闇に消えた少女

闇に消えた少女

◇声物語劇団より最新情報


シナリオ詳細
掲載元 声物語劇団 公式サイト
声物語劇団 オリジナルボイドラ劇場
作者 月宮東雲
登場キャラ数 :1不問:2
総セリフ数 71
製作日 2011/12/1〜2011/12/1
概要説明  三途の川を渡っている満員の渡り舟でうっかり落ちてしまった少女。三途の川は決して浮きはしない。
赤い空はみるみる遠くなっていき、暗い闇が支配していく…
少女は船から落ち、海へと暗い海へと消えて行った…
利用にあたって 利用規約
目安時間
登場キャラ セリフ数 性別 備考
少女 36 船から落ちて海の藻屑となった少女。
乗客 17 少女が船から落下したのを目撃し、助けられなかったことをずっと後悔している。
渡守 18 三途の川の渡守をしている死神。陽気な性格だが抜けているところもあり、お茶目さん。






【三途の川の岸辺】(小舟に次々と乗り込んでいく)

001 渡守 「はいはい、詰めて詰めてー。フゥー渡し守も楽じゃないぜ」
002 少女 …何で私ここにいるんだっけ
003 渡守 「大漁大量、ま…素直に喜べないんだけどねぇ」
004 少女 記憶が…
005 渡守 「お代は向こう岸に着いてからでいいよ。…え?一文無しだって?まぁ今回は特別措置が閻魔様からのお達しがあるからねぇ」
006 少女 閻魔さま…
007 渡守 「無縁仏さんや冥界への仕度なしの旅立ちが多かったようだからねぇ…」
008 少女 ここは…
009 渡守 「今までの徳に免じて貸し付けが岸に着いてからあるからそこで手続きしてくれよ」
010 少女 一面に咲き誇る彼岸花…
011 渡守 「どうだい、あんたたちが通って来た彼岸の岸は。見事な彼岸花畑だろ?あれ、ウチが育てたんだよ…なんて嘘うそ」
012 少女 冥界に来たの…私は冥界に来てしまったようだった
013 渡守 「あれ?嘘って言うタイミング早かった?さぁさ、出航するよー乗った乗ったー」
014 少女 冥界…なんで?
015 渡守 「はいはい、詰めてねー悪いねー格安料金運行だから乗り心地は最悪だよー、葬儀がちゃんと間に合うとVIP船に乗れるんだけどね」
016 少女 そっかちゃんと葬儀してもらえなかったんだ…
017 渡守 「ギューギューだ、はい、出航ー。冥界府審査監理局行きー」
018 少女 狭い…
019 渡守 「はいはい、ゆっくりしていってねー、死んじゃったもんは嘆いても始まらないからねー。黄泉の国ライフがはじまりー。ね?」
020 少女 周りの人達…着の身着のまま?
021 渡守 「浮かない顔だねー、あ、ちなみにこの三途の川…浮かばないし、浮かばれなくなるから気をつけてねー」
022 少女 やっぱり三途の川…
023 渡守 「この舟は何で浮いてるかって?それはウチのパワーッ…なんちって。おっと揺らしちゃった?」(ポーズをとったため舟がグラつく)
024 少女 あ…(背中を押されて舟から落ちる)
025 渡守 「満員ってレベルじゃないからねー…およ?誰か押しちゃったって?」
026 少女 舟から落ちた…最悪…
027 渡守 「あやー、やっぱり定員オーバーはまずいね、落ちちゃった人には悪いけど沈むだけなんだよ、ここ」
028 少女 舟底が遠く…赤い空が遠く…体が沈んでいく…
029 渡守 「南無南無…」
030 少女 「そう…私は船から落ちたんだった…」



【フェリー】(甲板にて風に当たっていた少女)

031 少女 「船で一人旅の途中、甲板に出ていた私は風に煽られ、いとも容易く…落ちた」
032 乗客 「ずっと長い間、悔やんできた。海へと落ちた少女に何一つ出来なかった」
033 少女 「晴れた青い空と蒼い海が広がり、眩しい日だった」
034 乗客 「もう駄目だと諦めていたんだ、助けられないと」
035 少女 「誰も気付いてくれなかった、誰も助けてくれはしなかった」
036 乗客 「例え飛び込んでいたら彼女すら助けられず、二の舞になるだけだと分かっていた」
037 少女 「みるみる船は白波を立てながら去って行った。私を置き去りにして…」
038 乗客 「船は進んで行った。彼女を残して…」
039 少女 「身体は重くなり、徐々に沈んでいった…太陽が遠く遠く…遠く遠く…」
040 乗客 「彼女がいなくなったことを周りに伝えたが、できたことは彼女が消えてしまったことを忘れないことだけだった」
041 少女 「陽は沈み、海は紅く染まろうとも私の身体は浮かぶこともなく…底へ底へとゆっくり沈んでいった」
042 乗客 「助けることの出来ない無力さ、自分を呪う程の悔しさが襲った」
043 少女 「夜の闇が辺りを包み、月が…星が昇ろうとも私のもとには光が差し込むことはなかった」
044 乗客 「暗い闇がこんなに怖いものだとは思わなかった」
045 少女 「光に満たされた船の灯、街の灯があんなにも恋しく、あんなにも欲したことはなかった」
046 乗客 「誰かのために涙を流したことは久しぶりだった…いや、彼女に対する同情ではなく自分に対する憤りか怒りか」
047 少女 「人を必要としなかった自分があんなに人を恋しく思ったのは…」
048 乗客 「見知らぬ人であれ、人が一人消えた船はなんだか忘れ物をしてしまったようなぽっかりと抜けた気持ちになった」
049 少女 「闇の中、浮いているのか沈んでいるのか、海よりも深く空よりも深く…闇よりも深く…」
050 乗客 「あれから捜索が始まり、彼女を探し続けた」
051 少女 「誰も必要としない、誰もが必要としない…必要とされたかった」
052 乗客 「喩え、命が助からずとも彼女を見つけたい一心だった…」
053 少女 「闇に細い光が差し込んだ。捜索してくれた…私はここにいるよ…私はここにいるんだよ」
054 乗客 「捜し続けた。何日も捜し続けた。広い海を」
055 少女 「気付いて…誰か気付いて…ライトの光もボートの底も私の上を過ぎて行く…」
056 乗客 「諦めたくない、諦めたくなかった」
057 少女 「諦めないで、諦めて欲しくなかった」
058 乗客 「見つけたら死体だって構わなかった、抱き締めてあげたかった」
059 少女 「孤独には慣れているつもりだった、こんなにも辛く悲しくとも…堪えられると思っていた」
060 乗客 「お帰り、寒かったよね、怖かったよね、寂しかったよね…知らない人だって関係なかった。声を掛けてあげたかった」
061 少女 「寒くて寒くて…寂しくて淋しくて…怯えていた、恐怖の闇に」
062 乗客 「手を伸ばしてくれたら強く強く握り締めた…だから…手を伸ばして欲しかった」
063 少女 「伸ばした手は短過ぎて届きやしなかった」
064 乗客 「できたのは忘れないこと、忘れられないことだった…」
065 少女 「再び闇が包みこみ、しばらくすると温かい光に包まれ真っ白になったかと思うと三途の川のほとりで小さな小舟の列に並んでいた」
066 渡守 「冥界府審査監理局行きはこちらだよー、はいはい順番順番ー」
067 少女 どこへ行こうと言うのか…行くべきはずの冥界府にも行かず、どこへ行こうと言うのか…
068 渡守 「三途の川へ沈んだ死者は何処にも行かない、行けない」
069 少女 暗い暗い闇の中…
070 渡守 「沈んで行くだけさ、どこまでもどこまでも…永久に…」
071 少女 そして私は闇へと消えた…






作者のツブヤキ
 セリフ数が71だから…『ない』とかけて…。闇にお似合いの…いえ、なんでもないです。
三途の川はよく浮き上がってこれないと言いますよね。どこで入れた知識だったかはもう忘れましたが。
かなり小さいころから知っている知識だったけど、正しいのかな。
そのネタで冥界や三途の川ネタはみんなそんなことばっかり書いてる私の作品ですが、沈んだらどうなるんですかね。
暗い暗い闇の中に魂が閉じ込められるのでしょうか…。
願わくは闇に囚われぬことを…。

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