災害に備えて

災害に備えて

◇声物語劇団より最新情報


シナリオ詳細
掲載元 声物語劇団 公式サイト
声物語劇団 オリジナルボイドラ劇場
作者 月宮東雲
登場キャラ数 :1:2不問:1
総セリフ数 154
製作日 2011/4/26〜2011/4/27
概要説明  3/11が襲った大震災のノンフィクション物語。
災害の時に備えて何をしないといけないか、少しでも参考にして…
震災を、備えを甘く見るな!備えあれば慌てることも心配も軽減できる!
物語とだけじゃなく、考えて頂けるきっかけになってもらえればと、切に祈るばかり。
利用にあたって 利用規約
目安時間
登場キャラ セリフ数 性別 備考
タケル 64 シオリの兄。ちょっとシオリより抜けているとこがある。
シオリ 59 タケルの妹。兄よりしっかりしている上によく気が利く。
24 ちょっとほんわかのんびりなお母さん。意外と肝が据わっている
職員 8 小学校の避難所では教頭とかが数日間寝ずに必死に頑張っていた。高校の職員は人を追い払うのに必死だった。






【自宅】(ゲームとPCをやるタケルのところにシオリが来る)

001 シオリ 「お兄ちゃん、30年以内におっきな地震がくるって言われてんだよ?学校でもしつこいくらい言われてるもん」
002 タケル 「へーき、へーき。母ちゃんとか父ちゃんがその30年前、耐えてきたんだから、今回だって楽しょーだってばよ」
003 シオリ 「ダメだよ、ちゃんと備えなきゃ」
004 タケル 「備えるって、何すんの?地震起こるのなんてナマズでも飼ってないと予知なんかできないんだから無駄無駄ぁっ!」
005 シオリ 「非常食買ったり、懐中電灯用意したり…」
006 タケル 「ほら、乾パンとか2リットルの水、二本非常袋の中に入ってるだろ。あとは避難所でもらえばいいだろ。そんために避難所あんだからさ」
007 シオリ 「避難所って言ってもね、学校って各自用意することが前提になっているから避難者全員分の食糧なんて全然ないんだよ
008 タケル 「なんのための避難所なんだよ」
009 シオリ 「一時的に場所を提供するだけの場所なんだよ、だから常日頃から各個人が準備していることが大事なの」
010 タケル 「へぇー、ゲーム終わったら考えるわー」
011 シオリ 「もう、お兄ちゃんったら…」
012 タケル 「うん?地響き?」
013 シオリ 「地響き?」
014 タケル 「椅子からズモモモモモモモモモモモ…って」(揺れ始める)
015 シオリ 「地震ッ!」
016 タケル 「おぉうっ、これは結構大きそうだぞ」
017 シオリ 「お兄ちゃん、全部の部屋のドアを開けて!」
018 タケル 「へ?」
019 シオリ 「歪んだら閉じ込められるッ!早くッ!」
020 タケル 「おぉうっ…」
021 シオリ 「本棚とかからも離れてねっ」
022 タケル 「揺れが強いっ、通路が船の中みたいに揺れるっ」
023 シオリ 「カップ割れてる、引き戸が全部開いてカパカパしてるっ」
024 タケル 「シオリ!皿が降ってくるぞ」(慌てて食器棚押さえる)
025 シオリ 「揺れが収まんないよぉ…」
026 タケル 「母さん無事かな…」
027 シオリ 「あ、今『大丈夫?』って送っておいたよ」
028 タケル 「すげーな」
029 シオリ 「もうすぐ規制かかるから。メールは少しだけだけど、届く可能性高いから。ほら、地震中なのに通話はもうできない」
030 タケル 「震災直後はメールの方が届く可能性があるのか…」
031 シオリ 「震災中の内の方がいいかもしれないね。直後にはすぐ規制かかるから…それより家大丈夫かな…」
032 タケル 「まぁ、天井落ちてきたら諦めるしかないな。今外に出ても危険だし」
033 シオリ 「…おさまってきた…?」
034 タケル 「終わったのか…」
035 シオリ 「何だったの…この地震。今までより大きかったけど…」
036 タケル 「情報、情報っと、震度いくつだったのかなー…あれ?つかないぞ」
037 シオリ 「お兄ちゃんの部屋の電気もゲームも消えてるよ」
038 タケル 「ヌァンダッテー」
039 シオリ 「停電になったみたいね…」
040 タケル 「ゲームのデータがぁっ!?」
041 シオリ 「お母さんが心配だから合流してくるね」
042 タケル 「あぁ…俺も行くよ」



(母と合流し、避難所へ避難する流れに)

043 タケル 「隣の高校って指定避難所になっていたよな」
044 シオリ 「でも受け入れってしてないって話だったけど…。備蓄とかないから小学校に移動することになるって」
045 「まぁ、準備して行くといいわ」
046 タケル 「持って行くのは、毛布とか、乾パンとかチョコ?」
047 シオリ 「それとお茶とか、紙コップね」
048 「準備できた?行くわよ」
049 タケル 「おっしゃぁ!」
050 職員 「ここは避難場所ではありませんので、小学校の方へ行って下さい。ここは避難場所じゃないです。対応しません」
051 タケル 「おぃおぃ、指定避難所って書いてあんのに、どういうこった」
052 シオリ 「やっぱり…看板だけで対応してない門前払いか…」
053 指定避難所という看板が立っていても高校はダメね
054 シオリ 「小学校や、中学校しか基本対応しないのね…あと、公民館とかかな」
055 タケル 「なら、看板外せっての。ありえねーよ、受け入れないのに指定避難場所ってよぉ」
056 シオリ 「まぁまぁ、小学校もそんなに遠くないんだからさ、お兄ちゃん」
057 タケル 「…国道が大渋滞だぞ!?」
058 「信号が停電したからねぇ…」
059 シオリ 「こんなの初めて見た…」
060 タケル 「数日前、工事で信号直してる時なんか、工事の交通整理員20人態勢でやってたのは見たばっかなんだけど、誘動員なしはパナいな…」
061 「車の間をぬっていくなんてそうそうできないわよ」
062 シオリ 「みんな避難してきてるみたいだね」
063 タケル 「…うわっ、何だコレ!?」
064 シオリ 「…なに、この空間…きゃっ」
065 タケル 「なんか、学校で習ってきた戦時中の防空壕の中みたいだな…みんな目が死んでるし…」
066 タケル 「あれ…お兄ちゃん?」
067 タケル 「なぁ、シオリ…?あれ?シオリ?」
068 シオリ 「狭い見慣れた小学校の体育館なのに、全然知らないところにいるみたい…お兄ちゃんもどこにいたのか分からないし…」
069 タケル 「暗いし、ところどころの懐中電灯の明かりとか、石油ストーブのぼんやりした光じゃ顔を見分けるのも難しいぞ…」
070 シオリ 「…ここ通路だよね…、でも場所ない。いいのかなぁ」
071 「座る場所だけでも場所とらないと。いいわよ場所ないんだから」
072 シオリ 「足の踏み場もないよ」
073 タケル 「あ、いたいた。シオリ、母さん!」
074 「あら、よく見つけられたわね」
075 タケル 「雰囲気?オーラっての?でも、偶然だわ…こんな中見つけるなんて無理。はぐれたら最後かもしれんな…。なんだこの人の数」
076 シオリ 「座る場所もなくて立ってる人もいるよ…」
077 「まだ外に沢山人いるし、これから増えるわよ」
078 タケル 「どうなっちまうんだ…一体」
079 職員 「えー、皆さん、まだ外に人が沢山います。入れないので奥に詰めて頂けないでしょうか。できるだけ多くの人が使えるようにご協力お願いします」
080 タケル 「ひゃー、俺たち座る場所確保できた良かった…」
081 シオリ 「…トイレに行っておこうかな」
082 タケル 「あ、俺も俺も!マンションだと電気系統やられちまうと水も何もかもやられちまうからトイレすらダメになっちまうんだよなぁ
083 シオリ 「お母さん、トイレ行ってくるね」
084 「はいはい、行ってらっしゃい」
085 タケル 「うをっ…学校の体育館のトイレとかってかるくホラーだな…電気ないってこんなに辛いとは…」
086 シオリ 「うぅ…個室トイレ真っ暗って嫌だぁ…花子さんでそう」
087 タケル 「やべぇな…昼間ホラーゲームの実況とか観るんじゃなかった…なんでこんな時に限って…」
088 シオリ 「トイレがこんなに怖いだなんて…季節外れの肝試しだよ…」
089 タケル 「うへ…水でないから手洗えなっ、嫌だなぁ…」
090 「おかえり、地震大きかったみたいよ」
091 タケル 「…どうなってんの?」
092 「周りの人のラジオを拾い聞きしてるから詳しいのは分からないわね」
093 タケル 「いや、ちょっとでかかったのと大規模停電が辛いぐらいだなぁ」
094 シオリ 「うぅ…大変だったぁ…」
095 「おかえり」
096 シオリ 「外から懐中電灯でずっと照らしてくれてる人がいたから少し安心したよ…」
097 タケル 「下手したら落ちるもんな」
098 職員 「えー、皆さんに連絡します。トイレの使用方法なのですが、水が流れません。紙は袋に捨てて下さい。詰まったら使用できなくなります。徹底されない場合は使用禁止になるかもしれませんので、お願いします」
099 タケル 「水がないって大変だな…」
100 「…町が壊滅って流れてるけど」
101 タケル 「嘘だぁ、冗談でしょう?こっち全然被害なかったのに?」
102 シオリ ラジオだと全然情報入らないから分からないね…
103 タケル 「携帯でテレビを見るのも電池消費するしな…命綱だから無駄に消費できないし…」
104 シオリ 「情報入らないってこんなに不安なんだ…」
105 タケル 「今までは他人事で大変だなとか言ってたのにな…。いざこうなると情報がほんと入らなくなるんだな…孤島に閉じ込められた気分だ」
106 「あ…明かりが二つついた」(自家発電の豆電球二つ点灯)
107 シオリ 「はぁ…あれだけの明かりでもホッとする…電気って偉大だなぁ…暗闇はこんなに恐怖と不安にさせるものだって思わなかった…」
108 職員 「たった今、自家発電機の電気を点灯しました。防犯上の最低限のものですが、自家発電の燃料もそんなにありません。いつ消えるか分かりません。ご了承ください」
109 シオリ 「え…消えるの…?」
110 「時間と恐怖の戦いねぇ…夜が明けるの待つだけだけど…」
111 職員 「えー、只今、備蓄してありました非常食を配布します。手伝ってくれる方お願いします」
112 シオリ 「こんなに食糧あるのかな…」
113 職員 現在、1200人以上が学校に避難してきてます。これからまだ間で増えます…備蓄している分が避難している皆様の分ありません。持ってきた方は遠慮してもらえますようお願いします
114 タケル 「持ってきてるって…おいおい、正直者がバカ見んのかよ」
115 シオリ 「ね、言ったでしょ。元々避難所なんて人数分なんてないんだって」
116 「学校なんて200人3日分とか言うものね、想定外の避難人数なんじゃないかしら」
117 シオリ 「こうした災害起きた時以外は期限近くなったら買い替えたりしないといけないからって財政的に用意してない自治体もあるとか」
118 タケル 「日頃から、各自準備していないと飢え死にするかもしれないってか」
119 「ここらの街近くの都市部は復旧は早いだろうけど、地方はどうなるのかしらね…」
120 職員 「身体が冷える方、毛布が40枚しかないですが、必要な方は言って下さい」
121 タケル 「避難者1200人なのに毛布は40枚ってどういうこと!?」
122 「場所によってはほんと対応がひどくなるということね…。避難所をあてにしてはいけないってことね…
123 シオリ 「その場しのぎの場所ってことか…。昔の地震で体育館の天井落ちたとかもあったものね」
124 職員 「余震が続いています。もしかすると外に避難する場合もありますので、準備されていて下さい」
125 タケル 「おいおい…この体育館大丈夫なのか?」
126 シオリ 「逃げる判断っていつするんだろう…」
127 タケル 「つーか、出口二か所しかないのに1200人逃げられなくね…?」
128 「まぁ…死ぬ時は死ぬのよ」
129 タケル 「寝ようにも隣に人いるし、後ろには人いて横にもなれん…。しかも足元だけ毛布掛けてたって上半身が冷えるっての」
130 「とても寝られたとこじゃないわね」
131 シオリ 「これは身体がもたない…」
132 タケル 「今まで大きな地震あったところってこんな生活してきたのか…ほんと、ならんと分からなかった…」
133 「日常ってのありがたみがわかったでしょ」
134 タケル 「…ほんと、涙出そうなほどね。突然別世界に放り投げられたみたいだ…俺たちだけ違う世界に来ちゃったんじゃないのか?非日常という世界に」
135 シオリ 「きっと、周りは大変だなーははって言ってるんだ。こういった暮らししないと大変さ分からないもの。私だってそうだったから…」
136 タケル 「電気がある、ガスがある、水がある、日常がある。全てにほんと感謝しないといけないんだな…失って初めて気付いた…」
137 シオリ 「まぁ…こんな街で天の川が見れるなんて思わなかったけどね」
138 タケル 「一斉に消灯する日があってもいいとは思うけどな。大規模停電は勘弁だわ」
139 シオリ 「でも、私たちだけじゃなくて皆も少し生活を考えて欲しいと思うね」
140 各個人の備え、情報が大切、それと協力。困った時はお互いさまの精神ね。
141 タケル 「ほんと、情報がものいうからいかに繋がりが大事かって思うな」
142 シオリ 「お兄ちゃん、友達いないから大変だね」
143 タケル 「ネットにはいるから平気だ」
144 シオリ 「なーにが平気だ。さ。全然平気じゃないじゃん」
145 タケル 「こういう時はな、被災地以外の場所からの情報収集って非常に助かるんだぞ。現地こそ情報がこうやって入らないからな…
146 シオリ 「そだね…私もそっち側になったら助けてあげたいな…、ほんと情報入らないってこんなに怖いことだって分からなかったもの」
147 「情報社会になっちゃったからね、ただ、そういう時だからこそ情報に振り回されちゃダメってのもあるわ」
148 タケル 「さっきの緊急地震速報が一斉に鳴ったのってデカイ揺れの後だったしな…何が正しいなんてどう判断していいか」
149 シオリ 「ほんと、私たちって生きるのにもう必死だからね。情報になんでもしがみつきそう」
050 タケル 「だから周りが判断した正しい情報を発信してくれないと俺たちはどうしようもないってことだ」
151 シオリ 「今回の震災は学んだことが多かったね…」
152 「人によっては失ったものも大きい。だからこそ学ばないといけない。伝えないといけない」
153 タケル 「俺たち」
154 シオリ 「私たちが経験した震災を、その時の不便だったことも。少しでも考えて参考にして欲しいから!」






作者のツブヤキ
 東日本大震災にて被災しました皆々様には心よりお見舞い申し上げます。
作者も仙台にて被災し、体験をもとに色々交えながら創らせて頂きました。
伝えたいことが思うように伝えられていない気がして歯痒い思いでいっぱいです。
私の地区は…いえ、私の周辺はほんと被害が皆無だったので、何もかも現実として受け入れられませんでした。
一ヶ月間訳が分からないまま、生きるのが必死で光のように過ぎました。日常のありがたみってほんと大切でした。
避難所暮らしはほんと辛いです。
色々と伝えたいことはいっぱいですが、書ききれないので聞きたい方はメール下さい(笑)
とにかく、各自備えて下さい。各自の備えと、周囲とのつながりって本当に大きいので。
無料PC版緊急地震速報(ストラテジー株式会社様)
結構正確で、震源地も予想震度も出るので備えとしてはいいですよ。震災後、携帯は対応してないため、緊急地震速報が届かず、不安解消に。
使わせて頂いています。

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