マチ売りの少女

マチ売りの少女

◇声物語劇団より最新情報


シナリオ詳細
掲載元 声物語劇団 公式サイト
声物語劇団 オリジナルボイドラ劇場
作者 月宮東雲
登場キャラ数 :2:2不問:1
総セリフ数 101
製作日 2011/12/1〜2011/12/1
概要説明  マッチはいりませんか?マッチはいりませんか?聖なる夜に町は賑わい、人々は楽しそうに通り過ぎていく。
マッチ売りの少女の可愛らしい声は狂気の笑へと変わり聖なる夜は真っ赤に染められた…
利用にあたって 利用規約
目安時間 8分半程度   【〜10分】
登場キャラ セリフ数 性別 備考
少女 43 マッチを売る幼い少女。父親から虐待を受けている。
父親 17 少女にマッチを売らせ生活費を酒代に消すアル中の父親。外道
24 事業に失敗してばかりで他人や物のせいにしては八つ当たりしている。
ママ 8 一児の母親。子供を甘やかしながら育てている。
子供 9 温室育ちの子供。世の中の仕組みをイマイチ理解できていない。






【少女の家】(飲んだくれの父親が酒瓶を振り回しながら)

001 父親 「おい、酒がネェゾッ」
002 少女 「もう酒代は家にありません」
003 父親 「んだとっ、今日は聖なる夜だろうが!ご馳走用意しろよ」
004 少女 「そんなお金もう残ってません…明日生きるのもやっとなんです」
005 父親 「なんか売って来い」
006 少女 「もう売る物なんて…」
007 父親 「…マッチがあるじゃねぇか。マッチ売って来いよ」(手元にあったマッチの箱を少女に投げつける)
008 少女 「マッチなんて売れないんじゃ…」
009 父親 「売れないじゃねぇ、売るんだ。売って来い」
010 少女 「そんな…」
011 父親 「売れるまで帰ってくんなよ!いいな」
012 少女 「はい…」(マッチを籠に詰め込みながら出ていく)
013 父親 「酒を忘れんなよ!」



【表通り】(人々でにぎわい、馬車や人々が行き交う)

014 少女 「マッチいりませんか?マッチを」
015 子供 「ママー、あの子マッチなんか売ってるよ」(少女を指さす)
016 ママ 「そうね」
017 子供 「ろーそく売ればいいのにね、ばかだなー」(指さしながら大きな声で馬鹿にする)
018 ママ 「しっ、大きな声で言わないの」
019 少女 「マッチいりませんか?マッチはいりませんか?」(通り過ぎる人々にマッチを見せながら呼びかける)
020 子供 「マッチなんてお家にたーくさんあるんだから」
021 ママ 「さ、いくわよ」
022 少女 「マッチは…」
023 「邪魔だ、どけっ」(少女を突き飛ばす)
024 少女 「きゃっ」
025 「こんなところで薄汚い格好で薄汚い物売ってるんじゃねぇ」(唾を吐きかける)
026 少女 「あ、靴が…」
027 「マッチなんてそんな普通なもんが売れるわけないだろうが、こっちは訳の分からねー健康器具売ってんだからなバーロー」
028 少女 「あの…マッチを…」
029 「そんなんクソ喰らえだ」(マッチの入った籠を蹴飛ばす)
030 少女 「あぁ!?やめて下さい、お願いします。売り物のマッチが…」(懇願)
031 「こんなの!こんなの!へへっ、ざまーみろ」(グシャグシャと踏みつける)
032 少女 「マッチが…」(道に散らばったマッチを見て呆然とする)
033 「へへっ、いい気味だ!あばよっ」(帽子をかぶり直し走り去る)
034 少女 「どうしてこんなひどいことを…」(マッチを拾い集める)
035 子供 「ママーお腹空いたー」
036 ママ 「あらあら、じゃあレストランでハンバーグでもしましょうか」
037 子供 「やったーハンバーグだー」
038 少女 「ハンバー…グ…。お腹空いたな…もう三日も食べてないんだった…」
039 子供 「ハンバーグについてるニンジン嫌ーい」
040 少女 「マッチ…食べたらオイシイのカナ…」(マッチを見つめ、かじる)
041 子供 「ママー、あの子マッチ食べてるよー」
042 ママ 「しっ、見ちゃダメ」
043 少女 「あぁ、美味しくないわ…美味しくない…」
044 子供 「ママー何であの子マッチなんか食べてるの?ステーキ食べればいいのにね」
045 ママ 「早く行くわよ」(手を引き、足早に立ち去る)
046 少女 「寒い…ゆ…き……手がかじかんできたわ…」(空を見上げ小刻みに震える)
047 「チクショウ、バーロイッチッキショウ」
048 少女 「そうだわ、マッチが特別な物になれば売れるのだわ…そうね」
049 「チッ、今度こそイイ話だと思ったのによ」(石っころを蹴飛ばしながら)
050 少女 「あぁ…なんだか気持ち良くなってきた…何だかふわふわして来た」(空腹等でぼんやりし始める)
051 「まだアイツいるのか、胸糞悪いッ!八つ当たりしてやるか」(少女を見つけると近寄っていく)
052 少女 「あぁ!匂いを嗅いでいるだけでイッちゃいそう!気持ちよくなる!」(マッチの燃える匂いを嗅ぎ、恍惚の表情を浮かべる)
053 「なんだ…?様子変だぞ?」
054 少女 「火をつけて匂いを嗅ぐと最高に気持ち良くなるマッチは如何ですかー?えへへ」(トロンとした目で見つめながらマッチを突き出す)
055 「何であんなに恍惚の表情浮かべてんだ?」
056 少女 「気持ち良くなる不思議なマッチはいりませんかー?ん…」(寒さでブルブルと震えながらかじかんだ指を温めるため、色っぽくしゃぶる)
057 「もしかして、あれは密輸された新種の薬じゃないか?」
058 少女 「もうフラフラで立って…いられない…」(ガクガクする膝で地面に膝つく)
059 「やっぱり、あの女…とんでもねぇもん売ってやがる…買う!買うから寄越せッ!そのマッチ!」(少女からひったくるようにマッチを奪う)
060 少女 「あ…ぁ…」(目がかすみ、痙攣を起こす)
061 「よっぽど強烈な幻覚が見えんだろうな。ほら、釣りはいらねぇ」(紙幣を少女に投げつける)
062 少女 「売れ…た…」
063 「へへへっ、いい夢見せろよ」
064 少女 「うふふ、売れた…売らなきゃ…もっと売らなきゃ…」(ネジが緩む)
065 「さぁ、俺を気持ち良くさせろ」
066 少女 「マッチを…マッチを燃やして…」
067 「…なかなか変化ないな、普通のマッチと変わらねぇ」(燃え尽きたマッチを地面にポイ捨てしながら)
068 少女 「売って…売って…お酒を買って帰らなきゃ…」(虚ろな目でうわ言のように呟く)
069 「騙されたか?消えちまった…もう一本…もう一本…えぇいっ全部まとめてだっ」
070 少女 「寒い…寒いからマッチを…マッチで…マッチ…」(ガクガク震えながら)
071 「クソォッ騙された!やい!貧乏娘ッ騙しやがったな!全然気持ち良くなりやしねぇ」(マッチを箱ごと叩きつけ激怒)
072 少女 「お兄さん、私と一緒に気持ち良くなりましょう?」(スーツの袖を掴み、上目遣い)
073 「一緒に…?」
074 少女 「目を閉じて匂いを嗅いで見て下さい…」(目を閉じ、顔を近付けると同時にマッチを擦る)
075 「リンの匂いしか…なんか焦げ臭いな」(目を閉じにおいを嗅ぐ)
076 少女 「寒いでしょ?お兄さん…どう温かいでしょ?」
077 「な…なんだか体が熱く…ん?わっ、スーツが!俺のスーツが!燃えている!」(みるみる炎に包まれる)
078 少女 「嗚呼、温かい…温かいわ、お兄さん」(薄ら笑いを浮かべながら)
079 「熱いッ熱いッ体が焼けるッ助けてくれっ」
080 少女 「大丈夫、もうすぐ気持ち良くなるから…もうすぐ…もうすぐ…」
081 「誰かっ誰か火を消してくれっ!うわぁぁぁっ」(地面にゴロゴロ転がる)
082 子供 「ママー見てー人が燃えてるよ」(物珍しそうに)
083 ママ 「ダメ!見ちゃダメ!」
084 子供 「すごいねー、人も燃えるんだー」
085 ママ 「ほら、こっちに来なさい、早く」(真っ青な顔しながら逃げるように去る)



【少女の家】(酒瓶で弄ぶ父親の前に雪を肩に乗せながら少女帰宅)

086 父親 「遅かったじゃねぇかっ」
087 少女 「ごめんなさい」
088 父親 「酒は買って来たんだろうな」
089 少女 「はい…」(酒瓶を取り出し蓋を開ける)
090 父親 「おぉ…早くそれを寄こ…」
091 少女 「ふふふ…」(笑いながら床やあちこちぶちまける)
092 父親 「おい、何してやがんだっ!さ、酒が…」
093 少女 「お父さん、お家燃やして土地を売ればお金になるよね」
094 父親 「何言ってんだ、お前…」
095 少女 「土地売ればもっとお金になるよ…ふふふ」(笑いながらマッチを擦り、火をつける)
096 父親 「馬鹿なことするな!マッチから手を離せ…やめ…」
097 少女 「燃えちゃえ…燃えちゃえ…」(マッチを落とすと燃え上がる)
098 父親 「やめ…俺の家が!消えろ!火が、火が回るー」
099 少女 「うふふ…ふふふ…町も全部焼き払って土地を売ればいいのだわ…住む人も燃えちゃえば誰も文句言わない」
100 父親 「頭狂ったのか、バカヤロー」(真っ青になりながら燃え上がる家を見つめる)
101 少女 「マッチ一本火事のもと〜マッチで全てを焼き払って土地を売り払う…町の土地はいりませんか?まちはいりませんか?」(狂気じみた笑いを浮かべながらマッチを擦る)






作者のツブヤキ
 マッチ売りの少女?町を売り歩く少女ですね。
どこか大事なところのネジが外れてしまったんですね。誰かがやさしくしていればこうまでにはならなかっただろう…。
恐ろしい放火魔が出来上がったわけです。町を焼き払って土地を売り払う。家が所有者の主張というのであれば消し去れば…
主張する者がいなくなる、なくなると考え…頭が良すぎたのかもしれないです。普通の少女として暮らせていたらどれほど良かったことか…。

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