魔王=勇者

魔王=勇者

◇声物語劇団より最新情報


シナリオ詳細
掲載元 声物語劇団 公式サイト
声物語劇団 オリジナルボイドラ劇場
作者 月宮東雲
登場キャラ数 不問:2
総セリフ数 72
製作日 2012/10/5〜2012/10/5
概要説明  人々の平和、世界の安泰のために立ち上がった勇者はいつしか孤独になり
魔王を滅ぼした後、いつしか人々から恐れられ、いつしか魔王とまで囁かれるようになった。
魔王を倒した勇者が魔王となり、それは代々継がれていく…魔の連鎖だった
利用にあたって 利用規約
目安時間 8分程度   【〜10分】
登場キャラ セリフ数 性別 備考
勇者 36 魔王を倒すため、王様に雇われ、遥々海を越えてやってきた。
魔王 36 かつては魔王を倒すために立ち上がった元勇者。人々から恐れられ、行き場を失くし、魔王城に留まることで魔王へ






【魔王城 魔王の間】(大扉を開け、勇者が一人入ってくる)

001 勇者 「魔王め!覚悟しろ!」
002 魔王 「……そなたも来てしまったか」
003 勇者 「人々を苦しめる悪の根源め。勇者の僕が、滅ぼしてくれる」
004 魔王 「かつて勇者が正義で、魔王が悪。それを疑わない時期が私にもあった」
005 勇者 「今まで殺してきた勇者の話か?」
006 魔王 「私は魔王として外に出たことはない。何故、私が魔王だと言える」
007 勇者 「魔王のくせに、偽者のフリをして逃れようなんて見苦しいぞ。」
008 魔王 「誰も魔王の姿を見たことがなかった。……誰もだ」
009 勇者 「もし、お前が魔王ではなかったとしても、お前を倒して魔王を探す」
010 魔王 「私を倒すこと前提か…」
011 勇者 「当然だ。悪は滅ぼさなければならない」
012 魔王 「魔王が悪だと、いつから決まったのだろうか」
013 勇者 「笑わせてくれるな。貴様に滅ぼされた町や国は数知れず。知らないとは言わせないぞ」
014 魔王 「確かに滅びた町や村に魔物が住み着いているのは知っている」
015 勇者 「そうだろ」
016 魔王 「だが、彼等が滅ぼした瞬間を、お前は見たと言うのか?」
017 勇者 「そりゃ、魔物の襲撃には遭遇してないけど…魔物どもの凶暴、凶悪性を考えれば容易に想像できること」
018 魔王 「お前は動物に畑を荒らされた村を見たことがあるか?」
019 勇者 「動物?」
020 魔王 「野良犬やサル、イノシシだ」
021 勇者 「それがどうした」
022 魔王 「畑は一度荒らされると普通、人々は次は荒らされないように、と対策を立てる」
023 勇者 「それは当たり前だろ。立てないのは馬鹿だ」
024 魔王 「しかし、どうだ?何度も何度も頻繁に作物が荒らされることで、人々は疲弊し、対策も万策つきる。動物たちは賢くなっていく。そう、人々を襲えばもっと楽に手に入る」
025 勇者 「何が言いたい?」
026 魔王 「魔物と動物はなんら、変わりない。と言うことだ」
027 勇者 「動物は危機がなければ、基本、人を襲わない!」
028 魔王 「魔物だってむやみに狩ろうとしなければ、おとなしい奴も多い。違うか?」
029 勇者 「正直ビックリしたよ。『手を組むならば、世界の半分を貴様にやろう』と言われ、すぐに戦闘になると思っていた」
030 魔王 「こちらこそ、いきなり斬りかかられないか、とヒヤヒヤしたものだ」
031 勇者 「妙に人間らしい魔王だ」
032 魔王 「それはそうだろうさ、お前と同じ人間なのだからな」
033 勇者 「どういうことだ?」
034 魔王 「勇者として魔王城に現れた者の末路は…」
035 勇者 「魔王を倒し、英雄となる」
036 魔王 「英雄?ハハハ、英雄とな?」
037 勇者 「何がおかしい!」
038 魔王 「魔王を倒し、世界の平和を守りし者が英雄。確かに正論ではある」
039 勇者 「そうだ、英雄だ。それ以外に何がある?」
040 魔王 「『化け物』だ」
041 勇者 「何?」
042 魔王 「誰もが倒せない魔王を勇者は倒した。その瞬間、勇者は英雄なんかじゃない。魔王を超越した、化け物になる」
043 勇者 「馬鹿を言え。魔王は悪。勇者は正義。悪を倒した勇者は正義だろ」
044 魔王 「汝もまた様々な世界を回り、見て来たであろう?ゴールについた途端に、ひっくり返る駒を」
045 勇者 「それが?」
046 魔王 「まさに手の平を返すようにだ。民衆が世界の平和を歓喜するのは一時だけのこと。やがては平和に飽き、魔王より力を持つ者に疑念と恐怖を抱き始める」
047 勇者 「そんなことない!」
048 魔王 「遥か昔の勇者は魔王を倒した後、人里離れた山へと身を隠した。何故、勇者の末裔が忘れた頃に現れるのか」
049 勇者 「……」
050 魔王 「街に住んでいないからだ。人との関わりを避け、英雄のままでいるために。」
051 勇者 「そうだ。英雄のままでいられる!」
052 魔王 「それは人との交わりを避けてこそなるもの。それが可能であるならば」
053 勇者 「そんなの、試してみなければ…」
054 魔王 「暮らせば、徐々に疎まれ、煙たがれ、居場所を失っていく」
055 勇者 「僕は違うっ」
056 魔王 「もう一度言おう。勇者よ、ここまで来てしまったのだな」
057 勇者 「あぁ。魔王を倒すために!世界の平和を守るために!」
058 魔王 「人々のために尽くした勇者は、やがて人々から忌み嫌われ、そして魔王に祭り上げられる」
059 勇者 「そんな馬鹿な…」
060 魔王 「魔王を倒した勇者成れの果てがこの私だ」
061 勇者 「…え?」
062 魔王 「この剣ではねし首も、かつては勇者だった…人々の想いがやがて一人の英雄を魔王へと変えていった」
063 勇者 「嘘だ、命が惜しくてそんな作り話を!黙れ、黙れっ!魔物の言うことに耳を傾けてはいけない!」
064 魔王 「そう…歴史は繰り返される」
065 勇者 「もう喋るなっ!これ以上お前のデタラメを聞く気はない!」
066 魔王 「魔王と勇者の鬼ごっこ。魔王を倒した勇者はやがて魔王へと…」
067 勇者 「僕は世界を救うんだっ!消えろ魔王ッ!」
068 魔王 「魔王を倒した瞬間その枷は重みを増し、やがては奈落へと引きずり込む楔となる…」
069 勇者 「これで僕は……英雄だ。魔王」
070 魔王 「新たな魔王の誕生…だ…」
071 勇者 「やったか…?は、ははっはははっ。僕が、世界の平和を守り抜いたんだ」
072 魔王 「次の勇者に倒されるその日まで…その日まで…勇者よ、いや、新たな魔王よ」






作者のツブヤキ
 以前、書いたことのある闇の先の光にはに近いようなお話です。
魔王より力を持った勇者はやがて人々から恐れられ、いつしか魔王だと囁かれる。
かつて魔王を倒したはずの勇者が魔王とされ、新たに勇者を送り込まれ…そしてまた魔王になる。
魔王は実は人間だった…。そんな物語です。
勇者と魔王ものシリーズは似たような話であってもネタが尽きない程、書けますね!

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