月が赤く染まる時

月が赤く染まる時

◇声物語劇団より最新情報


シナリオ詳細
掲載元 声物語劇団 公式サイト
声物語劇団 オリジナルボイドラ劇場
作者 月宮東雲
登場キャラ数 :12不問:1
総セリフ数 129
製作日 2009/9/1〜2009/9/1
概要説明  戦争起こそうと動いているウェルート国の動きを探るよう命じられたロサンスト国の隠密組織。
三人組でウェルート国境付近の町に潜入し、ウェルート国の軍を監視していた。
動きがないことに安心をしていたが、それはとんでもない誤算だった。
利用にあたって 利用規約
目安時間 8分程度   【〜10分】
登場キャラ セリフ数 性別 備考
メイル 24 隠密組織の隊長。頼りがいがあり、部下たちからの信頼も厚い。…女にモテる
レイ 52 隠密組織の一員。メイルに憧れと好意を抱いている。容姿がよく、囮作戦によく利用される
スン 44 一応少女。フードを常に被り、少年っぽい容姿のためよく間違えられる。隊内で一番冷静で賢い
兵士 9 ウェルート軍の兵士。もはや雑魚キャラ扱い。






【宿屋の一室】(三人が集まって話し合っている)

001 レイ 「隊長、奴等はまだ動く気配ありません」
002 メイル 「了解。ま、大体そんなところでしょう。まだ動くには時期尚早のハズ」
003 レイ 「我々がこの町に潜入してから三日…奴等は四日です」
004 メイル 「中隊一個が動いているため人数が多い。数日間は落ち着かないため、長期滞在をするだろう。三日ならば、そろそろやっと落ち着いてきたってところだろう」
005 レイ 「演習の帰還途中と考えていいのですか?」
006 メイル 「いや…演習にしては妙だった。国境警備隊とも合流している」
007 レイ 「では…」
008 メイル 「戦争を仕掛ける気だ」
009 レイ 「では、あの中隊を…」
010 メイル 「まだ大丈夫。動く気配がない」
011 レイ 「動きがありましたらすぐに報告致します」
012 メイル 「あぁ。…ところで、スンさっきから何している?」
013 スン 「カード占い」
014 メイル 「カード占い?」
015 レイ 「この町に入ってから露店に占いのカードがあって買ったようです」
016 メイル 「占いねぇ…」
017 スン 「…闇のカードに死神のカード…状況は最悪だ…」
018 レイ 「不吉なことを言わないの、スン」
019 スン 「雲行きはよくないよ」
020 メイル 「占いなんてやめろ、馬鹿馬鹿しい。占いに振り回されてはこなせる任務もこなせなくなる」
021 レイ 「その通り。占いに頼ってはいけない」
022 メイル 「食事に行ってくる。お前らは宿でゆっくりしていろ」
023 スン 「…壁のカード、骸骨のカード。隊長が危ないかも」
024 レイ 「だから、占いなんて信じないの。変な宗教に入っちゃうよ?」
025 スン 「なんならレイの恋愛運でも占おうか」
026 レイ 「え?や、いいよいいよ!」(焦ったように)
027 スン 「確かにこの組織やってると出会いないし」
028 レイ 「国の隠密機関だから仕方ないです。志望した時から恋愛なんて諦めて…」
029 スン 「うん。悪くないよ」
030 レイ 「悪くないって?」
031 スン 「もう好きな人いるでしょ」
032 レイ 「ななななななな…」
033 スン 「今回うまくいけば、かなりの好感度上がるけど…今が山場」
034 レイ 「この山のカードが山場って意味?」
035 スン 「そんなところ」
036 レイ 「でも今回って何?」
037 スン 「…レイ。好きな人、近くにいるんじゃない?」
038 レイ 「ばばば、バッカじゃにゃいの!?」
039 スン 「噛んでる噛んでる」
040 レイ 「別にいません。そしてスンには教えません」(ツンとしたように)
041 スン 「まぁ…態度見てれば分かるけどね」
042 レイ 「スン、勘違いしてないよね?」(疑うように)
043 スン 「別に。自分モテるとか思ったことないし、レイに好かれなくてもいいんで」
044 レイ 「うわ、実際言われるとイラっとくる」
045 スン 「…祭りのカードに月のカード?」
046 レイ 「どうかした?」
047 スン 「いや、今日を占ってみたんだけど…。もう一枚…祈りのカードか…」
048 レイ 「そっか…今日は満月か」
049 スン 「満月に何かあるの?」
050 レイ 「知らないの?」
051 スン 「うん」
052 レイ 「中秋の名月。って言って月の美しい時期。そして人々は豊作を感謝して収穫したものを月に捧げる儀式があるの」
053 スン 「…レイ。ボクたちの任務は何?」(何かに気付き、ハッとして俯きながら)
054 レイ 「何?突然…」
055 スン 「ボクたちはなにで、何のためにこの町に来たのか。言って」
056 レイ 「私達はロサンスト国の隠密組織で、対立国、ウェルート国の視察と戦争行為の阻止の任務を請け負って国境を越えてやって来た」
057 スン 「国境警備隊と合流した正規軍の中隊が演習でもなく国境付近の町に滞在している」
058 レイ 「今の状況だよね?」
059 スン 「今夜中に中隊一個殲滅しないとマズい」(頭抱えるように)
060 レイ 「どういうこと?」
061 スン 「月見は一部を除いて各地で行われる儀式。その日前後は人の往来が激しくなる」
062 レイ 「うんうん」
063 スン 「奴等はこの町で儀式を見て出発する気だった。街道が込み合うのも避けるため」
064 レイ 「奴等が今まで動かなかったのは儀式を待っていたって事?」
065 スン 「隊長は団体行動のために長期滞在すると考えているけど、実際は既に出発できるはず」
066 レイ 「それじゃあ…」
067 スン 「大丈夫…ウェルート国の軍人は律義だから町の儀式は来賓として必ず見に来ている」
068 レイ 「さすがに町の人がいる中はまずいから…帰り際か…」
069 スン 「…儀式は始まっているからな」
070 レイ 「隊長に報告は?」
071 スン 「している暇はない。どこで飯食ってるかわからないからな」
072 レイ 「まずいんじゃないの?」
073 スン 「あぁ、まずい。中隊一個を丸々消すってのが」
074 レイ 「一人残らずって二人で可能なの?」
075 スン 「応援呼ばれたらそこでゲームオーバーだ」
076 レイ 「…緊張してきた」
077 スン 「まずは儀式に参加中の中佐と警備隊隊長を仕留めればいい」
078 レイ 「指揮官を奪って統率力をなくす。おーけー」
079 スン 「中隊の雑魚共が手こずるからな…隊長が気付けばいいが」
080 レイ 「私のラブラブパワーで隊長に…」(胸を押さえて可愛らしくアタックポーズ)
081 スン 「……」(白い目)
082 レイ 「なんでもない…」(自重する感じで反省)
083 スン 「ラブラブパワーねぇ…」
084 レイ 「スンには遠いお話ですよぉーっだ」
085 スン 「ま、隊長が同性に興味があるか…ね」
086 レイ 「絶対、モノにしてみせる!!」
087 スン 「上司を何だと思ってんだか…」
088 レイ 「隊長に褒められるためにもがんばらなきゃ」
089 スン 「空気を温めたところで行くか」
090 レイ 「え?温めたの?」
091 スン 「緊張をほぐしてやったんだ」
092 レイ 「からかわれただけな気がするー」
093 スン 「無駄口叩いてないで任務だ任務」
094 レイ 「もぅ…」



【裏路地】(死体の側で傷を負ったメイルがうずくまっている)

095 メイル 「く…ドジったな色々と……」
096 メイル 「あいつらに知らせるのが先だった…まさかこんな雑魚共に傷を負うなんて…」
097 メイル 「警備隊の副隊長と伝令兵を殺れたのはお手柄か…」
098 メイル 「ちっ、早くあいつらのところに行って予定変更を知らせないと…今夜中に中隊潰さないといけ…くそっ」



【ウェルート軍滞在の宿舎】(様子を伺う二人)

099 スン 「色々と間違った」
100 レイ 「うん、色々と間違ってる」
101 スン 「けど、雑魚から潰すのも手かなって」
102 レイ 「それ賛成」
103 兵士 「副隊長がいないって?さっき何人か捜しに行ったぞ」
104 レイ 「こんばんはー」
105 兵士 「ん?何だ?ここは現在軍施設で一般人は通行禁止だ」
106 レイ 「今夜は月がきれいですねー」
107 兵士 「今日は月見の日だからな」
108 スン 「最期の月、目に焼き付けた方がいいよ」
109 兵士 「は?」
110 レイ 「お兄さんたちとやりにきました」(にこっと笑う)
111 兵士 「やり…?」(にやりとする)
112 スン 「美しき月を赤く染めようぞ…」
113 レイ 「全員一人残らず死んでもらいます」
114 兵士 「何っ!?ぐっ…」(倒れる)
115 スン 「レイ、一人も逃がすなよ」
116 レイ 「スンもね」



【裏路地】(致命傷を負ったメイルが壁にもたれかかって休憩)息荒い演技がオススメ

117 メイル 「占い…信じてないのに……スンの当たるな…」
118 メイル 「くそっ、いくら指揮官殺せても雑魚が残ってたら戦争ははじまっちまう…」
119 メイル 「ロサンスト国のため……阻止しなければ…」
120 兵士 「いたぞっ!不審者めっ」
121 メイル 「邪魔だっ!」
122 兵士 「ぎゃぁっ」
123 メイル 「死ぬならカッコよく死ねよな…ウェルート国万歳的な……ごぷっ」(背中刺されて吐血)
124 兵士 「…し………」
125 メイル 「ぬのは貴様だっ!……チッ、確かにカッコよかったが……クソッ。ツメが甘かった……マジか…」(仰向けに倒れる)
126 メイル 「月……今日は満月か……あいつらも見てんのか…な……」
127 メイル 「この同じ月の…下に……王妃が……。王妃さ…ま……申し訳……平和を……必ず…平和を……」
128 メイル 「月よ……どうか…あいつ…らに…祝…福を………」
129 メイル 「…月が…赤く……染まって…く……」






作者のツブヤキ
 ついに声劇台本50作品目です。
駄作と思っていた作品もありましたが、形として50もの物語がここまでできたわけです。
50作品目としては重く、ハッピーエンドではなかったわけですが、楽しんで演じて頂ければと思います。

メイル隊長は食事の時にウェルート兵士たちの会話をたまたま耳にはさんで気付いちゃった的な…。
スンは女の子です。よく間違えられますが、間違いなく女の子です。けどキャラの立ち居置的に少年でも何ら問題ありません。
ただ、レイとの会話シーンで女の子的なものを取り入れたかったですね。レイも最初スンが男の子だと間違っていたので(笑)

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