001 |
ヨキナ |
「今日もパンジア、キレイだね。シンシアは美しいよ」 |
002 |
メリア |
「朝から頑張るな、ヨキナ」 |
003 |
ヨキナ |
「あ、メリアさん、おはようございます。」 |
004 |
メリア |
「また花相手にナンパか」 |
005 |
ヨキナ |
「ナンパだなんて…花だけに話かける。はな…仕掛ける。なーんて」 |
006 |
メリア |
「あまりつまらないことを言っていると主様に言ってクビにしてもらうぞ」 |
007 |
ヨキナ |
「それ笑えません、メリアさん」 |
008 |
メリア |
「ブラックジョークと言うやつだ」 |
009 |
ヨキナ |
「ここで解雇されると他にアテがないんですから…」 |
010 |
メリア |
「ふふ、庭師としての腕は認めているから安心しろ」 |
011 |
ヨキナ |
「庭師としての腕はって他は認めていないんですか」 |
012 |
メリア |
「人間としてはまだまだ半人前だな」 |
013 |
ヨキナ |
「メリアさんの基準はハードル高そうだもんなぁ」 |
014 |
メリア |
「私を越えろとは言わないが、ある程度の力が無いと、この屋敷ではやっていけないぞ」 |
015 |
ヨキナ |
「何です、道場破りならぬ屋敷潰しでも現れるんですか?」 |
016 |
メリア |
「さぁ。主様の周りにはよろしくない輩が多く集まるからな」 |
017 |
ヨキナ |
「その時は通りすがりの庭師で関わりを避けます」 |
018 |
メリア |
「屋敷専属庭師が通りすがりって無茶があるだろう」 |
019 |
ヨキナ |
「裁ちバサミしか使えませんもの。戦えません」 |
020 |
メリア |
「その大きなハサミさえあれば相手の頭と胴体分離くらい造作もなさそうだが」 |
021 |
ヨキナ |
「彼らのお手入れのためだけしか使いませんっ」 |
022 |
メリア |
「そうか。まぁあれだ、ヨキナがそのハサミ使ったらウフフアハハ笑いそうだからな」 |
023 |
ヨキナ |
「どんなヤンデレですか」 |
024 |
メリア |
「いや、デレるところは…ないっ」 |
025 |
ヨキナ |
「ないんですかっ!それただ病んでるだけじゃないですか」 |
026 |
ホワン |
「メリア、お茶にしましょう」 |
027 |
メリア |
「なっ、主様!そんなに身を乗り出されると危のうございますよ」 |
028 |
ヨキナ |
「これはこれはホワン様…」 |
029 |
ホワン |
「ヨキナ、バラを数本摘んでお昼のサラダにちらして頂戴」 |
030 |
ヨキナ |
「あ、はいっ。それではハーブも摘んでおきますね」 |
031 |
メリア |
「ヨキナ、私は主様に呼ばれたのでお茶の準備して来ます。後でデザートに相応しいミントを用意してもらえる?」 |
032 |
ヨキナ |
「はいっ。メリアさんの淹れるお茶楽しみにしていますね」 |
033 |
メリア |
「あなたは後で。」 |
034 |
ヨキナ |
「はいっ。」 |
035 |
メリア |
「…全く、子供みたいに目を輝かせるのだから。主様、ただいまご準備しますからね」 |
036 |
ヨキナ |
「頑張んなきゃっ」 |
085 |
リソン |
「口ほどにもない」(剣についた返り血を払いながら吐き捨てる) |
086 |
ヨキナ |
「くぁ…メリ…ア…さ…ん」 |
087 |
リソン |
「純白のバラを深紅に染めるのは容易きこと。一介の庭師ごときが行く手を阻もうなんざ、片腹痛い」 |
088 |
ヨキナ |
「ホ…ワン…様」(宙に震える手を伸ばす) |
089 |
リソン |
「その首、摘み採り、庭に飾れば少しは趣味が良くなるかもな」(首に剣先を突きつけ、ニヤリと笑う) |
090 |
メリア |
「…ッ!ヨキナから離れろっ」(短剣を構えながら) |
091 |
リソン |
「お楽しみをお邪魔するのは…」 |
092 |
ヨキナ |
「メリ…ア…さんッ」 |
093 |
メリア |
「ヨキナッ!通りすがりの庭師で関わりを避けるんじゃなかったのか!」 |
094 |
ヨキナ |
「…庭師…は…華を…飾…るのが…仕…事です…から」 |
095 |
メリア |
「主様に用があるのではないのか?ならばそこの庭師は関係ない…」 |
096 |
リソン |
「じゃれてきたからちょっと遊んであげただけ。そんなに怒ることもないだろ?」(ヘラヘラと笑う) |
097 |
メリア |
「血まみれにしといてちょっと遊んだ?ふざけないで」(怒りに肩震わせる) |
098 |
リソン |
「ミモラーゼ家の全てを破壊するのに一つ一つチャチャいれられてもね」 |
099 |
メリア |
「破壊なんてさせない。主様の一切をお守りするのが私の役目」 |
100 |
リソン |
「そうかい。お役目ご苦労さん」 |
101 |
メリア |
「主様の目にさらす時にはあなたが瀕死で引きずり出す時…」 |
102 |
リソン |
「そうっ、それは楽しみだッ!」(身を屈めて一気にメリアへ突進し、首を絞めつつ壁に押し付ける) |
103 |
メリア |
「かはっ!?」 |
104 |
リソン |
「貴様の断末魔が主様の呼び鈴か?」(剣先をメリアの頬をかすり、壁に突き刺しながら) |
105 |
メリア |
「く…主様のお手をわずらわせるまでもないっ」(リソンを払い飛ばしながら反転) |
106 |
リソン |
「余裕なフリをいつまで続けられることか」 |
107 |
メリア |
「主様のもとには絶対に行かせないっ」 |
108 |
ホワン |
「…お茶のおかわりが遅いわね。お昼寝しているのでもあるまいし…」 |
109 |
ホワン |
「まさか、メリアが忘れているっとか…それはないか。庭師でも相手しているのかしら…道草食べさせちゃダメじゃない。…あんなに真っ赤なバラなんて育てていたかしら…っあれは血?大変ッ」(庭をふと見て飛び散った血痕に血相を変える) |
110 |
リソン |
「まだ立ち塞がる?」(転がるメリア見下ろしながら) |
111 |
メリア |
「たとえ、肉塊になろうとも…あなたを先には行かせないっ」 |
112 |
リソン |
「そう…それじゃあ、お望み通り肉塊にしてあげようか」 |
113 |
メリア |
「く…主様…」(歯を食いしばる) |
114 |
ホワン |
「メリアッ!!」(長剣を持ちながら現れる) |
115 |
メリア |
「主様ッ!?」 |
116 |
リソン |
「ようやく当主のご到着…か」(首を回しながら) |
117 |
ホワン |
「これは一体…」(転がるヨキナ、メリアの惨状に言葉を失う) |
118 |
メリア |
「主様…お逃げ…下さい」(小刻みに震えながら手を伸ばし、訴える) |
119 |
リソン |
「従者と違って主は呼び鈴を聴いても飛んではこないっと」 |
120 |
ホワン |
「あなたの仕業?没落貴族」(キッと睨み付けながら) |
121 |
リソン |
「そうさ。貴様から何もかも奪う…いや破壊してやろうとね。落ちぶれた英雄の末裔よ」(へッと笑う) |
122 |
ホワン |
「英雄なんて過去の栄光。すがるつもりもないし、末裔と呼ばれるだけで虫酸が走る」(吐き捨てるように) |
123 |
リソン |
「余裕か、ミモラーゼ」 |
124 |
ホワン |
「えぇ、余裕よ。バラノワーナ」(鞘から剣を抜きながら構える) |
125 |
リソン |
「その余裕失くし、恐怖に引きつる顔を拝んでやるわ」 |
126 |
ホワン |
「墜ちたものね。没落すると心まで埋没するのかしら」 |
127 |
リソン |
「お陰様で破壊を楽しむ快感に浸れている。どこぞかの英雄様のお蔭でね」 |
128 |
ホワン |
「闇の一族は闇の一族らしく闇に息を潜めていなさい。あなたたちの出る幕ではないの」 |
129 |
リソン |
「暗躍させてもらうまでさ」(ホワンに襲い掛かる) |
130 |
ホワン |
「この舞台には裏方も黒子もいらない。役者さえいれば成り立つ舞台。感動の演出をありがとう、ただそれ以上は何も許さない」(剣撃をかわしながら反撃する) |
131 |
メリア |
「主…さ…ま」(霞む視界の中、必死で呟く) |
132 |
ホワン |
「この物語はただの力なき英雄の末裔のお涙頂戴物語じゃないの」(眉吊り上げながら) |
133 |
リソン |
「ほざけ…」 |
134 |
ホワン |
「従者が血まみれで私の名を呼んで崩れ倒れる?最高の演出よ」(横目でメリアを見、嘲笑するように) |
135 |
メリア |
「主様…ここは私が引き受け…ますから」(力を振り絞りながら立ち上がろうとする) |
136 |
リソン |
「時は再び巡り、英雄の末裔が闇の一族に滅ぼされる。実に愉快な物語じゃないか」 |
137 |
ホワン |
「とんでもない実にくだらない戯曲だわ」 |
138 |
メリア |
「主様…いけま…せん…こやつに…関わって…は」 |
139 |
ホワン |
「幕の下りない劇なんて存在しないの」(刃を弾き返しながら) |
140 |
リソン |
「どのようなエンディングをお望みで?お嬢様」(勢いよく何度も斬りかかる) |
141 |
ホワン |
「あら、悪役が倒されてハッピーエンドに決まっているじゃない」 |
142 |
リソン |
「はりつけ?八つ裂き?なぶり殺し?それともクライマックスに屋敷ごと炎上?」 |
143 |
ホワン |
「炎上は燃え上がるけど、ありがち過ぎてとんだ茶番。そんなシナリオを書くのは三流以下の腐れ脚本家」 |
144 |
リソン |
「舞台で独り狂ったように踊り続けるは、英雄の末裔」 |
145 |
ホワン |
「ふざけなさい。操る人形もいない哀れな道化師のあなたよ」(払いのける) |
146 |
リソン |
「首をはね飛ばして従者が歌を歌うか」 |
147 |
ホワン |
「残念。歌い笑い踊るのはミモラーゼ家の人間だけ。部外者は残念ながらお呼びじゃないわ」(髪をかき上げながら体勢を立て直す) |
148 |
リソン |
「舞踏会で華麗に足を踏むのはあなたではない、ミモラーゼ」 |
149 |
ホワン |
「メリアとよく踊りの練習をしていたから踊りは負けはしない」 |
150 |
メリア |
「主様ッ…どうか…」(泣きそうになりながら必死に止めようとする) |
151 |
ホワン |
「没落貴族に輪舞曲は踊れやしない」 |
152 |
リソン |
「これは復讐劇。実に愉快な喜劇。輪舞曲やワルツは不要だ、ミモラーゼ」(勢いに任せ、何度も斬りかかる) |
153 |
ホワン |
「野蛮でぎこちない動きを…」 |
154 |
リソン |
「剣技は華麗に美しく?実用性に欠けるね」 |
155 |
ホワン |
「品位の欠片も…」(後退しながら剣げきを受ける) |
156 |
リソン |
「腐れた金持ちも薄汚い貴族も口を揃えてよく言うさ…ただ、皆床に転がったがなぁっ」(大きく横に薙ぐ) |
157 |
ホワン |
「く…ァッ!?しまっ…」(後退し、メリアの血に足を滑らせバランスを崩す) |
158 |
リソン |
「従者の血で足を滑らすとはなぁっ」(ニヤァッと笑い、大きく斬りかかるが足をメリアに掴まれ、狙いが大きくそれる) |
159 |
ホワン |
「あぐぅっ」(浅く斬りつけられる) |
160 |
メリア |
「主様ァッ」 |
161 |
リソン |
「チッ死に損ないが小汚ない真似を!」(メリアを睨み、掴む手に剣を突き刺す) |
162 |
メリア |
「ギャアッ」 |
163 |
ホワン |
「メリアッ!!」 |
164 |
リソン |
「もうその手は何も握れない、触れられない。主に仕える資格も無くなった哀れな従者さ」 |
165 |
メリア |
「あ…ぁ…」(目の前に広がる血と激痛の手に愕然とする) |
166 |
ホワン |
「あなたに…私の従者を選ぶ資格なんてないっ!」(大きく剣で払う) |
167 |
リソン |
「チィッ、小癪な…」 |
168 |
ホワン |
「闇の一族は闇に沈みなさい!」 |
169 |
リソン |
「く…英雄を滅ぼすまで何度だって甦るさ」 |
170 |
ホワン |
「例えこの手汚すとしても…守るべきバショのために…」(怒りの一撃一撃を加える) |
171 |
メリア |
「あぁ…」(目を大きく見開き、両手を失った絶望を嘆く) |
172 |
リソン |
「従者もろとも終わりだっ英雄の末裔ミモラーゼッ」(ホワンに剣を突き刺す) |
173 |
ホワン |
「刺し違えても…滅ぼす…」(カウンターで心臓を貫く) |
174 |
リソン |
「け…死んで…も英…雄の末裔…とは…な…ぁ」(口元をヒクヒクさせ倒れる) |
175 |
メリア |
「あ、あるじ…さ…」(膝つくホワンに声かける) |
176 |
ホワン |
「…剣は…突き刺すものじゃ…ないわね…」(苦しそうに笑いながら) |
177 |
メリア |
「ある…」 |
178 |
ホワン |
「急所は…外れ…てる…メリア…今…今…お医者様を…」(剣を抜き、メリアに駆け寄る) |
179 |
メリア |
「私…は…もぅ…」(涙を浮かべながら) |
180 |
ホワン |
「何を…言って…いるの…」 |
181 |
メリア |
「もぅ…主…さま…の…手当てすら…できま…せん…もぅ…」(涙を流しながら) |
182 |
ホワン |
「メリ…ア…」 |
183 |
メリア |
「もぅ…お世話も……お料理も…私は…わた…しは…」(泣きながら) |
184 |
ホワン |
「…私が英雄の…末裔であるばかりに…」(メリアの体を抱きしめながら) |
185 |
メリア |
「責めない…でくだ…さい…」 |
186 |
ホワン |
「英雄なんて…英雄なんて…」 |
187 |
メリア |
「いつまでも…私の…英雄で…いて…ください…主…様」 |
188 |
ホワン |
「…ならば…英雄を…いつまでも支え…続けて…片時も…離れずに…」(しっかりと強く抱きしめる) |
189 |
メリア |
「えぇ…主…様…」 |
190 |
ヨキナ |
「パンジア、今日はなんだか元気がないようだね。ヒリジカ、チラーゼと喧嘩してはダメじゃないか」 |
191 |
メリア |
「いつまでお花とお喋りしているんだ、ヨキナ」(指のない両手を包帯で巻きながら) |
192 |
ヨキナ |
「あ、おはようございます。メリアさん」 |
193 |
メリア |
「おはようございます。じゃない。さっさと掃除を始めて昼食の準備をしろっ」 |
194 |
ヨキナ |
「まだ、昼食には早いかなって…」 |
195 |
メリア |
「お前は準備に時間かかるんだからさっさとやれっ」 |
196 |
ヨキナ |
「は、はいっ」 |
197 |
メリア |
「しっかりやらないと主様に言ってクビにしてもらうぞ」 |
198 |
ヨキナ |
「か、勘弁して下さいよっ!片腕の庭師じゃどこも雇ってもらえないんですから…」(半べそ) |
199 |
メリア |
「冗談だ、冗談。私の足下にはおよばないが、見込みはあるからな」(微笑む) |
200 |
ヨキナ |
「笑えないですよ…メリアさんの足下になるまで後何年かかるんですか」 |
201 |
メリア |
「…死ぬような特訓受けさせてやろうか」(ニヤッと笑いながら) |
202 |
ヨキナ |
「…遠慮しますっ!掃除行ってきますー!」(慌てて走り去る) |
203 |
メリア |
「ふぅ…ヨキナ、悪いな…私がだらしないばっかりに」(ヨキナの後姿見ながらため息つく) |
204 |
ホワン |
「あの子を怨まないであげてね、ヨキナ」(走り過ぎようとしたヨキナを捕まえる) |
205 |
ヨキナ |
「ホワン様!?す、すぐにお部屋のお掃除に…」 |
206 |
ホワン |
「悪気があって厳しく言っているわけじゃないのよ」 |
207 |
ヨキナ |
「メリアさんのことですか?」 |
208 |
ホワン |
「そう。大好きなお庭の面倒もあまり見れていないでしょう?」 |
209 |
ヨキナ |
「いえ、この屋敷で働けるだけでも感謝感激です」 |
210 |
ホワン |
「片腕の庭師さん」(失った右腕を見ながら微笑む) |
211 |
ヨキナ |
「名誉の負傷ですよ、へへっ…まだ一本残ってますから」 |
212 |
ホワン |
「ごめんなさい。あなたにまでツラい想いを…」 |
213 |
ヨキナ |
「謝らないで下さい、ホワン様。時の英雄の末裔であるホワン様のお世話ができるなんて光栄です」 |
214 |
ホワン |
「…貴女こそ果敢に憶することなく悪と戦った英雄よ」(優しく微笑む) |
215 |
ヨキナ |
「いやいや…英雄だなんて…」(照れる) |
216 |
メリア |
「ヨキナ、ヨキナ!掃除もしないでどこで油を…」(遠くからキョロキョロ捜しながらやってくる) |
217 |
ヨキナ |
「メリアさん!?あの、ホワン様、掃除してきま…」 |
218 |
メリア |
「あ、ヨキナ!掃除しないでこんなとこ…」 |
219 |
ホワン |
「メリア、ヨキナは私が引き止めていたの怒らないであげて」 |
220 |
メリア |
「主様…」 |
221 |
ホワン |
「ね?」 |
222 |
メリア |
「甘やかすと主様の負担が増えるんですからね」(ため息をつきながら) |
223 |
ホワン |
「はいはい。自分の部屋くらい自分で掃除します」 |
224 |
メリア |
「主様っ」(咎めるように) |
225 |
ホワン |
「ほら、元プロなんだから指示出しお願いね、メリア」 |
226 |
メリア |
「はい。主様」(軽くため息つき、笑う) |