シナリオ詳細 | |
掲載元 | 声物語劇団 公式サイト 声物語劇団 オリジナルボイドラ劇場 |
作者 | 月宮東雲 |
登場キャラ数 | ♀:2 |
総セリフ数 | 92 |
製作日 | 2012/11/3〜2012/11/3 |
概要説明 | 突然、母親を失い、死を受け入れられずなぜ人が死ぬのかを悩み続けていた少女の下に 謎のお姐さんが声を掛ける。「あなたの悩み解決してあげましょうか?」 そんな優しさの微笑みから少女は質問を投げかける。「どうして人間は死んじゃうの?」 |
利用にあたって | 利用規約 |
目安時間 | 6分程度 【〜10分】 |
登場キャラ | セリフ数 | 性別 | 備考 |
美代 (みよ) |
46 | ♀ | 母親を亡くした少女。母親の死を半分しか受け入れられていないが、強い心を持っている。 |
お姐 (おねえ) |
46 | ♀ | 正体不明の自称忙しい(暇そうに見える)お姐さん。公園の周辺に住んでいるわけではないらしいのだが… |
001 | 美代 | 「どうして人間は死んじゃうの?」 |
002 | お姐 | 「それはね、神様に見放されたからよ」 |
003 | 美代 | 「ママも神様から見放されたの?」 |
004 | お姐 | 「神様には必要ないと思われちゃったのよ」 |
005 | 美代 | 「何で?美代がイイ子にしたから?」 |
006 | お姐 | 「美代ちゃんはイイ子にしてたの?」 |
007 | 美代 | 「うん。イイ子にしてた」 |
008 | お姐 | 「悪いことはしなかった?」 |
009 | 美代 | 「うん、しなかった。イイ子にしていたら神様がご褒美くれるっていうからイイ子にしていたよ」 |
010 | お姐 | 「そうね…。イイ子にしていたからもう美代ちゃんにはママは必要ないなって神様思っちゃったのかもしれないわね」 |
011 | 美代 | 「神様は必要じゃなくても美代にはママ必要だったもん」 |
012 | お姐 | 「神様はね、美代のお母さんを天国で働いてもらうためにこっちの世界から呼んだのかもしれないわ」 |
013 | 美代 | 「ママは天国に呼ばれたの?」 |
014 | お姐 | 「そう。大人になったら分かるけどね、『人事異動』って言って働く場所を変わってもらったの」 |
015 | 美代 | 「美代のお家じゃないところで働いてるの?」 |
016 | お姐 | 「そう。よくお店の店員さんも違う場所のお店で働いていることがあるでしょ?」 |
017 | 美代 | 「うん。お薬屋のお兄さん、いつの間にかスーパーのお店からアーケードに立っていた」 |
018 | お姐 | 「大人の世界ではね、そういうことがよくあるの」 |
019 | 美代 | 「ママも美代のお家から移動して天国のお店で働いているの?」 |
020 | お姐 | 「そう。だからいつかまた戻ってくるかもしれない」 |
021 | 美代 | 「本当に?ママ戻ってきてくれるの?」 |
022 | お姐 | 「えぇ、戻ってくるかもしれない。…でもね、それはいつになるかは神様にしかわからないの」 |
023 | 美代 | 「そうなの?」 |
024 | お姐 | 「そう。私たちの居場所を決めているのは神様だから」 |
025 | 美代 | 「じゃあ、美代も神様のところで働くこともあるの?」 |
026 | お姐 | 「えぇ。いつかはそういうこともあると思うわ」 |
027 | 美代 | 「そしたら美代もママに会えるのかな」 |
028 | お姐 | 「会えるかもしれない。でもね、神様が決めた時期に連れて行ってもらわないと天国まで上げてもらえないの」 |
029 | 美代 | 「そうなの?」 |
030 | お姐 | 「そう。悪いことばっかりしていたり、神様の決めた寿命まで生きなければ天国に案内してくれる使者たちが迎えに来てくれなくて地獄へ引きずりおろされるの」 |
031 | 美代 | 「地獄に連れて行かれるの?」 |
032 | お姐 | 「そう。人間はね、死ぬと屍と魂を拾いに地獄から死神や地獄の使者たちがやってくるの」 |
033 | 美代 | 「なんで?」 |
034 | お姐 | 「地中を支える労働者が欲しいのかもしれないわ」 |
035 | 美代 | 「地面の下には死んだ人たちが働いているの?」 |
036 | お姐 | 「そう。悪いことした人や神様に気に入られなかった人たちがいっぱいいるところ」 |
037 | 美代 | 「美代も連れて行かれる?」 |
038 | お姐 | 「美代ちゃんはずっとイイ子でいれば大丈夫。人に嘘をついたり、騙したりせずに正直に生きて、人のために一生懸命生きれば神様も認めてくれるわ、きっと」 |
039 | 美代 | 「でもママは神様に見放されたから死んじゃったんでしょ?」 |
040 | お姐 | 「そうね。もうずっと見ていなくても大丈夫だからって思われたから見放されたの」 |
041 | 美代 | 「じゃあ、ママは神様に嫌われたわけじゃないの?」 |
042 | お姐 | 「その逆で神様に気に入られたから呼ばれたのかもしれないわ」 |
043 | 美代 | 「神様が美代に意地悪したわけじゃないの?」 |
044 | お姐 | 「意地悪したわけじゃないわよ、きっと。ママがいなくなった分強くなれるでしょ?」 |
045 | 美代 | 「うん…」 |
046 | お姐 | 「美代ちゃんは神様に試されているかもしれないわ。本当にイイ子かどうかの見極めに」 |
047 | 美代 | 「試されてる?」 |
048 | お姐 | 「そう、試練。この試練が乗り越えられれば、ずーっと美代ちゃんは強くなれる」 |
049 | 美代 | 「強くなれる?」 |
050 | お姐 | 「どんなに辛いことがあってもね、負けない子になれる。…と、お姐さんはそう思うな」 |
051 | 美代 | 「うん」 |
052 | お姐 | 「辛くて苦しいことがあっても今のツライ気持ちよりツライことはないって思えるし、その苦しみをバネにすればどこまでもどこまでも飛んで行けるかもしれない。ね?」 |
053 | 美代 | 「飛べる?」 |
054 | お姐 | 「そう。天国に行く時のために今はバネの準備をしないとね。天まで届くほどのバネを造る為に」 |
055 | 美代 | 「よく『悔しさをバネに」っていうのはそういうことなの?」 |
056 | お姐 | 「そう。『だから苦労は買ってでもしなさい』って言うの。美代ちゃんはその苦労をちょっと早めに買わせられちゃったのかもしれないわね」 |
057 | 美代 | 「…苦しいの?」 |
058 | お姐 | 「ママがいないとご飯の用意やお洗濯できないでしょ?」 |
059 | 美代 | 「いつも手伝っていたから大丈夫!美代だってできるよ」 |
060 | お姐 | 「そう…。でも毎日毎日続いていると嫌になっちゃうかもしれない」 |
061 | 美代 | 「大丈夫…だよ、多分…」 |
062 | お姐 | 「寂しいなって思うこともあるだろうと思うし」 |
063 | 美代 | 「うん…でもね、大丈夫。お姐さんもいるし、パパだっているもん」 |
064 | お姐 | 「そっか、うん。美代ちゃんは強いね。イイ子だ。」 |
065 | 美代 | 「でしょ?」 |
066 | お姐 | 「お姐さん、心配性だからさ。心配していたの」 |
067 | 美代 | 「お姐さん心配しちゃった?」 |
068 | お姐 | 「うん、ちょっとだけね」 |
069 | 美代 | 「ごめんなさい」(ぺこりと謝る) |
070 | お姐 | 「どうしたの?」 |
071 | 美代 | 「ママが人様に心配かけちゃダメだって言っていたから」 |
072 | お姐 | 「…ふふっ、そういうことか。ううん、平気平気。お姐さんが心配性なだけだから」 |
073 | 美代 | 「美代は大丈夫だから心配しないで」 |
074 | お姐 | 「そっか。うん、もう心配しない!美代ちゃんのお話聞いていたら安心した」 |
075 | 美代 | 「ね?」(ニコッと笑う) |
076 | お姐 | 「寂しくなったらいつでも探しにおいで。お姐さん、いつでも歩き回っているから」 |
077 | 美代 | 「お姐さん暇なの?」 |
078 | お姐 | 「暇ではないわよ?すんごく忙しい」 |
079 | 美代 | 「この辺に住んでいるの?」 |
080 | お姐 | 「住んでいる…っていうのはちょっと違うかもしれないけど。うん、いるよ」 |
081 | 美代 | 「そっか。お姐さんにどうして人間が死ぬのか訊けて良かった!ありがとう」 |
082 | お姐 | 「答えになってたかな?どういたしまして」 |
083 | 美代 | 「あ、パパだ!お夕飯のお手伝いするんだ!だから帰るね!お姐さん、ありがとう!ばいばいっ」(手を振り、駆けて行く) |
084 | お姐 | 「そっか、うん。バイバイッ」(微笑み手を振る) |
085 | 美代 | 「またねー!」(大きく手を振る) |
086 | お姐 | 「またね」 |
087 | 美代 | 「パパー、あのね。公園でお姐さんとお話していたの」 |
088 | お姐 | 「次会う時はお迎えの時かな。それとも、パパのお迎えの時かな…強く生きるんのよ、美代ちゃん」 |
089 | 美代 | 「あそこのブランコのところでねー…お姐さん?…さっきいたんだよ、美代お話したもんっ」 |
090 | お姐 | 『苦しみをバネに。悲しみをバネに。その力が天まで届きますように…』 |
091 | 美代 | 「むーっ、信じないならパパのおでんにからし入れてやるー」(声が遠ざかっていく) |
092 | お姐 | 願わくは、深い悲しみが心を覆わぬよう、幸せでありますように――― |
作者のツブヤキ |
悲しみや辛さをバネに…そのバネの威力で天までジャンプする!という発想は当初全くありませんでした。 書いていく内になるほど…って思って書いてみました。多分意味合いが違いますね。 でもこの『天』。高みという『頂点』の天として高みを目指すといった捉え方もできますので、いいのかな…。 バイトのグラス洗いの最中に突然、「人間はどうして死ぬの?」って言葉が舞い降りてきて… その時に考えついたのは10もいかない極々短い掛け合いだったのですが、いつの間にかそれなりの長さになっていました。 『神様に見放される』って言っておきながら『神様に気に入られたから』って矛盾がががが。 まぁ大目に目を瞑って頂ければ、これ幸いです。 |
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