれないことは分かった。勇者、貴様は極悪非道で血も涙もない悪魔であることはよーく分かった。そこで・・・だ、最期の台詞何がいいと思う?」
117 勇者 「最期の台詞?」
118 魔王 「ぬわーーーーーーーーーーーーーーーっ」
119 勇者 「片乳首出したおっさんっぽいな」
120 魔王 「ぐ…この私を倒したところでいい気になるなよ…。第二、第三の私がいずれお前を…ぐふっ」
121 勇者 「あ…っぽいかも」
122 魔王 「身体が、熱い…燃える……、燃えるように熱い…ぐわーーーー…って言った後、光を放って消える」
123 勇者 「光放って消えられんの?」
124 魔王 「できるかできないか、やってみないとわからん」
125 勇者 「じゃあ、他の案で」
126 魔王 「よくぞ、魔王を倒してくれた。褒美を取らそう。ホレ、宴の準備じゃ」
127 勇者 「何で、凱旋後の王様みたいな真似してるんだ。魔王はお前だ」
128 魔王 「…テヘッ、やられちゃった☆テヘペロ」(コツンと頭叩きながらペロッと舌出す)
129 勇者 「採用!」(親指立てる)
130 魔王 「冗談だ、勇者よ」
131 勇者 「しっかりその伝説で広めてやる。安心して逝け」
132 魔王 「そんな伝説を残されて逝けるかっ」
133 勇者 「いいから逝けよ!話的に進まなくなるんだよ!エンディングにならないだろ!」
134 魔王 「そんな簡単にやられてたまるかー」
135 勇者 「何をー。覚悟−」
136 魔王 「こしゃくなっ!調子に乗るなっ小童めっ!」
137 勇者 「…何この茶番……」






作者のツブヤキ
 勇者と魔王のとんだ茶番劇です。
勇者と魔王の闘いなんてもう何年、何十年、何百年と繰り返されているんです。
ひょいと現れた勇者にポンとあっけなく倒される魔王。これはもうお決まりで定番です。そして変わることのない。
茶番ですよ、茶番。そして、いかに都合のいい伝説を後々まで創っていくか。とんでもない茶番劇を描いてみました。
書いている最中にも次々と魔王シリーズのネタが思いつきましたね。もう酷いですね。

使用報告・リクエスト・感想・コメント応援・随時、受付中! ⇒   掲示板  

(※どの作品からのコメントなのか、URLのfree/○○○.htmlの『数字3桁のみ』の後、続けてコメントを記載して頂けると助かります)









台本一覧へもどる

オリジナルボイドラ劇場へもどる

声物語劇団へもどる

ブログを見る

★☆先月の台本人気ランキング☆★