鎮まる錨 -見えない船-

鎮まる錨 -見えない船-

◇声物語劇団より最新情報


シナリオ詳細
掲載元 声物語劇団 公式サイト
声物語劇団 オリジナルボイドラ劇場
作者 月宮東雲
登場キャラ数 :3
総セリフ数 140
製作日 2012/11/5〜2012/11/5
概要説明  海上にて優雅に航行する大型客船。ダンスパーティーが開かれ客人たちが賑わう中、
船員たちは寒い夜空の下、見張りを続けていた。
二人で喋りながら監視を続けている内、船影を発見。しかし、二人以外には誰も見えておらず……
利用にあたって 利用規約
目安時間 13分程度   【〜20分】
登場キャラ セリフ数 性別 備考
船員 60 海の男に憧れ、船乗りになった。女運がなく、付き合ったためしがない。
航海士 64 主に夜間などの海上監視業務を行っており、三等航海士。
船長 16 数多くの経験を積んできたベテラン。ただ、頑固なところがあるため、周りからは老害と呼ばれることもしばしば






【夜・大型客船見張り台より】(夜の海を航行する船。肉眼で確認する船員)

001 航海士 「右舷異常なーし」
002 船員 「左舷異常なしっ」
003 航海士 「定時報告、こちら前方右舷左舷ともに障害なし」
004 船長 「報告ご苦労。引き続き頼んだ」
005 航海士 「了解」
006 船員 「ふぃーっ、交代まであと4時間?やってられないね」
007 航海士 「まぁ、そうこぼすなって」
008 船員 「この真っ暗な何にもない海原をずっと見ている時ほど退屈なものはないね」
009 航海士 「そりゃ、夜より朝とか昼の方が見通しはいいし、景色は楽しめるけどなぁ」
010 船員 「この闇一面ってのが気に食わないんだよな。今にも飲みこまれそうってのが。それに夜は冷える…」(ブルルと震える)
011 航海士 「愚痴ったところで交代するまでの時間が短くなるわけでも、視界が明るくなるわけでもないんだ。虚しくなるぞ」
012 船員 「へいへい、それに知ってるか?今頃下ではダンスパーティーだぜ?ダンスパーティー」
013 航海士 「あぁ…確かに音楽が聴こえてくるな」
014 船員 「温かい部屋でアハハうふふとくるりくるりとワルツを踊って、美味しい料理やお酒に酔いしれ?その後は情熱なダンスをベッドの上でもかっ!かーっやってられないねっ」
015 航海士 「見ててやるからそこでサンバでも踊ったらどうだ、体温まるぞ」
016 船員 「何が悲しくて腰を横に振らなきゃいけねーんだ、やってられないねっ」
017 航海士 「同感。言ったものの、お前の腰さばきなんざ見たくなかった。吐き気がする」
018 船員 「海の男に憧れたものの、こういう時は惨めだ。おい、見て見ろよ甲板を」
019 航海士 「何だ?ケンカか?」
020 船員 「イチャつきカップルだ。ひゅー熱いねー、馬に蹴られて死んじまえってんだ」
021 航海士 「何にもない真っ暗な海を見ているより、変化があって楽しめるかもな」
022 船員 「あっつーいキスの上におっぱじめやがった…おーおー、こんな寒い外でよくやるなぁ、畜生め」(身を乗り出しながらカップルを凝視)
023 航海士 「見つかるとクレームと共に船長に報告行くぞ」
024 船員 「ちぇっ、なんだ?耳澄ませて声だけ楽しめって?Sound onlyか?Sound sorryだね、全く」
025 航海士 「…さっき、視界確認の時『右舷異常なーし』とか『左舷異常なし』って言っただろ?」
026 船員 「んぁ?それがどうかしたか?」
027 航海士 「いやぁ、言った瞬間、矢とか銃とかでブスッと撃たれてここから落下するフラグ立つんじゃないかって」
028 船員 「アニメとか観過ぎだろ」
029 航海士 「異常なーし、ぐわぁっってな」(倒れる真似)
030 船員 「船の監視員殺して誰の得になるんだよ。テロリストでも襲ってくるってか」
031 航海士 「宇宙人の襲来とかな」
032 船員 「残念ながら宇宙戦艦じゃないからわざわざ海で攻めてこないだろ」
033 航海士 「海賊とかな。あ、タイパニックだっけかあれ見たことあるか?」
034 船員 「おいおい、縁起でもねぇ。乗船前に何観てんだよ」
035 航海士 「あれなんか氷山に衝突して撃沈。だろ?」
036 船員 「海の男に憧れて船乗りになったのに、あれ見て本気で辞めるか考えたんだからな」
037 航海士 「あの初めて見た夜は流石にチビるかと思ったな」
038 船員 「なんだ、ベッドの上で溺死するところだったか?」
039 航海士 「おもらしは幼稚園で卒業したんでね。さすがに漏らしゃしないね」
040 船員 「そうだな。畜生…冷え込んできたな」
041 航海士 「もっと厚着してくれば良かったな…」
042 船員 「何で相方が女じゃないんだかな。そしたら人肌で温めてもらうってのに」
043 航海士 「よせよ、お前と組んだら毎回ここから海に突き落とされるぞ」
044 船員 「何でだよ」
045 航海士 「でも、売店の娘もそうだけど…新しく入ってきた新米の女船員…あの娘可愛いよな」
046 船員 「だろ?目付けてんだけど…当直終わったら船室に忍び込んでみようか」
047 航海士 「次の見張りが俺一人になるからやめておけ」
048 船員 「また俺殺されるのか」
049 航海士 「減ってても分からないからな。あれ?アイツは程度で、探しようもない」
050 船員 「人でなしだな、おい」
051 航海士 「…うぅ、流石に冷えてきたな」
052 船員 「凍え死んでしまいそうだ。おっと、そうだった。さっきちょっとくすねてきた酒があるんだが…」
053 航海士 「おいおい・・・勤務中だぞ?」
054 船員 「ちょっとだけ、こう寒くては見えるもんも見えなくて冷静な判断できなくなっちまいそうだからな」
055 航海士 「怒られても知らないぞ…?」
056 船員 「とか言って、その手は何だよ。お前も飲みたいんだろ?」
057 航海士 「いや…、まぁ…ちょっとくらいな。身体あっためるために必要かもな」
058 船員 「だろ?じゃ。ちょっとだけな。」(キャップを開け、ぐいっ飲む)
059 航海士 「酒でも入れないとこの仕事はきついからな…」
060 船員 「あぁ、夜間の見張り程、退屈なもんねーわな。諸島周辺だったら岩礁に注意しないといけないだろうが」
061 航海士 「ここは海のど真ん中で、島も氷山もあるわけないしな」
062 船員 「ほら、ちょっとだけだぜ?俺たち船長に見られたら放り捨てられるかもしれないからな」
063 航海士 「違いない。んくっ・・・くぅ、体が温まるなぁ。念のために氷山ないか確認するか」
064 船員 「ばーか、あるわけねぇだろ」
065 航海士 「あったら手遅れなわけだしな、おし確認するぞ」
066 船員 「双眼鏡…双眼鏡……おりょ、双眼鏡ねぇな」(首からかけているはずの双眼鏡を捜す)
067 航海士 「あん?何してんだ?」
068 船員 「あちゃー、いやさ。昼間甲板ですごい可愛い娘いてよ、双眼鏡貸してくださいって言われて貸したんだけど返してもらってなかったかー」
069 航海士 「何してんだよ、見張り台に立つのに双眼鏡なしって。自覚足りないんじゃないか?」
070 船員 「仕方ないだろ、すぐ船長に呼び出されたんだしよ。…あれ、でも返してもらった気もするんだよな」
071 航海士 「自分の部屋に置いてきたか?」
072 船員 「いや、部屋戻ってねーんだよな。…いや、ほんとあの娘可愛かったんだ。電話番号聴いておけばよかったなぁ。陸に上がったら一緒に食事でもどうって」
073 航海士 「幼女?」
074 船員 「ばぁーか、成人してるかしてないかの若い娘だよ。明るい感じで、マリンブルーの瞳して…なんか吸いつけられっていうかな」
075 航海士 「ハハーン、一目惚れって奴か」
076 船員 「まさしく恋したのかもな。いや、下船する前にまた会いたいな」
077 航海士 「ははっ、恋愛小説の読み過ぎじゃないか?どうせ彼氏持ちだ」
078 船員 「どうだか。あれはまだ恋愛未経験者だと見たぞ」
079 航海士 「未経験はお前だろうが、全く…。ん?」(呆れたようにため息をつき、ふと顔を上げる)
080 船員 「そろそろ海だけに生きず、陸に女を待たせた…どうした?」
081 航海士 「なぁ…何か見えないか?」
082 船員 「あ?氷山でも見えるってか?」
083 航海士 「いや…氷山じゃないと思うけど…」(双眼鏡で覗き見る)
084 船員 「…前だよな?」
085 航海士 「海上にぼんやりと…氷山があんな風に見えるわけがないんだ…」
086 船員 「何見えんだ?双眼鏡貸してみ?」(航海士から双眼鏡受け取り、眺める)
087 航海士 「こっちに向かってきてるな…」
088 船員 「んぁ?双眼鏡真っ暗じゃねーか。こんなんで何が見えんだ?これお前も見えないんだが、壊れてんじゃないか?」
089 航海士 「え?」(双眼鏡受け取り、甲板や明るい所を見る)
090 船員 「双眼鏡は見えないけど…」
091 航海士 「何で双眼鏡に何も映らないんだ?さっきまで確かに見えた。細工されてたわけでもないだろうし」
092 船員 「いや・・・双眼鏡じゃない。肉眼で見える。確かに見える…。」
093 航海士 「見えたか?あれは…なんだ?ゆらゆら揺れてる感じは…」
094 船員 「おいおい…マジかよ。どう見ても船だろ常考…」
095 航海士 「見間違えじゃないよな?俺だけ見えてるわけじゃないよな」
096 船員 「ああ、マジだ。俺だけ見えてんだったら酔っぱらってるだけだが、お前が見えてんだったらヤバい」
097 航海士 「俺も酒飲んだぞ、お前から貰ってさっき」
098 船員 「お前が飲んだのはただのお茶だ。渡す前に別の奴渡したんだよ、ほら」(自分の脇から酒瓶出し、掲げる)
099 航海士 「くそ…お前っ」(騙されたことに目を見開く)
100 船員 「そんなことより、船長に報告だ!」
101 航海士 「あぁ、そうだ!船長、船長ッ!前方より船舶の影発見!航行ルート上です!」
102 船長 「なんだと?」
103 航海士 「今すぐ回避行動か、呼びかけを行わないと…ぶつかりますっ!」
104 船長 「むぅ…?寝ぼけているのか?それとも寒さで脳が凍ったか?」
105 航海士 「寝ぼけているのは船長の方です!すぐ目の前に大型船舶が!」
106 船長 「ブリッジからは船影一つ見えん」
107 船員 「なんだって!?船長にはあれが、見えないって言うのか?」
108 航海士 「船長、回避行動を提言しますッ!」
109 船長 「レーダーにも小型船一つ映っていない」
110 船員 「ち、老害ジジイめっ」
111 航海士 「このままじゃ、ぶつかるッ!」(真っ青になり、顔が引き攣る)
112 船員 「俺がブリッジに行ってくる」
113 航海士 「ああ、頼んだ!」
114 船長 「…レーダーでも双眼鏡でも、肉眼でも見えん船をどう信じろと言うのだ」
115 航海士 「…しまった、あいつ酒飲んでるんだった…」(頭抱える)



【ブリッジ】(慌ててブリッジに飛び込む船員)

116 船員 「船長ッ!船長ッ!!」
117 船長 「騒々しいな、君は」
118 船員 「早く回避行動をとらないと手遅れになりますよ!」
119 船長 「…どこに船があると言うのだね、え?」
120 船員 「まっすぐ進んできているじゃないですかっ!向きを変えずに!」
121 船長 「……見当たらないのぉ。君が、お酒を飲んでいるということくらいしかな」
122 船員 「あ…いや…」
123 船長 「酔っ払いの戯言には付き合ってられん!勤務時間中に飲酒をするなぞ言語道断!陸に着いたらどうなるか、処分を待つんだな」
124 船員 「あ、いや。俺は飲みましたけど、航海士は飲んでないんだよ!マジで船が!船が目の前に!!!青白い船が目の前に迫っているんだよ!!!」
125 船長 「青白い船…」



【見張り台】(連絡機を握りしめながら監視を続ける航海士)

126 航海士 「船長ッ!もう回避が間に合わなくなります!」
127 船長 「…仕方ない。どちら側に回避すればよい」
128 航海士 「面舵いっぱい!」
129 船長 「…面舵いっぱぁーッい!」
130 船員 「…うぉ」(船が大きく傾き、バランスを崩す)
131 航海士 「後進いっぱーいっ!」
132 船長 「後進いっぱぁーーーーいッ!」
133 航海士 「ダメだ…間に合わない!船がぶつかるッ!!」
134 船員 「マジかよっ…」(ブリッジを飛出し、船首へ)
135 航海士 「おしまいだ…」
136 船長 「・・・何が見えているというのだ。何も、何もないぞ」(海を睨みつけながら)
ドォオオオオオンッ(衝撃音と激しい衝撃)
137 船員 「ぬわぉおおおおおおおおおおおお」(揺れに堪えられず、甲板に倒れ込む)
138 航海士 「うわぁっ」(手すりにしがみつく)
139 船長 「何が…何が起きたというんだ」(尻もちをつき、様子をキョロキョロ見回す)
140 航海士 「船が…ぶつかった……」(呆然と)






作者のツブヤキ
 意外と量が多くなってしまいました。本当は一話完結のつもりではあったのですが。
肝心の彼女を出すことができませんでした。なんだかこういった話を書くと「タイタニック」が懐かしいですね。
子供の頃、見たあの映画は、規模の大きさ的にすごく印象的で、脳裏に叩きつけられましたね。
後ろから抱きついて十字架のタイタニックごっこが流行ったあの頃。…ただの羽交い絞め。
タイタニックの最期のローズが救助を待つ時の海面に浮かぶ死者がヤバいです。あれはトラウマものでした。

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