歓迎、四季宿亭

歓迎、四季宿亭

◇声物語劇団より最新情報


シナリオ詳細
掲載元 声物語劇団 公式サイト
声物語劇団 オリジナルボイドラ劇場
作者 月宮東雲
登場キャラ数 :1:3
総セリフ数 89
製作日 2010/5/26〜2010/5/27
概要説明  この世かあの世かその世かどこの世かにある、宿屋、四季宿亭。
そこで懸命に働く(?)仲居達の物語。
もてなしの心とは何か…まさかの客から教えられた出来事。
利用にあたって 利用規約
目安時間 6分程度   【〜10分】
登場キャラ セリフ数 性別 備考
なつ 31 サボり癖が激しく、しょっちゅう仕事時間に遊んでいる
はる 34 小火で焼失した小稲荷神社を再建するため、出稼ぎに来た。母親は稲荷神宮にいる。
四季
(しき)
8 四季宿亭の若女将。表では美人で有名だが、裏の世界でも名が知れ渡っている。
烏天狗 20 四季宿亭の常連。四季宿亭の雰囲気が好きでいつも訪れる。孤高のジャーナリストをしている。






【四季宿亭客室前の廊下】(掃除中、雑巾を投げて遊ぶなつ)

001 はる 拝啓、お母さん。私は四季宿亭で元気に働いています!
002 なつ 「はるー、そっちいったでー」
003 はる 「わわわっ」(飛んできた雑巾を取ろうとバランス崩す)
004 なつ 「なんだーだめだなー。打ち返さな」(額押さえて呆れる)
005 はる 「う、打ち返す?」
006 なつ 「ほら、ウチに投げてみ?」(手挙げて構える)
007 はる 「は、はい」
008 なつ 「さ、どっからでもきぃなー」
009 はる 「てぃっ」
010 なつ 「チェストォォォォォォォォォォォッ」(腕をバットのようにして雑巾打ち上げる)
011 はる 「おぉー」
012 なつ 「ざっとこんなもん…」(自慢げに言いかけ)
013 烏天狗 「オゴォッ」(顔面直撃)
014 はる
なつ
「あ…」
015 はる お母さん、私は元気で働いて……



【客室】(謝罪に若女将・当事者二人が烏天狗のもとへ)

016 四季 「誠に申し訳ありませんでした」(深々と土下座)
017 なつ 「スミマセンでした…」(頭下げる)
018 はる とんでもないことになっちゃってます…
019 烏天狗 「あー、いやいや…まさか雑巾をぶつけられるとは」(こめかみをかきながら苦笑)
020 なつ 「手ェから雑巾すっぽ抜けて…」(手でジェスチャーする)
021 はる 「なっちゃんッ」(咎めるように小さくなつに言う)
022 なつ 「あー、そのあの…お客さん、雑巾に一目惚れされたん…」(気付き、苦笑しながら無理やり訂正しようとする)
023 四季 「本当に申し訳ありませんでした。この子にはよーく聞かせておきます」(なつの頭、畳に叩きつけ土下座させる。顔は笑顔)
024 烏天狗 「あー、えー、その辺で堪忍してやんな。若女将にまで頭下げられちゃこっちが悪党みたいだ」(なつ見て苦笑)
025 四季 「いえ、お許し頂けるまで帰れませんので…。欲しい物などございましたらなんなりとお申し付け下さいませ」
026 烏天狗 「うーん、若女将は仕事に戻ってもらってええですわ。この二人に頼みたいんでね」
027 四季 「左様でございますか……お言葉でしたら失礼いたします…」(かるく頷き、退室する)
028 なつ 「え…」(退室する四季を驚いた眼で追う)
029 烏天狗 「自分のミスをお偉いさんに任せちゃ成長できないぞ」
030 なつ 「あ、いえ、別に…」
031 烏天狗 「若女将は律儀だからなー、冗談も通じんからな」
032 なつ 「はぁ…?」(曖昧に頷く)
033 烏天狗 「そちらで震えているお嬢ちゃん、何も取って食おうというわけじゃあない。顔を上げなさい」
034 はる 「ひゃっ、ひゃいっ!?」(跳ね起きる)
035 烏天狗 「わしの話に付き合うてもらうだけの話で」
036 はる 「話?」
037 烏天狗 「職業上、人と話す機会があまりないものでね」
038 なつ 「だろうねぇ」(ふてぶてしい態度で)
039 はる 「ちょっ、なっちゃんッ」(隣で焦る)
040 烏天狗 「ハハハ、そちらのお嬢さんは恐いもの知らずのようだ」
041 はる 「ごめんなさいっ」
042 烏天狗 「いやいや、若いっていいねぇ」
043 はる 『無鉄砲過ぎるだよ〜なっちゃんは〜』(心の中で叫ぶ)
044 烏天狗 「わしなんかこうしてお嬢さんたちと話せることも楽しみできている。ただ休むだけではなくね」
045 はる 「会話を楽しみに…?」
046 烏天狗 「お客を満足させるのが四季宿亭じゃないのかね」
047 なつ 「お越し頂いたお客様に最高のもてなしをするのがウチらの仕事」
048 烏天狗 「それは柔らかいペッドであったり、美味しい料理であったり、気持ちいい温泉であったり…美しい景色であったり。人によって違う」
049 はる 「だから、お客様のニーズに合わせたサービスの提供をしていきますっ」
050 烏天狗 「わしには話し相手というサービスだな」
051 はる 「よ、喜んでっ」
052 なつ 「お客の一人一人に付き合っていたら時間がどんだけあっても足りんわっ」(はるの頭はたく)
053 はる 「へぶっ」
054 烏天狗 「ハハハ、そうだな。ただ、そういう心構えが必要だということだと思うぞい」
055 はる 「お客様…」
056 烏天狗 「おもてなしの心とは、何ぞや?…四季宿亭の従業員の永遠の課題だなぁ」
057 なつ 「へっ、言ってくれるねぇ。必ず見つけ出してやるぜ」(ドンと足立てる)
058 烏天狗 「…既に客に対する態度じゃねぇ…」
059 はる お客様の言っていることはとても難しいことでした。



【従業員部屋】(業務が終わり、布団を敷く二人)

060 なつ 「要は客をどうもてなすかだろ?」
061 はる 「もてなし方…」
062 烏天狗 『あなたたちは自分たちの仕事に誇りを持っていますか?』
063 なつ 「そりゃまぁ、女将とかじゃないし、仲居頭でもないけどさ。それなりに誇りは持ってるけどな」
064 はる 「仲居というお仕事はお客様に尽くすお仕事で、とっても大事です」
065 なつ 「四季宿亭にも最高に誇りあるしな」
066 はる 「どこの宿よりも、ここに来て頂いて良かったと思って頂ければいいと思う」
067 なつ 「ったり前よ。四季宿亭ほど、いい宿そうそうないからなぁ」
068 はる 「仲居から雑巾ぶつけられるけど…」
069 なつ 「…うん、まぁ、それは仕方ないな」
070 はる 「え?それ仕方ないの?」
071 なつ 「ウチらができることは明日も来るお客様にも笑顔で歓迎することだろ」
072 はる 「最高のもてなしを用意すること…」
073 なつ 「明日も早いんだし。早く、寝よっか」
074 はる 「はい」



【四季宿亭客室前の廊下】(掃除中、雑巾を投げて遊ぶなつ)

075 なつ 「おーし、じゃ、はるいっくぞー」
076 はる お母さん。私はどうやら付き合う方を間違えてしまったようです。
077 なつ 「なつスペシャル豪速球ー!!」
078 はる 「ひゃぅっ」(避ける)
079 なつ 「はるー、避けたらダメじゃんかー。今のは打ち返せよー」
080 はる 「で、でもぉ…」
081 四季 「ほぅ…昨日のにも懲りずにまた遊んでいるのか…」
082 なつ 「げ…四季ちゃん…」
083 四季 「お仕置きが足りなかったようだねぇ…」
084 なつ 「ひぃぃぃぃ…」
085 四季 「新しいお客様がもうすぐお見えになる。ほら、玄関前に集合しろ」
086 はる 「はいっ」
087 はる お母さん、私は四季宿亭でとっても賑やかに過ごしています。是非一度泊まりに来て下さい。
088 四季 「遠路はるばるお越し頂き、ありがとうございます。長旅の疲れを癒して下さい」
089 はる
なつ
「四季宿亭へようこそっ」






作者のツブヤキ
 記念すべき100作品目の作品となります。
間に長編ボイスドラマの作品など書いているので正確にいえば200は裕に超えているとは思っているわけですが(-_-メ)
オリジナル作品がようやく100作品揃ったわけです。
この作品ではもてなしについて何かという題として創っています。
サービスをガンガン売っていかないと行けなくなる時代…相手が満足するにはどうすればいいか。
相手が求めているものを与えていくのが正解でしょう。
どこかにあるこの宿は、宿泊だけが売りではない。来た客が満足して帰れるよう精一杯努力する。それがモットー。
もてなしの心とは何であるか。今一度考えて頂きたい。

初期四季宿亭のため何度か加筆修正を加えたものの、設定がぶれたりしてます。ご了承くださいませ…

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