夢見しあの日 第六話

夢見しあの日 第六話

◇声物語劇団より最新情報


シナリオ詳細
掲載元 声物語劇団 公式サイト
声物語劇団 オリジナルボイドラ劇場
作者 月宮東雲
登場キャラ数 :2:4
総セリフ数 98
製作日 2010/1/8〜2010/5/7
概要説明  反女性改革派の会合が行われている旅籠屋を襲撃する氷華隊。
しかしミスの目立つかりんに対し、苛立ちを隠せないあずさはついに除隊命令を出す。
沈んだ気持ちで林に会いに行くと…――
利用にあたって 利用規約
目安時間
登場キャラ セリフ数 性別 備考
朝霧雫
(あさぎり しずく)
22 氷華隊隊長。男らしく、大雑把なところが多々あり。あずさとは幼少の頃から育ち、慕っている。一人称オレ
天満あずさ
(てんま あずさ)
16 氷華隊副隊長。隊長を慕う忠誠心の強い、頭のよく切れる。氷華隊のまとめ役。
姫宮殊音
(ひめみや ことね)
4 氷華隊奇襲部隊隊長。甘い物には目がなく、部下を使って甘味処を調べている。12歳の小さい元気娘。
川月かりん
(かわつき かりん)
25 氷華隊二番隊長。隊長級では一番女の子らしさがある(?)甘い物同盟を殊音と結んでいる。
斉藤龍太
(さいとう りょうた)
16 夢狼軍リーダー。お人好しな一面を持ち合わせた人物。朝倉とは幼馴染で林とは師弟関係
林和樹
(はやし かずき)
15 学問所の先生として、新政府のあり方を説いてきた。志ある斉藤たちの成長を見届けるためについてきた。哲学者






【真夜中】(氷華隊、官僚の屋敷討ち入り前、屋敷門前)

001 あずさ 「…というわけで川月、斬り込み隊長任せたぞ」
002 かりん 「あ、はいっ」
003 「任せたぞ?なんと言っても先手必勝だからなっ」
004 殊音 「で、殊音が後方奇襲部隊!」
005 「んじゃまぁ……突撃ッ!」
006 かりん 「はぁっ!」
007 「女性解放軍、氷華隊見参!」
008 あずさ 『川月が敵をもらしているな…失敗が目立つ』
009 殊音 「後方奇襲部隊参上!!」
010 「既に気付かれているのだから奇襲じゃない気がするぞ」
011 殊音 「襲えば奇襲なのっ」
012 かりん 「やぁっ!」
013 あずさ 「阿呆ッ!背後だ川月ッ!!」
014 かりん 「え…?いやぁぁぁっ」
015 あずさ 「ちっ…」(回り込んで斬る)
016 殊音 「掃討完了ッ」
017 「こっちも大方片付いたな」
018 あずさ 「こちらも終わりました隊長…」
019 「どうした?川月。らしくないぞ」
020 あずさ 「…川月、お前もう辞めろ」
021 かりん 「え…」
022 あずさ 「何だよ今日の斬り込み。ふざけてんのか?お遊びか?」
023 かりん 「そんなことありません」
024 あずさ 「そんなことなくねーよっ!ふざけるなっ!」
025 かりん 「至って真面目でした。途中気を抜いてしまった点もありましたが…」
026 あずさ 「途中気を抜いた?最初っからの間違いだろうがっ」
027 かりん 「いえ…」
028 あずさ 「どこも見ないで突っ込んで、仕留め損なって…お前隊長だよなぁ?川月」(かりんの顎を持ち上げる)
029 かりん 「に、二番隊長…」
030 あずさ 「男と頻繁に会ってるからそうなるんだよっ。私が知らないとでも思ったか?」
031 かりん 「なっ…」
032 あずさ 「切腹しろとまでは言わない。さっさと失せろ!使えない奴は足手まといだっ」
033 「おいおい…あずさ、その辺に…」
034 あずさ 「隊長は黙っていて下さい!」
035 「…はい」
036 あずさ 「故郷に帰れっ。邪魔だ」



【夜の河川敷】(林が空を見上げ、星を観察)

037 「今日は随分と浮かない顔をしていますね…」
038 かりん 「そう…ですか?」
039 「血…」
040 かりん 「え?」
041 「どこからも出血していないのに血の匂いがします」
042 かりん 『返り血がどこかについてたかなっ』
043 「川月さん、返り血とかを浴びましたか?」
044 かりん 「あ、いや、その…実家お肉屋さんでしてっ、鶏の頭切り落とす時にどばーっとかかっちゃって…」
045 「女性は血を恐れないと言いますものね…」
046 かりん 「まぁ…それほど抵抗がなかったりしますね…」
047 「返り血を浴びることだけではなく、生き物を殺すのも抵抗ないですか?」
048 かりん 「それはちょっと躊躇いますけど…」
049 「人間は無駄な殺生が多すぎると思うのです…私は。生きるためのみならず、殺戮を繰り返す…」
050 かりん 「林さん…?」
051 「政府も…女性運動家たちも…。どうして殺しあわなければならないのでしょうか」
052 かりん 「それは…女性も権利を、自由を欲しいからでしょう」
053 「では何故、女性は殺してでも手に入れようとするのですか…?」
054 かりん 「…えと、その…。私には分からないんですけど…、たぶん…たぶんですよ?男性が女性を虐げたままの社会などおかしいと。覆したいのかと…」
055 「川月さんはそう考えますか…」
056 かりん 「あの…あくまでウチの意見ですから……」
057 「えぇ、私が聞きたいのは一般論ではなく、あなたの意見です」
058 かりん 「隣…いいですか?」
059 「どうぞ」(かりん林の隣に座る)
060 かりん 「……星がきれいですね」
061 「美しいものを美しいと言える心を持つ者が真に美しいというものです」
062 かりん 「林さん…今日はずっと一緒にいてくれませんか?」
063 「家の方には帰られないのですか?」
064 かりん 「今日だけ…今日だけでも一緒にいたいです…」
065 「…あちらの宿でゆっくり休みましょうか」
066 かりん 「はい……」



【夜遅く】(路地の暗がりにて)

067 あずさ 「隊長、間もなく岩間の籠が通るので配置につきます」(一礼して走り去る)
068 「あぁ、任せた。オレも配置につくとするか…あいつは…」(一人歩く斉藤発見)
069 斉藤 「…今日は月が雲で隠れて夜道も暗い…。何か出そうだな…」
070 「おい」
071 斉藤 「うぉっ」(飛び上がる)
072 「こんな夜遅く何している」
073 斉藤 「ん…雫さん?」
074 「夜道は危険だ」
075 斉藤 「それはこっちの台詞だっ。このような夜更けに女子一人とは…」
076 「あの…、そのだな、先ほどあちらで人斬りがあってな…あっちは危険だ」
077 斉藤 「とはいえ…帰路はこっちだしな…」
078 「ここにいては危ないっ、そこの旅籠屋行くぞっ」
079 斉藤 「あ、おぃっ」
080 あずさ 「隊長っ、不審な男がこちらの路地に……隊長?」



【旅籠屋】(なりゆきで部屋にいる二人)

081 「あは…あははは…成り行きだよな、なりゆき」
082 斉藤 「…いや、何で部屋に連れ込まれたか、わからないんだが…」
083 「いや、その…危なかったんだよ…うん」
084 斉藤 「危なかったって…その場に居合わせたのか?」
085 「あー…その巻き込まれたというか…なんというか…」
086 斉藤 「よく助かったな…」
087 斉藤 『指揮をしていただなんて言えない…』
088 斉藤 「あー…まずは助けてくれてありがとうだったな」
089 「いや、その本能的にだ…助けられる命は助けるべきだろ?」
090 斉藤 「まぁ…」
091 「それに知り合いが斬られて、翌日土左衛門で河原にあがってもな」
092 斉藤 「確かに夢見悪いな」
093 「落ち着いたら出ようか」
094 斉藤 「いや、まだ見廻っているかもしれないし、折角の機会だ、泊らないか?」
095 「な…お、俺はお前と寝る気は……」(顔真っ赤にし、後退)
096 斉藤 「いや、寝るとか…何想像してるんだっ。雫さんと話したいなって思っただけで…」
097 「…ったく、誤解させるようなことを」
098 斉藤 「勝手に誤解して怒られるって…何なんだ俺。」






作者のツブヤキ
 いよいよかりんに除隊命令。雫は任務より斉藤を優先し、助けた。
一つの目標でまとまっていたはずの氷華隊は合コン以来からてんでばらばら。
知らないうちに相反する心が芽生え始め…

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