ヘレナ=テリュの踊り子3

ヘレナ=テリュの踊り子3

◇声物語劇団より最新情報


シナリオ詳細
掲載元 声物語劇団 公式サイト
声物語劇団 オリジナルボイドラ劇場
作者 月宮東雲
登場キャラ数 :1:1
総セリフ数 115
製作日 2012/10/3〜2012/10/3
概要説明  たまたま立ち寄ったアラダタの町にて踊り子を13万シャハットで買い取ることに。
本当の買い手だった富豪の追手から逃げ、なんとか宿屋の部屋で休み、一夜が明けた。
商人から見ると踊り子はお気楽に見えたのだが…。
利用にあたって 利用規約
目安時間
登場キャラ セリフ数 性別 備考
ティック 58 旅の行商人。とある町で踊り子に目をつけられ、無理やり買い取らされる。
ルーシャ 57 旅の踊り子。滅びたと言われる古代民族の生き残り。明るく振る舞うのとダガーを扱うのが得意






【宿屋】(朝になり、ティックのベッドに座り、寝顔を見つめるルーシャ)

001 ティック 「んんぅ…もう走れねぇ…」
002 ルーシャ 「ほんと、とんでもないお人好し。首輪も足枷もしないで野放しにしておくだなんて…」
003 ティック 「もう…無理…だ……うぅー」(寝返りうつ)
004 ルーシャ 「まぁ、その方が私の綺麗な腕も、首にも痕が残らなくて助かるけどね」
005 ティック 「…うぅーん」
006 ルーシャ 「ほら、旅人さん。朝よ」
007 ティック 「俺が…悪かった…もう走れないぃ……」
008 ルーシャ 「ほーら、旅人さん。起きないと、日が高く昇っちゃうよー?」(ティックを揺する)
009 ティック 「もう…ちょっとぉ…」
010 ルーシャ 「起きないと…キスしちゃうぞ…んー」(笑いながら顔近付ける)
011 ティック 「んんぅー…あぁ!あだっ」(起き上がろうとし、ルーシャの顔とぶつかる)
012 ルーシャ 「いったぁぁ!」(額を押さえ、うずくまる)
013 ティック 「誰だ…くそぉ…痛いな…、宿の女将か?」(顔を押さえながら呻く)
014 ルーシャ 「痛いのはこっちよ!女の顔に傷つけて、残ったらどうするの」
015 ティック 「あぁ?女将の娘…ん?ルーシャか」
016 ルーシャ 「寝ぼけるのも大概にして。あなた様に買い取られました踊り子ですぅ!なんなら目覚めの一曲でも踊りましょうか?」
017 ティック 「いや、結構…」
018 ルーシャ 「今ならもれなくヒヨコのピヨピヨダンスが踊れたけどね」
019 ティック 「…大体、何してたんだよ。普通じゃぶつからないだろ」
020 ルーシャ 「顔見てただけよ。そしたらあなたがぶつかってきたんだから」
021 ティック 「とか言って、ほんとはその腰に差した短剣で殺そうとしてたとかな」
022 ルーシャ 「あら、自殺願望者でした?」
023 ティック 「美人さんに殺されるのは嬉しいが、生憎まだ死ぬ気にはなれないんでね」
024 ルーシャ 「そ。殺して欲しかったらいつでも頼んでね。短剣で胸を一突きしてあげるから」
025 ティック 「冗談か本気かよく分からない台詞だな」
026 ルーシャ 「半々よ」
027 ティック 「おっかない女だ」
028 ルーシャ 「あら、可愛い女の子って言ってもらえた方が嬉しいけど」
029 ティック 「小悪魔なんかじゃ済まされない、悪魔さ」
030 ルーシャ 「レディーを捕まえて悪魔だなんて。人が悪いわ」
031 ティック 「13万シャハットで自分を売りつけてくる人間のどこが悪魔じゃないって言えるんだ?」
032 ルーシャ 「なら、13万シャハットで買おうとした富豪は何かしら」
033 ティック 「『ろくでなしのひとでなし』だ」
034 ルーシャ 「クス…違いない」
035 ティック 「いちち…たは、情けないことに筋肉痛だ、いちちち」
036 ルーシャ 「ほんと情けないわ…あれっぽっち走っただけで」
037 ティック 「ルーシャは平気なのか?」
038 ルーシャ 「当然よ。踊りはもっと激しいんだから、あれぐらいでへばってちゃ、やっていけないわ」
039 ティック 「俺は商人だ…あんなに走ることなんて…ない」
040 ルーシャ 「いざという時、そんなんだとあっさり捕まって殺されちゃうわよ」
041 ティック 「ヤバいもんは取り扱わない主義なんでね。命を狙われることなんて…」
042 ルーシャ 「私がいるわ」
043 ティック 「…そうだった。火薬を積んでいたか」
044 ルーシャ 「失礼ね。『宝石』とくらい言えないのかしら」
045 ティック 「そうだ、宝石の原石だったな」
046 ルーシャ 「なんか棘のある言い方。女性を褒める時は素直に褒めた方がよろしいかと」
047 ティック 「そりゃ褒める時は全力で褒めるけどな。商人だからな」
048 ルーシャ 「私も一応商品の一つなんだから大切に扱って」
049 ティック 「注文の多い、商品だ。これだから生身の商品は取り扱い難いんだ」
050 ルーシャ 「あら、小言の一つや二つ言ってくれる相手の方が、旅も楽しくなると思うけど」
051 ティック 「さぁね、一人旅が長いんで、どうにも慣れないね」
052 ルーシャ 「旅の終わり頃には、私なしじゃ生きていけない身体になってるかもね」
053 ティック 「何する気だ…」
054 ルーシャ 「秘密」
055 ティック 「頼むから薬漬けはやめてくれよ?仲間が昔、薬漬けにされて廃人にさせられたことがあったからな」
056 ルーシャ 「まぁ怖い…」
057 ティック 「まぁ、女の色香に惑わされてホイホイついて行ったあいつも悪いんだけどな」
058 ルーシャ 「その方は…?」
059 ティック 「どうだかな。歩く死人にでもなっているんじゃないか。俺も最後に見た時は、まともに口もきけなかったからな」
060 ルーシャ 「それって…」
061 ティック 「なに、腕の立たない商人の末路さ。未熟なまま戦場に出ると吊し上げられるもんだよ。嫌な世界だ」
062 ルーシャ 「商人の世界も大変なのね」
063 ティック 「そうさ。誰かさんみたく、13万シャハットぽんっと払ってもらって幸せに暮らせるご身分とは違うのさ」
064 ルーシャ 「なにそれ…私のこと?」
065 ティック 「いんや、君のこととは言ってないさ。君みたいに買われる子はいるんだろ?」
066 ルーシャ 「……」
067 ティック 「…あ、そうだ。皆には挨拶してこなくて良かったのかい?」
068 ルーシャ 「…別にする必要なんてない」
069 ティック 「お世話になった人とかいなかったのかい?」
070 ルーシャ 「わかってない…旅人さん、何も分かってない」
071 ティック 「何がだい?」
072 ルーシャ 「金持ちに買われていったら幸せになる?幸せに暮らせる?冗談!」
073 ティック 「…違うのかい?」
074 ルーシャ 「私は最初、旅の楽団は、見るも陽気な楽団だと思っていた。でも実情は違った。奴隷市場よ」
075 ティック 「まさか…?」
076 ルーシャ 「踊りを覚えさせ、踊り子として育てたら踊らせて買い手をつけさせる。そうやって町々を回って買い手を探していく見世物よ」
077 ティック 「そんな馬鹿な」
078 ルーシャ 「途中で町の金持ちに買われたミューゼは、踊りなんかじゃない…逃げ出さないようにアキレス腱を切られて性奴隷にされた。キリアは散々こき使われた後、人形のように壊れて捨てられた。買われた翌日川で水死体となってあがったわ」
079 ティック 「う…」(口元を押さえ、顔をしかめる)
080 ルーシャ 「金持ちに買われれば幸せになれる?私たちは替えのきくペットでしかないの。奴隷以下の扱い。ただ、人形のようにクルクルクルクル踊るだけ。優雅なのは舞っている一瞬よ」
081 ティック 「すまない…俺の失言だ」
082 ルーシャ 「蝶のように鳥のように、舞っていてもいずれは叩き落され、羽をもがれる。そんな踊り子たちが羨ましい?とんだ酔狂…」
083 ティック 「悪かった…!悪かった!すまない」
084 ルーシャ 「ごめんなさい…、ミューゼもキルアも仲良しだったから…。思い出したらつらく当たってしまって…」
085 ティック 「いや、俺が馬鹿な事を言った。気を悪くさせてすまなかった」
086 ルーシャ 「…商人がこんなことも知らなくて売り買いできるの?」(イタズラっぽく笑う)
087 ティック 「長生きしたければ、知らない方がいいこともあるんだ。それに、だから人身売買はしていない」
088 ルーシャ 「でもあなたは買ったでしょ、旅人さん」
089 ティック 「無理矢理な」
090 ルーシャ 「あら、同意の上だと思ったけど?」
091 ティック 「かなり強引だった。大体、真の取引相手とは交渉決裂だろ?」
092 ルーシャ 「交渉のテーブルにつかせてくれるような相手じゃないわよ。あんなデップリン」
093 ティック 「そんな相手に何でケンカ吹っかける真似を…」
094 ルーシャ 「商人のポリシーが許さない…でしょ?」
095 ティック 「ヤバい相手にはポリシーもどうのもないんだよ…命が惜しければな」
096 ルーシャ 「そう?ご親切に代わりにしてあげたつもりだったのだけれど」
097 ティック 「そいつぁ、どうも!…大体、そんなことなら13万シャハットだって払う必要なかったんじゃないか」
098 ルーシャ 「一応、捕まった時に言い訳できるでしょ?盗んだわけじゃないって」
099 ティック 「相手との証文を交わしたわけじゃないから証拠がないだろ」
100 ルーシャ 「あぁ、そっか」
101 ティック 「湯水のように湧いて出てくるもんじゃないんだぞお金は…。あれだって商会から借りた金なんだ。返さないといけないんだぞ。利息をそろえてキッチリと」
102 ルーシャ 「払えないと?」
103 ティック 「呼び出され、裁判にかけられて処刑だ」
104 ルーシャ 「命懸けね」
105 ティック 「あっさり言うな。未来投資なんだからな。もしヘレナ=テリュにそれだけの財宝がなければ、死神の鎌が振り下ろされるんだからな」
106 ルーシャ 「あら、死神と輪舞を踊るのも楽しいかもよ」
107 ティック 「それは笑えない冗談だ…勘弁してくれ」
108 ルーシャ 「…元々、堅実な旅人さんのこと。財宝ばかりを当てにしないで稼ぐつもりなんでしょ?」
109 ティック 「まぁ、当然な。でも、細々だ。そう稼げやしない」
110 ルーシャ 「私も微力ながら力になるわ」
111 ティック 「当然だ。巻き込んだ責任を取ってくれよ…」
112 ルーシャ 「13万シャハット以上の宝石に化けるか、石ころになるか」
113 ティック 「化けてくれないと俺が困る」
114 ルーシャ 「…そうね。美しさに磨きをかければいいかしら」
115 ティック 「冗談。ま、続きは朝食を食べてからじっくりと。…だな」






作者のツブヤキ
 うぉいっ。気が付けば、2年以上ぶりのヘレナ=テリュですよ。
去年かなと思ったらもう2年以上経っていたという。月日が経つのはホントはやい。こうした作品とかデータを見ているととくに思います。
読むと昨日のようにとは言いませんが、先月くらいの記憶のような気がするのに、実際はもっと経っているという。
なんだか、冒険チックにしようとしたのに今回のお話はシリアス部分が多めな上に、話が全然進まなかったという。
非常に無駄な地の文。みたいなね。なくても全然いらないようなエピソードじゃないですか、無駄に説明なんかで一話使っちゃってみたいな。
今後、ゆっくりのんびり書き上げていきたいと思います。本当に完成するのだろうか…この年単位で一話書き上げるのマジでやめれ。

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