されど空の深さを知る6

されど空の深さを知る6

◇声物語劇団より最新情報


シナリオ詳細
掲載元 声物語劇団 公式サイト
声物語劇団 オリジナルボイドラ劇場
作者 月宮東雲
登場キャラ数 :2:2不問:1
総セリフ数 123
製作日 2011/6/10〜2011/6/11
概要説明  第七リアナ基地にて戦闘機の爆破事故が発生。シャルルが死んで…
ドロドロの事後処理が始まる。
利用にあたって 利用規約
目安時間 14分程度   【〜20分】
登場キャラ セリフ数 性別 備考
テトラ 20 シャルルの部下。シャルルのやり方を気に入らず、面白くないと思っていた。
ルイ 49 シャルルの右腕とも言われた優秀な元部下。現在、第七リアナ基地にて整備長として働いている。
ミシェル 31 シャルルと同じロナンバルドで親友同士。容姿端麗の国民的アイドル。
シャルル 7 賢き少数民族ロナンバルドの一人で国のために尽くしてきたがその実力に嫉妬する者も多かった。
フラン 15 将軍職に就き、軍の指令を直接行っている。時に冷酷で残忍な提案をすることもある。






【軍所有会館】(略式葬儀・花に囲まれシャルルの遺影)

001 フラン 「これより、優秀勇猛であったシャルル大佐改め、シャルル中将の略式葬儀を執り行う」
002 ルイ 「シャルルさん…」
003 ミシェル 「嘘だよね…シャル…」(飾られている遺影を見つめながら涙ぐむ)
004 ルイ 「また僕を置いて行っちゃうんですね…」
005 ミシェル 「今度遊ぼうって…約束したばっかだったのに」
006 ルイ 「…失礼、あなたのその容姿…ロナンバルドですか?」(隣で泣いているミシェルに声かける)
007 ミシェル 「そうよ、ロナンバルドよ。何か文句ある?」(キッとルイを睨み付ける)
008 ルイ 「あ…や…シャルルさんとは…」(たじろぐ)
009 ミシェル 「親友よ。シャルの親友のミシェル」
010 ルイ 「ミシェル…って、あのアイドルの?」(ハッとしたように)
011 ミシェル 「アイドルでもなんでもない、シャルルの親友として来たの」
012 ルイ 「…そうでしたか。僕はシャルルさんの下でしばらく働かせてもらっていたルイと言います。今は第七リアナ基地で戦闘機の整備長をしています」
013 ミシェル 「君がルイ君か…シャルの言ってた通りの子だね」(クスッと笑う)
014 ルイ 「シャルルさんはなんと?」
015 ミシェル 「ルイは根っから真面目で堅っ苦しい奴だって。シャルが随分気に入っていたみたいだよ」
016 ルイ 「シャルルさんらしい発言ですね」
017 ミシェル 「電話で部下のルイがルイが…っていつも言うからどんな子だろうって思ってたら噂通りの子だってね」
018 ルイ 「そんなにシャルルさんは僕のことを言っていたんですか?…何話していたんだか」(呆れたように)
019 ミシェル 「ほんと夢中だったみたい。そんなに言うなら結婚したら?って言ったら本気で怒って電話切っちゃたり。死んだなんて嘘だよね?」
020 ルイ 「…嘘だといいんですけどね。シャルルさんは僕の目の前で…」(俯く)
021 ミシェル 「シャルを見たの?」
022 ルイ 「第七リアナ基地で僕のところにわざわざ寄って…僕が殺したようなものです」
023 ミシェル 「どういうこと?」
024 ルイ 「シャルルさんは寄り道で僕のところに来たんですよ。そして滑走路から飛び立った瞬間に爆発して…」
025 ミシェル 「シャルの飛行機が爆発したの?」
026 ルイ 「はい…シャルルさんの飛行機が」
027 ミシェル 「整備はシャルがやっていたの?」
028 ルイ 「いえ、シャルルさんに時間がないから誰かに頼んでくれと。近くにいた整備士に…。あの時、僕がやっていれば…」(制帽を深くかぶる)
029 ミシェル 「その時関わった整備士は?」
030 ルイ 「数時間後に姿を消して行方不明のままです」
031 ミシェル 「その整備士が怪しいね。ルイ君は悪くないよ」
032 ルイ 「あまりにも酷過ぎませんか?シャルルさん、今回の作戦が終わったら退役するって…昇級も勲章もいいから軍を辞めるんだって」
033 ミシェル 「そうだったんだ…」
034 ルイ 「シャルルさんは知ってたんですよ。周りからあまりよく思われてないって。だから辞めるなんて…」
035 ミシェル 「だから殺されるって…」
036 ルイ 「カエルは大海を知って幸せだったんでしょうか?」
037 ミシェル 「大海?」
038 ルイ 「井の中の蛙(かわず)大海を知らず。井戸の中しか知らなかった蛙は亀に大海の存在を教えられて憧れるんです」
039 ミシェル 「大海よりも空を飛びたいと思ったカエル君のこと?」
040 ルイ 「井戸の中だけで暮らしていれば平和に過ごせたんじゃないかなって…こんなことには…」
041 ミシェル 「うん…こんなことにはならなかっただろうね。けどね、シャルは外の世界を知れた。村を出れた。楽しかったと思う。後悔してないよ」
042 ルイ 「そうでしょうか…」
043 ミシェル 「カエルを外に連れ出したのはカメ君。唆したのはカメの私」
044 ルイ 「カメに教えられなければ、カエルは大海を知らなかった。自分だけの世界で満足してたと思います」
045 ミシェル 「カメ君は外に出ようかと迷っていたカエル君の背中を押したんだ。空に憧れているなら大海くらい見ておきなよって」
046 ルイ 「シャルルさんはいつも僕のことを置いていくんですよ。士官学校の時もそう、さっさと実戦部隊に所属して…前線基地では司令官から後に大佐。方や整備長だなんて。随分離れたなって思ったら…今度は置き去りですよ」(泣き笑い)
047 ミシェル 「シャルは優しい子だからね。きっとルイ君のこと待ってる。少し離れたところで腕組みしてきっと待ってるから」
048 フラン 「…――非常に惜しい部下を亡くしたものと思っている。この終戦まで導いてきたのは彼女だった。最後の作戦に彼女を加えられないのが残念で仕方がなく…」
049 ミシェル 「シャルはね、カエルとカメの物語が大好きだった。自分を空に憧れるカエルって言ってね。私はカメで…」
050 ルイ 「僕もやりました。シャルルさん独り劇するんですもの。でも…カエルは僕で、シャルルさんは知らない大海を教えてくれたカメだと思います」
051 ミシェル 「あっちでもシャルは独り劇してるのかなー。だったらドン引かれるからやめときなって言っとかないと。みんな離れちゃうや」
052 ルイ 「あはは、そうですね。ほんと…」
053 ミシェル 「シャルがまた帰ってくる気がするんだ…だから…私待ってる。待ってるから…」
054 フラン 「以上をもってシャルル中将の略式葬儀を終了する」



【第七リアナ基地】(戦闘機の整備を行うルイの下に軍人たちが取り囲む)

055 テトラ 「ルイはいるか!整備長のルイはいるか?」
056 ルイ 「ん…、ルイは僕ですが…?」
057 テトラ 「航空事故調査委員会の報告書よりシャルル中将は搭乗していた戦闘機に細工されていたとの結果が出た」
058 ルイ 「戦闘機が爆発したのですから当然の結果だと思われます」
059 テトラ 「そしてシャルル中将はここに立ち寄り、彼女の整備を担当したのが…ルイ、お前だ」
060 ルイ 「え…?」
061 テトラ 「裏もちゃんと取っている。お前はシャルル中将を事故死に見せかけて殺害した。大体ファントロジス軍会議に参加し、ファントロジスに向かうハズであったのを第七リアナ基地に寄るはずがない」
062 ルイ 「シャルルさんは確かにここに来て僕と話をしました」
063 テトラ 「まぁ、殺害するためにお前が呼び出したと考えられるな。…で、どんな話を?」
064 ルイ 「まもなく退役をすると…」
065 テトラ 「はは、そんな馬鹿なはずがあるわけない。もうすぐ昇級式がある目の前で辞めるなんて馬鹿げた妄言を吐くわけがない」
066 ルイ 「シャルルさんは確かに退役されると。自由に空を飛ぶために」
067 テトラ 「貴様はそんなに元上司が憎かったか?命を懸けて守った挙句、奴は大佐級。貴様は地方の整備長…戦闘から外れた軍人の恥だ」
068 ルイ 「…先程から決めつけた言動が多すぎます。僕はシャルルさんを憎んでもいないですし、整備長の役職も満足しています。左遷だと思ったこともありません」
069 テトラ 「調べたら士官学校の時では首席の座を奪われ、前線基地では司令官補佐。彼女さえいなければ全てうまくいっていた。違うか?」
070 ルイ 「それがシャルルさんを殺した動機だと…?」
071 テトラ 「別に動機がなんだっていい。貴様が細工したというのは明白だからな」
072 ルイ 「あの時、僕は近くにいた『バーン』に整備を任せてシャルルさんと話していました」
073 テトラ 「その整備士バーンの口から整備したのはルイ、貴様という証言が取れた」
074 ルイ 「そんな馬鹿なッ!シャルルさんの戦闘機はバーンが整備し、バーンは数時間後に失踪した」
075 テトラ 「貴様に口封じされるのを恐れ、貴重な証言者として我々が保護した。他にも貴様が整備していたのを見ていたと証言する者もいる」
076 ルイ 「ありえないっ!あの時、確かにシャルルさんと話していて…」
077 テトラ 「名誉な上官を殺害、国への損害は大きい他、それは反逆ともとれる。よって貴様は死刑…だ」
078 ルイ 「そんなのおかしいっ!調べ直しを要求しますッ!僕はやっていない!」
079 テトラ 「誰でもそういうんだよ、ルイ君。死刑宣告を前にするとね」(ニィッと笑い、ルイの肩に手を置く)
080 ルイ 「な…」
081 テトラ 「航空事故調査委員会の総意だ。死刑は確定しているのだよ。連れて行けッ」



【処刑場】(軍公開処刑として処刑台に縛り上げられるルイ)

082 フラン 「これより国家へ反逆した重罪人を公開処刑を執り行う」
083 ミシェル 「嘘…」
084 フラン 「この者はシャルル中将の戦闘機に細工を施し、爆破した実行犯であり、元部下である」
085 ルイ 「…そういうことか。僕は最初っからハメられていたのか」
086 フラン 「戦乱に乗じて国家へ牙を剥こうとした。元上司であり、わが国を優位にしたシャルル中将を殺害したということで、我が国が失ったものは大きい」
087 ミシェル 「ルイ君がシャルを殺すわけないッ!」
088 フラン 「よってルイ死刑囚は銃殺刑と処す」
089 ミシェル 「調べ直して!絶対おかしいよ!」
090 テトラ 「そこの傍聴人を黙らせるか、叩き出せッ」
091 フラン 「これは航空事故調査委員会による調査結果に基づくものである」
092 ミシェル 「軍部と癒着している機関じゃないの!大体、航空事故調査委員会の立ち上がりが早過ぎたわ!」
093 テトラ 「そこの女をつまみ出せ!」
094 ルイ 「…ありがとうございます。ミシェルさん…」
095 フラン 「シャルル大尉がいることによって出世ができなかった、地位を妬んだという動機も十分揃っている」
096 ミシェル 「ルイ君はそんな子じゃないッ!怪しいのはそのテトラとかって奴じゃないッ!シャル言ってたもの!痛ッ!ルイ君ダメ死んじゃ!」(軍人たちに取り押さえられ連れて行かれる)
097 ルイ 「…ありがとうございます。…もういいんです」
098 フラン 「ルイ処刑囚、五分だけ時間をやる。犯した罪を悔い、懺悔するがいい」
099 ルイ 「シャルルさん…すみません、思ったより早く追いかけることになっちゃったみたいです。だから…待っててください」
100 テトラ 「将軍…シャルルは軍を退役するつもりだったそうです」
101 フラン 「昇級式の前にか?」
102 テトラ 「猫を狩るつもりがとんだカエルを捕まえてしまいましたね」
103 フラン 「鳥は不用心に歩いているカエルを捕まえて食したんだ。警戒せずにいたカエルが悪い」
104 テトラ 「それもそうか。賢きロナンバルド、頭が回っても厄介。そして今回処刑のルイは元部下として再調査を独自でもされると困りますからな」
105 ルイ 「カメ君…カメ君…空を飛んだボクを見ていてくれたかな…」
106 ルイ 「カエル君カエル君…ああ見ていたとも」(少し口調変え)
107 テトラ 「ルイの奴が何かつぶやき始めました」
108 ルイ 「空は自由だった…君の知ってる大海より広かったんだ」
109 フラン 「気でも触れたのだろう放っておけ」
110 シャルル 「カエル君カエル君、君は素敵な旅人だったよ」
111 ルイ 「シャル…ルさん?」
112 シャルル 「君が空を飛ぶ姿、滑稽だったけど、とっても凄かったよ」
113 ルイ 「…どうだ、すごいだろう?」
114 シャルル 「大丈夫、君はもうそんな道具をつけなくたってもう自由に空を飛べるんだ」
115 ルイ 「井の中の蛙、大海を知らず…」
116 シャルル 「井の中の蛙、大海を知らず、されど空の深さを知る」
117 ルイ 「カエルは幸せだったのかな…」
118 シャルル 「あぁ、幸せだったとも。自由を知ったからな」
119 フラン 「さて、時間だ。撃ち方、構えッ」(処刑部隊に指示出す)
120 ルイ 「…カメ君、カメ君や、ボクは空より広い自由を手に入れたんだ」(フッと笑う)
121 シャルル 「救いの無い物語…」
122 フラン 「撃てッ」
123 シャルル 「空で消えたカエル君はカメ君に言いました。空は自由でよかったとね」






作者のツブヤキ
 完結したはずなのにエピローグっぽくバッドエンド描いてたよ!
テトラ、マジ悪人。前回でも伏線書いてたけど今回はっきりコイツがめっさ悪人ですオーラ出してみた。
ルイ君が犠牲なってしまったorzこんなハズじゃなかった。ルイ君はこんな風になるはずじゃなかったんだ…。
ルイにとってもシャルルにとってもミシェルにとってもカエル君とカメ君の関係だっただなって。
一つのことわざから始まった物語だったけど、様々な奥深さが見えたね!
すごい好きだ。『井蛙不可以語於海、拘於虚也』
おかしいな、もっとシャルル×ルイ要素(過去話とか回想とか)をたっぷり詰めようと思ったらこれだ…誰得だよテトラむふふ話って。

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