死神生命保険6

死神生命保険6

◇声物語劇団より最新情報


シナリオ詳細
掲載元 声物語劇団 公式サイト
声物語劇団 オリジナルボイドラ劇場
作者 月宮東雲
登場キャラ数 :1:1不問:1
総セリフ数 117
製作日 2012/10/30〜2012/10/30
概要説明  ついに身体が徐々にもたなくなり、生にこだわることを諦める広茂。
キルと死神生命保険を契約し、残りの余命を友華に託し、この世に終わりを告げる。
死神生命保険最終話。
利用にあたって 利用規約
目安時間
登場キャラ セリフ数 性別 備考
菊池 広茂
(きくち ひろしげ)
50 妹想いの高校二年生。彼女ができて浮かれているが、良きお兄ちゃんとして友華も可愛がっている
立花 秋菜
(たちばな あきな)
23 広茂の彼女の高校二年生。初めて成功した告白で、広茂と付き合っていることを誇りに思っている。
死神キル 44 死神界よりやってきた死神。広茂の母より生命保険の行使をしに現れる。人の形をしているが、人間のような顔を持っているかは不明






【昼休み・学校】(廊下から秋菜を見ながら)

001 秋菜 「くるみ、あの店行って見た?そうそう。店員の声めっちゃ高いよね?」
002 広茂 「…よく考えれば、これから別れて会えなくなるのに何必死に戻そうなんてしていたんだろ」
003 キル 「何だ、諦めたのか?」
004 秋菜 「え?ヒロ君…いや、菊地君とはまだ行ってない。まぁ雰囲気のいい店だから行きたいんだけど、今喧嘩中」
005 広茂 「親しい人の別れってつらいじゃんか?」
006 キル 「さぁな、人間達の感情を理解しきっているわけではない。同意はしかねる」
007 広茂 「隣りの婆ちゃん死んだ時はなんかツラかった。最初は全然縁なかったのに、毎日挨拶される度にいつしか遊びに行く程になっていて…」
008 秋菜 「…だって本当のこと言ってくれないんだものヒロ君」
009 広茂 「婆ちゃん亡くなってしばらくはなんかポッカリ心に穴空いた感じでさ…」
010 秋菜 「しまいには『俺実は死んでるんだ!』ヒドいよ…」
011 広茂 「あー知り合わなきゃ良かったって。直前まで仲良くしていたからこんなにツラいんだって。だったらもう遅いかもしれないけど、せめてすっぱり別れて忘れてもらった方がいいのかなって」
012 秋菜 「じゃあ目の前にいるヒロ君は幽霊なのって。足あったもの」
013 キル 「それが汝の選択であればとやかく言うものではないであろう。口を挟む気もないがな」
014 秋菜 「死んだような顔してるって死んだ目は元から…元からだったきっと」
015 広茂 「なぁ、キル。顔色が悪いのは分かった。けど、目も濁ってないか?」
016 キル 「お前は相談する友人もいないのか?」
017 広茂 「うるせー」
018 キル 「寂しい奴だ」
019 広茂 「せー」
020 秋菜 「確かにヒロ君、最近独り言多くなったけど。由香も茶化さないでよー。死人が歩くわけないじゃん」
021 広茂 「キル、あとどれくらい生きられるんだ?」
022 キル 「内臓器官の腐敗具合によるが一週間程はいけるか」
023 広茂 「内臓器官の腐敗?」
024 キル 「あんまり頑張り過ぎると蠅がたかるわ、腐乱臭をばらまくわと惨事になるがな」
025 広茂 「それって…」
026 キル 「腐りきって動けなくなるその時まで側にいてやる」
027 広茂 「嫌な最期だな」
028 キル 「多くの人間はある程度生きた後は醜態を晒さんと命を絶つがな」
029 広茂 「そらそうだわ。俺もその一歩手前ってか…そろそろ腹くくる時なのかもな…」
030 秋菜 「…だってヒロ君あんなに冗談飛ばす程、ふざけるくらい元気あったんだよ?死ぬはず…死んでるはずないよ…」



【夕方・丘の上の公園】(眼下に広がる町を見つめながら)

031 キル 「死を受け入れられないのは本人以上に遺される者たちかもしれぬな」
032 広茂 「何で人が決意しようとしてる時にそういうこと平気で言うんだ…嫌がらせか?悩み苦しむのを見て大爆笑か?悪趣味だぞ」
033 キル 「事実を述べたまでだ。本人は受け入れられずとも死は訪れ、ただ従うのみだが周りはどうだ?空白を埋めようと日常を繰り返したり、代用の穴埋めをし始める」
034 広茂 「で?」
035 キル 「ただそれまでの話だ」
036 広茂 「意味深に話すのはやめてくれよ」
037 キル 「人間達と違って特に深い意味がある話をしているわけではないのだがな」
038 広茂 「…俺が死んだら、友華…どうなるんだろうな」
039 キル 「……。」
040 広茂 「死神に頼むわって言うのも妙な話だしな」
041 キル 「迎えを担当することはできる」
042 広茂 「いやすぐに迎えに行かれても困る!可哀想だ」
043 キル 「時がきたら…だ、時がきたら」
044 広茂 「いずれな…いずれ…」
045 キル 「さて、そろそろ…」(広茂に歩み寄る)
046 広茂 「ちょ…ちょっと待った!ちょっと待ってくれ」
047 キル 「む…」
048 広茂 「もう少しでここからの景色が良くなるんだ」
049 キル 「…そうか」
050 広茂 「最期って何したらいいのか分かんなくなるよな…突然死ぬからやりたいことしろって言われても、手つかなかったし…」
051 キル 「日頃から生き方を考えて置く必要があるということだな」
052 広茂 「…ここからだと遥か遠くまで見え、日の沈む境界がしっかり見えてよ…最期に相応しいよな」
053 キル 「人間達はそうした最期をよく好む」
054 広茂 「惨めな最期より美しいものに囲まれて最期を迎えたいんだ…そういうものだ」
055 キル 「そうか。」
056 広茂 「…キル、教えてくれ」
057 キル 「なんだ」
058 広茂 「何故、俺はあそこで死ななきゃならなかった?」(キルに掴みかかる)
059 キル 「運命…とでも言って欲しいか?」
060 広茂 「俺はまだ死にたくない…死にたくない…んだよ…」(キルの服を掴んだまま俯く)
061 キル 「身体が保たなくとも…か?」
062 広茂 「保つんだったら保たせたい。けどな…けどよ…友華に心配かけ続けるわけにもいかないんだよ」
063 キル 「この世から離れることを決したのはそういうことか」
064 広茂 「そうだ。そうだよ!…どうしようもないじゃねぇか!青ざめ土気色になっていく顔も、残し続ける食事も。生き続けるだけで罰を増やし続けないといけないだなんて…」
065 キル 「罪の意識か…。最期の審判で閻魔様も考慮してくれるだろう」
066 広茂 「死にたくない…死にたくないんだ…」(崩れ倒れ、膝をつく)
067 キル 「お前は既に死んでいる」
068 広茂 「皆から忘れられるってどんな気分なんだろうな」
069 キル 「忘れられたところで世の中何も変わらない。お前の存在も何ら変わることはない」
070 広茂 「……」
071 キル 「さて、そろそろ約束の時間だ。我も仕事を始めようか」(死神の鎌を取り出す)
072 広茂 「あぁ…」(ヨロヨロと立ち上がる)
073 キル 「汝に行使した生き延びる期間の延長をする死神生命保険。汝の残り時間を誰かに託すことができるが。誰かに託すか?」
074 広茂 「俺の余命を…あげられるのか?」
075 キル 「まぁ死んでいるがな。余命であることには変わらない」
076 広茂 「…どれくらい保つ?」
077 キル 「腐りきることを考えると一日から二日か」
078 広茂 「…だったら、友華に。妹に分け与えてくれ。恨まれるかもしれないけど、それが兄の俺が残せる…繋がっていられるものだ」
079 キル 「妹の菊地友華だな」
080 広茂 「あぁ」
081 キル 「承知した。契約は成立した。それでは…」
082 秋菜 「ヒロ君?」(公園の入り口に現れる)
083 広茂 「…秋菜?」
084 秋菜 「やっぱり顔色悪い…最近様子がおかしかったから気に…」
085 キル 「冥界に案内する」
086 広茂 「空気読めよっ!」(秋菜の前に立つキルに向かって怒鳴る)
087 秋菜 「え…?」
088 広茂 「あ、いや。ちょっとタンマ…」(秋菜に慌てて弁明)
089 キル 「汝らの空気を読む必要は我には必要ない」
090 広茂 「嫌がらせかよっ」
091 秋菜 「ヒロ君…?」
092 キル 「新規契約もした。古い契約は破棄した。解約したら電波は絶えるものだ」
093 広茂 「サービス一つもできないのか」
094 キル 「サービス…生憎サービス業ではないのでな」
095 秋菜 「ヒロ君、何言ってるの?」
096 広茂 「そんなでけぇもん持ってるのに肝っ玉は小さいんだな」(キル(秋菜の胸)を指差し)
097 秋菜 「デカいって…ヒロ君、私のどこ見ていってるの!?」
098 広茂 「え?」
099 秋菜 「そうやって私と下心で付き合っていたんでしょ」
100 広茂 「あ、いや違っ」
101 秋菜 「だって今絶対指差した!」
102 広茂 「いや、そこに死神がいて…」
103 秋菜 「はぁ?」
104 広茂 「大きい鎌持ってるんだって」
105 秋菜 「また訳分かんないこと言って!大きい大きいって絶対私のこといやらしい目で見てたんだ」
106 広茂 「それ自意識過剰の被害妄想だろ!」
107 秋菜 「なんですってぇ?」
108 キル 「さて、時間だ」(大鎌を振り上げる)
109 広茂 「ちょ、お前…振り上げるなっ」
110 秋菜/td> 「ヒロ君のサイテ…」(拳を振り上げる)
111 キル 「さて、冥界へ行こうか。菊地広茂よ」(秋菜の殴る直前に鎌が振り下ろされ、広茂が崩れ倒れる)
112 秋菜 「ヒロ君?ちょっと…ビビって失神しちゃった?いきなり倒れたり何かして…ねぇ」
113 キル 「契約は契約でな。これ以上うだうだ話されては契約期間違反になりそうだからな」
114 秋菜 「ヒロ君?ヒロ…何でこんなに身体冷たいの…何これ、血?何?何なの…え?」(みるみる広がっていきできる血だまり)
115 キル 「聞かれなかったから答えなかったが、契約が終了すれば契約前に戻る。腐敗した臓器は戻らんがな。まぁそれ程問題でもないだろうが、保険を使用した代償というものだ」
116 秋菜 「そんな、冗談に力入れないでよ…演技上手いね!上手いから目を開けてよ、ねぇヒロ君!」(真っ青になりながら激しく広茂を揺する)
117 キル 「死神生命保険…余命の延長。汝は有意義に過ごせるであろうか。有意義に過ごすも過ごさぬも汝次第…次また会う時は契約の行使か、それとも契約の時か…それではまた…またあいまみえようぞ」(黒衣を翻し、黄昏に消える)






作者のツブヤキ
 ついに完結です。今度はPCで編集していたらブルースクリーンで強制終了で論文のデータ諸共閲覧履歴も併せて全部消してくれました。
いや、まさに死神!なんでしょうか、死神をネタにすると見えない力が働くのでしょうか。随分とまぁスピリチュアルな…。
大切な右腕ともいえる携帯型台本作成機を失って尚も闘い続ける…。そこまでして死神をテーマにして書く必要はあるのだろうか。
犠牲を出してまで描き続ける内容でもないような気がしないでもないですけど…。

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